特集インタビュー | Best Professional Firm 2019

20年連続売り上げ実績No.1※を達成した弥生会計。 お客さまにとって常に〝今〟良い品質のものを提供する弥生代表・岡本浩一郎氏にソフトウエアの未来を聞いた。
※全国の主要家電量販店・パソコン専門店・ネットショップ2654店におけるソフト実売統計で、弥生は2018年の年間最多販売ベンダーとして最優秀賞を獲得。
(業務ソフト部門:20年連続受賞、申告ソフト部門:15年連続受賞)ー株式会社BCN調べ

業務効率化の先にある、仕事の高付加価値化

─ ソフトウエアの進化が会計業界に与える影響を、どう見ていますか。

岡本:最初に申し上げたいのが、「会計事務所の仕事がAIに奪われる」という未来図が、現実のものになることはないということです。ITが普及し始めた30年以上前から、よく似た話が何度も話題になりましたが、今のところITによって会計事務所が存在を脅かされている事実はありません。AI脅威論も、空想であると考えていいでしょう。しかしながら、この約30年間で会計業務は大きく変わってきました。かつては分厚い伝票の束を一枚一枚確認しながら電卓をたたいていましたが、そうした人手がいるパターン業務はソフトウエアの進化によって効率化・省力化され、少なくなりました。ソフトウエアは今後も進化を続け、会計業務の効率化・省力化を加速させると考えられます。それにともない、会計業務はさらなる変化を遂げることでしょう。今後、会計事務所では、パターン業務に費やしていた時間を、経営状態の分析といった付加価値の高い仕事に使っていくことになると考えられます。


─ 会計業界では人手不足が問題視されています。ソフトウエアの進化は窮状を救うカギとなるでしょうか。

岡本:ソフトウエアを効果的に活用できれば人手不足の課題は解消され、会計事務所では付加価値の高い仕事ができるようになります。しかし、ソフトウエアを効果的に活用できず、いつまでたっても、膨大なパターン業務を人海戦術で片付けるという、従来の仕事から脱せないケースも出てくるはずです。


─ 仕事の高付加価値化は会計事務所次第ということですか。

岡本:そう考えます。特に注意すべきは、目的を見失わないことです。ソフトウエアを導入するのは、業務を効率化し、取り組む仕事を付加価値の高いものにしていくためです。そこを勘違いして、ソフトウエアの導入が目的化してしまうと、思い描く効率化・省力化の成果はなかなか得られないでしょう。そうならないためには、「パターン業務を削減し、組織価値向上を目指して付加価値の高い仕事にシフトする」という方針をあらためて打ち出すことが必要です。組織価値向上に取り組むことは、働く人のモチベーションを高めます。とりわけ会計事務所では、効率化・省力化を推進して決算期に仕事が集中するような状況を解消することは、働きやすい職場の実現につながります。

会計事務所は、共通のお客さまを持つパートナー

─ 弥生は、これからどのように事業を展開していくのでしょうか。

岡本:使い勝手に徹底的にこだわった業務ソフトウエアを提供していくという、基本姿勢は変わりません。今後も、これまでと同じように、プロである会計事務所の皆さまにも使いやすいと言っていただけるソフトウエアを開発・提供してい くとともに、ネットバンキングとの連携や顧問先とのデータ共有など、パターン業務の効率化・省力化につながる機能の拡充に力を入れていきます。一方で、私たちのソフトウエアを活用してくださるお客さまにとって重要なのは、業務効率化、ひいては事業成長であり、ソフトウエアを使いたいわけではない、とも考えています。そこで、ソフトウエアを提供するだけではなく、お客さまから寄せられる、経営や事業に関するお問い合わせに丁寧にお応えしていくサービスを提供していきたいと思っています。いわば「事業コンシェルジュ」です。そのためには、会計事務所の皆さまとの協力関係が、これまで以上に重要となってくると考えています。


─ 会計業界に対しては、どのように働きかけていくのでしょうか。

岡本:ここまで述べてきたように、会計業務の効率化・省力化を進めた会計事務所は、やがて仕事の高付加価値化に取り組むようになります。そうしたフェーズを迎えた会計事務所が、〝自分たちが向かうべき方向性〟を見いだすお手伝いをしたいと考えています。


─ 弥生と会計事務所との関係は変化していくのでしょうか。

岡本:従来から、私たちは会計事務所を「共通のお客さまを持つパートナー」と考えており、両者が協働してお客さまの経営・事業支援に取り組もうと「弥生PAP」というパートナーシッププログラムを展開してきました。私たちは今後も、弥生PAPを通じて、会計事務所との関係を深めていきます。その中で、弥生PAP会員の皆さまが組織価値を明確に打ち出し、発展していくためにさまざまな支援をしていきたいと考えています。このような活動を通じて、今後も会計事務所と一緒に、共通のお客さまである中小企業を支えていきます。

Profile

おかもと・こういちろう|1969年、神奈川県横浜市生まれ。91年、東京大学工学部を卒業。同年、野村総合研究所に入社。システムエンジニアとして企業向けシステムの開発に携わる。在職中にカリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学し、経営大学院を修了。98年、ボストンコンサルティンググループに転職。2000年、独立して経営コンサルティング会社リアルソリューションズ設立。08年4月、弥生株式会社代表取締役社長に就任。

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