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採用管理システムを導入することで、採用プロセスの効率化、適性のある人材の採用、人事部門の業務負担軽減が可能になります。これにより、企業全体の生産性の向上や成果の向上、採用コストの削減が期待できます。ブラインド採用という採用方法をご存じでしょうか? 近年、企業・各種機関が採用活動を行う際に導入するケースが増え、注目度が高まりつつあります。厚生労働省が示しているガイドライン「公正な採用選考の基本」の考え方とも合致しており、ブラインド採用を導入する企業は今後も増えていくのではないでしょうか。
今回はブラインド採用とは何かについて、導入が増えている要因であるLGBTQ+にも注目しながら紹介しましょう。
ブラインド採用とは、企業・各種機関が行う採用活動において、応募者の写真や名前、性別、学歴、年齢といった個人情報を除外して、本人のキャリアや能力のみを評価することです。
通常、新卒者・転職希望者が企業の求人に応募する際、履歴書に名前、性別、学歴、年齢を記載するのが通例です。そもそもフォーマットである履歴書や職務経歴書に、これらの記載欄が設けられているので、記入した上で提出するのがいわば常識となっています。
しかし、これらの個人的な情報を記載すると、当然ながら採用担当者はそこに目を通します。その際、「採用するならやはり男性」「学歴が良い」「同じ学校の出身者を優先したい」など、仕事上求められるキャリア・能力とは無関係の要因が、採用するかしないかに大きく影響する可能性があります。
もちろん採用担当者としては、出来るだけ公平に評価して、キャリア・能力のある人材を採用しようと考えてはいます。しかし社会的な通念や個人的な価値観を背景に、「このように考えるのが当然だろう」と無意識のうちに採用の判断基準を作っている可能性は十分にあります。
たとえば「特定の大学の出身者を優先採用する」といった価値観は、採用基準として明文化されていなくても、社会的な通念や個人の信念から「そうあるのが当然」と考えることで生じるわけです。
企業側・採用担当側が意識しないで(規則化・明文化などしないで)採用基準を作ってしまうことは、「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」と呼ばれています。性別、学歴をはじめ、宗教、支持する政党、尊敬する人物なども、アンコンシャスバイアスの一例です。アンコンシャスバイアスが作用すると、一定の特徴・性質をもつ応募者が採用されにくい状況をもたらします。
こうした企業側・採用担当者側のアンコンシャスバイアスをなくすには、そもそも人材を募集する際に、仕事上求められるキャリア・能力以外の情報を集めないことが有効な対策です。その採用方法が「ブラインド採用」なのです。
ブラインド採用が重視されるようになったのは、1970年代のアメリカのオーケストラにおける新人採用においてといわれています。当時、そのオーケストラは男性ばかり採用される傾向があったため、団員の一人が、試しに男女の性別がわからない状態でブラインド採用を行ったところ、女性の合格者が大幅に増えたといいます。純粋に能力だけで評価することで、「当然男性を採用すべき」とするアンコンシャスバイアスを解消したわけです。
一方で、現在、企業の採用活動においてアンコンシャスバイアスとして注目されているのが、LGBTQ+です。LGBTQ+とはセクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称の一つで、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング、プラスアルファの頭文字で表されます。意味は以下の通りです。
・レズビアン……同性を好きになる女性
・ゲイ……同性を好きになる男性
・バイセクシュアル……両方の性を好きになる人
・トランスジェンダー……体の性と心の性が一致しない人
・クエスチョニング……どのセクシュアリティにも当てはまらない人
・プラスアルファ……アセクシュアル(他社に性的興味をもたない人)、パンセクシュアル(あらゆるセクシュアリティの相手を好きになる人)など
たとえば履歴書の性別欄に「レズビアン」や「ゲイ」といった記載があったとき、採用担当者にアンコンシャスバイアスが作用し、そこだけを見て採用しないという判断を下す恐れがあります。
もちろん、採用担当者が私人・個人としてどのような価値観をもっても問題はありません。しかし「採用の可否を下す」という公的な行為において、個人的な価値観をもとに判断を行うのは適切とはいえません。そのようなバイアスをなくすために、ブラインド採用に注目が集まっているのです。
ブラインド採用には、「偏見のない採用活動への取り組みを内外に公表することで、企業のイメージアップを図れること」「採用担当者の主観を排して採用基準を統一できること」「キャリア・能力重視の採用ができること」などのメリットがあります。
一方で課題もあります。一つは、ブラインド採用された人材が、社内の組織風土に合うかどうか、という点です。アンコンシャスバイアスは、採用担当者だけでなく企業組織で働く従業員の誰もがもっています。ブラインド採用された人材は、採用後に他の社員から偏見の目で見られる可能性もあるので、企業側として従業員全体に対する研修・教育などの対策が必要です。
また、ブラインド採用専用の業務プロセスを構築することも必要であり、そのための手間やコストも発生します。たとえば、ブラインド採用では個人情報の一切を隠す形で採用プロセスが進められますが、これを遂行するには既存の情報管理システムの改変も必要になってきます。
さらに人事・面接担当者の教育コストも生じます。ブラインド採用では、国籍、家族、性別といった「本人に責任のない事項の把握」、思想や信条など「本来自由であるべき事項」などを、面接時に直接聞き出すことは厳禁です。そのような質問をしないように研修などの対策が必要です。
かつてブラインド採用というと、解消されるべきアンコンシャスバイアスとして想定されていたのは、「女性」「学歴」がメインでした。女性の社会進出の促進や、学歴に捉われない有能な人材の発掘がその目的だったわけです。
一方現在では、これらに加えて、「LGBTQ+」が重要なポイントとして注目されています。LGBTQ+に配慮した採用活動を行うことが社会的な要請として高まっており、無対策・無配慮な企業は、マスコミで報道されるなど社会的な制裁を受けるリスクが生じます。
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