

日本初の会計士スクール「東京CPA会計学院」の国見健介理事が読み解く、会計業界が求める人物像とは。
現在、日本の税理士は約8万人、同じく公認会計士は約3万人です。アメリカの公認会計士が60万~70万人ですから、それに比べるとずいぶん少なく、
その分資格の価値は高いと思います。ただし、最近はクラウドの会計ソフトが増え、税務申告の自動化も進みつつあるので、記帳して税額を計算するだけの税理士や、監査してハンコを押したらおしまいといった会計士のニーズは、
この先どんどん減っていくでしょう。
これからの時代は経営者のパートナーとなる会計士・税理士を目指すべきです。「もっと税金が安くなりませんか」と相談されたら、単に税金の知識を切り売りするのではなく「こういう国の
制度を利用して節税し、浮いた分はここに使いませんか」「この会社を紹介しますから、そこと協業して事業を拡大しましょう」というように、経営そのものを改善するためのアドバイスができる人ならいつだって引く手あまたです。
もちろん、そうなるためには、経営者と同じ視座で議論できるだけの知見が必要なのはいうまでもありません。そして、それは実務をとおして身に付けていくよりほかないのです。試験に受かったからもう安心と自己研鑽を怠っていたら、
いつまで経ってもクライアントから、真の信頼を得られる税理士や会計士にはなれないでしょう。
そういう意味では、試験に受かったら、高い職業意識を持ったスタッフがそろっている会計・税理士事務所に所属するというのは賢明な選択だといえます。
会計業界にはもっと多種多様な人材がいていい
会計士·税理士にも人間性や性格の違いが当然あります。経営者からの相談に当意即妙で応える人もいれば、熟考して最善手を考えるのが得意な人も。
前者であれば営業マインドを持って接すれば顧客獲得につながりますし、後者であればメール中心の相談フォームを活用し、じっくりと問題に取り組むなど、
コミュニケーションの手段はさまざまあるはずです。
また顧客とのリレーションだけではなく、同業者のハブとなるものも面白い。
ネットワークを作って自分が窓口になるのです。
「まずあの先生に聞けば、ふさわしい人を紹介してくれる」と評判になれば、たくさんの案件を引き寄せることにもなるでしょう。
従来はコミュニケーションが重視されなかった業界でしたが、これからは違います。
合格後、実務に取り組む中で、自分なりのコミュニケーションを確立するのはとても大切なことです。
日本にはもっと多様な税理士・会計士がいていいと思います。ナイジェリアの税務に精通しているとか仮想通貨に詳しいなど、ニッチな分野の専門家になるのも手です。
また今後は少子高齢化が進むので、相続や事業承継は有望分野。グローバル化にともない英語ができて国際税務に強い人も有利ですし、ITの専門家の需要もますます高まるでしょう。
セカンドキャリアでこの業界を目指そうという人は、前職の経験が武器にならないか、一度検討してみるといいと思います。また日本では女性の割合が
10~20%程度と非常に少ない。海外では半分以上という国もあるので、女性もどんどん挑戦してほしいです