公開日 /-create_datetime-/
食料品や光熱費が値上げラッシュとなっていますが、雇用保険料も来年度から引き上げられることになりそうです。
その背景にあるのが新型コロナウイルスの感染拡大です。これから雇用保険の料金は果たしてどうなるのでしょうか。
雇用保険制度とは、労働者が失業・休業した場合に、失業等給付や育児休業給付として金銭的なサポートをするための制度です。
失業等給付や育児休業給付を受給するためには、この制度に加入していなければなりません。加入条件を満たしていれば、原則として事業主は従業員全員を加入させる義務がある保険制度です。
事業主と労働者が支払う保険料が雇用保険の主な財源ですが、安定した雇用環境が続けば積立金とすることもできます。その積立金は、雇用環境の悪化で失業者が増加したときに取り崩す仕組みとなっています。
財源には国の一般会計から支出する国庫負担も含まれていますが、新型コロナウイルス感染拡大支援策である雇用調整助成金に、失業給付に回るはずの積立金が充てられたことで、保険料率を引き上げる案が浮上してきました。
今年度の保険料率は、労働者が賃金総額の0.3%、事業主が0.6%となっています。雇用環境の安定が続いていたことから積立金にも余裕があり、保険料率が歴史的低水準に抑えられていました。しかし、今後の保険料率アップは避けられそうにありません。
政府内で検討されているのは、労働者0.5%、事業主0.85%などです。引き上げ率は労使の代表者でつくる労働政策審議会などで調整することになっており、労使ともに引き上げには反対しているため、どう決着がつくのかはまだ見通せません。
ところで、どのくらいの負担になるのか、単純計算してみましょう。月収30万円の場合、現在の保険料率では月額900円ですが、0.5%に引き上げられると月額1,500円になります。年間では7,500円となりますから、やはりこの負担増は重く感じるのではないでしょうか。
給与所得者の本音は、「できれば、保険料率は引き上げてほしくない」となるでしょうが、失業給付や育児休業給付がなければ、安心して働くことはできません。その財源が枯渇しているとすれば、ある程度の負担増は覚悟しなければならないでしょう。
雇用調整助成金に雇用保険の財源が充てられたのも、事業主がコロナ禍による休業や時短営業の要請に協力したからです。また、事業主が労働者に支払った休業手当の一部が、国が助成する雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)に該当するためです。
また、保険料率引き上げを実行したい厚生労働省は、雇用保険に2兆2,000億円の追加投入する補正予算案を盛り込む姿勢のようです。これから年末に向けて、来年度の予算編成作業が大詰めを迎えますが、雇用保険の財源がどうなるのか目が離せません。
ところで、雇用保険はかつて失業保険と呼ばれていたように、失業したときに給付金が支給されるというイメージが強いですが、実は失業しなくても受給できるものもあります。
たとえば、早期に再就職した場合に支給となる就職促進給付(再就職手当、就業促進定着手当、就業手当)、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の高齢者の賃金が、60歳時点の給料の75%未満に低下したときには、高年齢雇用継続基本給付金が支給されます。
さらに、教育訓練給付金などもあります。多少の値上げがあったとしても、労働者にとってはいざというときの心強い味方となるのが雇用保険制度ということは理解しておく必要がありそうです。
今後、あらゆるものが一気に値上がりする流れになりそうです。一つひとつの値上げ幅は少なくとも、全体ではかなりの負担増となります。今後も雇用保険の保険料率は注目しておく必要があるでしょう。
雇用契約書の記載事項を知りたい方必見!必須事項や注意点を解説
契約管理の現状
資金繰り・キャッシュフロー改善にも貢献 BtoB後払い決済・請求代行が生み出すメリット
人事異動・新入社員のエリア配属をラクにする住居手配を効率化するヒント
経理BPO業務事例のご紹介
社会保険の適用拡大、担当者向けの手引きなどコンテンツを公開 厚労省が特設サイトをリニューアル
約9割の上司が“部下に忖度”…上司と部下の関係性に変化か。立場の違いによる「理想」と「実態」のギャップとは?
Pマークを取得するには?申請から登録までの費用や期間、メリットを詳細に解説
経産省と東証、初の「SX銘柄」15社を発表 企業のSXへの取り組みがわかるレポートも公開
高ストレス者への法的に正しい対応と産業医面談の注意点
<人的資本開示 初級編 > 企業が知っておくべき人的資本と捉え方
コロナで変わった人事現場の実態 人事給与アウトソーシングサービスを提供する三菱総研DCSが解説!
英文契約書のリーガルチェックについて
工事請負契約書とは?作成時の注意点などを解説!
誰もが悩む5つの組織課題をサーベイ導入で解決するヒントとは?
2024年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定されました など|5月6日~5月12日官公庁お知らせまとめ
人材採用は“キャリア採用シフト”の傾向。過熱する人材獲得競争を背景に「応募者の質」が最大の懸念点に
管理者が不在になるGW、御社の情報セキュリティは大丈夫? 休暇前後の対策をIPAが紹介
【学歴フィルター】就活・転職における“学歴”の必要性は? キャリアに「関係する」との回答は8割超、特に「書類選考」に影響か
総務が知っておくべき、暑中見舞いのビジネス・マナー
公開日 /-create_datetime-/