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東京都は現在、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)を防止するため、全国で初めての条例制定に動いています。増加するカスハラに対して、従業員を守るためにも企業は有効な対応策を整備して自衛をしておく必要があるかもしれません。
厚生労働省が2020年に全国で実施した調査*によると、各ハラスメントの中でカスハラの増加がとくに顕著だったという結果が出ています。過去3年間でカスハラを経験した人は全体の15%にのぼり、パワハラの31%に次ぐ高い数字になっています。
厚生労働省は「対策マニュアル」を公開しており、その中でカスハラは「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業関係が害されるもの」と定義されています。
実際に職場で起こるカスハラは、主に以下のような内容です。
・(顧客側が)相手を怒鳴りつける
・土下座しての謝罪を求める
・長時間の居座り
・頻繁な来店(来社)や電話によるクレーム
・金銭を求めるなどの脅迫
・SNSでの拡散をほのめかす脅迫(実際の投稿も含む)
こうした具体的な行為は、厚生労働省のマニュアルに実例が紹介されていますが、カスハラ対策整備のためには、それぞれの企業が社内でカスハラの判断基準を規定しておいた方がよいといえそうです。
なぜ、近年はカスハラが増加傾向にあるのでしょうか?
考えられる要因として、SNSが広く普及したことと、サービス向上に対する顧客の要求が高まっていることなどがあげられます。こうした状況下で、顧客からのクレームを一方的に受け入れることは、カスハラ被害の拡大につながりかねません。
企業がカスハラを容認することは、リスクと損失を招く恐れがあります。何度もカスハラに対応させられる従業員は、精神的なダメージとストレスに悩まされ、離職に追い込まれるかもしれません。この状況が放置されれば、職場環境が悪化するのは間違いないでしょう。企業にとっては貴重な人材の流出と、生産性の低下という二重の危機が同時に起きるわけです。
顧客からの正当なクレームとカスハラとは、厳密に区分されるべきものです。企業のカスハラ対策は、この2つをはっきりと区別することから始まります。顧客からのクレームに基準を設け、各従業員および部門としてどのように対応すべきか、全社共通のマニュアルを作成するとよいでしょう。
長年クレーム対応を担当してきた、ある大手損保会社のベテラン社員によると、対応する従業員が自分で解決を図ることは避けるべきで、必ず組織で対応することが重要だそうです。そのためにも、カスハラに対応するためのマニュアルを整備し、研修などを通じて社内全員が情報を共有する必要があります。場合によっては、管轄する警察に前もって相談しておくことも検討すべきでしょう。
東京都のカスハラ防止条例が制定されれれば、企業は対策が打ちやすくなり、従業員を守りやすくなるでしょう。
しかし、この条例はまだ検討段階のため、現時点では企業は自分たちで従業員を守る必要があります。その対策としては、カスハラ対策の社内ルールを整備や、カスハラ対策部門の設置などを行うなどの施策が考えられます。
カスハラ行為に及ぶ相手は顧客として扱わず、毅然とした態度で組織的に対応することが重要です。
*【調査概要】
調査期間:2020年10月6日~10月7日
調査方法:インターネット
調査対象:全国の企業・団体に勤務する20~64歳の男女労働者
サンプル数:8,000名
参考資料
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル
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