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「電子契約」とはなんでしょうか?
明確な定義はないのです。用語を素直に読むと、電子計算機ないし電子情報(インターネット)を利用して成立させた契約といったところでしょうか。
電子契約と聞いて、「何それ?」と思う人もいるかもしれませんが、実は皆さんすでに、Amazon、楽天等のECサイトを利用して電子契約を頻繁に行っています(物品の売買契約が中心ですね)。
口頭でもなく、書面でもなく、電子情報を利用して契約を行っていますね。
私は、便宜上これらを「広義の電子契約」と呼ぶことにしています(後述するように電子署名を契約当事者が行う電子契約を便宜上、「狭義の電子契約」と呼んでいます。)。
では何故、すでに皆さん頻繁に電子契約を利用しているのに、今になって「電子契約」「電子契約元年」といった言葉を耳にするようになっているのでしょうか。
上記したように広義の電子契約はすでに頻繁に行われていますが、金額の大きな契約に代表される一定の重要な契約は、この限りではありませんでした(既に導入している企業もありましたが必ずしもメジャーなものではありませんでした。)。
これまでの慣行に従い、「さすがにこれは紙の契約書で。実印で。」といったように頑なに電子化されずにきました。
現在、耳にする「電子契約」は、「いよいよこの頑固な部分も電子化しましょうか」という文脈の中で語られていることが多いのです。電子契約という言葉は抽象性が高いのでこの文脈は理解しておきましょう。
それでは、このように電子契約導入の機運が盛り上がっている中で、電子契約システムはどのようなものを導入すべきなのでしょうか。
電子契約システムを導入するにあたってのキーポイントは、「電子署名を契約当事者が行うシステムであるか否か」(便宜上、電子署名法3条※に従った電子署名のことを便宜上「電子署名」といいます。)です。小難しいシステムの理解は捨てておいて、電子署名を契約当事者が行うことができるか否か、ここだけは意識しましょう(私は、契約当事者が電子署名を行う電子契約システムのことを便宜上、狭義の電子契約システムと呼んでいます。)。
何故、契約当事者が電子署名を行うことが、システム導入において重要なポイントになるのでしょうか。それは次回。
第三条電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
▼上記「本人だけが行うことができる」とは▼
電子署名法では特定認証事業者または認定事業者、その他基準を満たす認証業務者の電子証明書を伴う電子署名を指す。
(1)特定認証事業者:
民間事業者が認証局を立ち上げること(→特段規制なし)政府の指定する技術基準(暗号技術)を充足する強度を持つ場合、「特定認証業務」とされる。(電子署名法第2条第3項)
(2)認定認証事業者:
特定認証業務を行う事業者が、政府の認定を受けること(電子署名法4条以下)により、政府の認定した認定認証業務を行うことができる。(現在8認定認証事業者、10認定認証業務)
執筆者情報
啓明法律事務所 弁護士 小山 征史郎(おやま せいしろう) 第一東京弁護士会所属
2005年弁護士登録(58期)。
弁護士法人ポート法律事務所を経て、2016年から啓明法律事務所に所属。これまでは訴訟を中心に活動していたが、近年は電子契約に関心を持ち、これまでの訴訟を通じた弁護士経験を電子契約にフィードバックすることに注力している。
本年1月より、ペーパーロジック株式会社のLegal Teamとして、コラムの執筆や法的アドバイスを行っているほか、ペーパーロジックの各法対応製品(特に電子契約)に対して、関係法律法令等をふまえた法的バックグラウンド強化を支援している。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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