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第4回では、「個人」「コミュニケーション」「ルール」の3つの観点で組織基盤を強化することがエンゲージメント向上の土台になることをお伝えしました。
今回は、ある程度、組織基盤が整っている企業がさらにエンゲージメントを高めていくポイントを、「採用」「育成」「風土」「制度」の4つの観点からお伝えしていきます。
第1回記事はこちら当社はこれまで多くの企業をご支援してきましたが、エンゲージメントの高い組織は 「採用」「育成」「風土(コミュニケーション)」「制度(ルール)」それぞれで抑えるべきポイントを抑えている、という共通点があります。
その具体的なポイントについて、それぞれご紹介します。
人材採用は「Yシャツの第一ボタン」のようなものであり、組織づくりの「一丁目一番地」となる取り組みです。第一ボタンをかけ違えてしまうと、育成、配置、定着など、入社後のあらゆる取り組みにズレが生じ、うまくいきません。
例えば、自社のカルチャーに合うかどうかなどを見極めずに、採用してしまうと、入社後に「こんな組織だとは思わなかった」「自分をわかってくれる人がいない」となって、退職してしまうかもしれません。
また、自社にとって必要な能力やスタンスを持っていない人材を採用してしまうと、入社後に、活躍できる部署や役割が存在しない、育成を行っても効率が悪い、といったことが起きうるでしょう。こうした事態を防ぐためにも、採用施策を考える際は、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
事業戦略を実行に移すのは人材であり、人材がいなければ事業を進めることはできません。
また、どれだけ立派な事業戦略も、それを実行できる人材がいなければ机上の空論になってしまいます。戦略実行を担う人材にこそ、積極的に投資をしなければいけません。
営業活動は、相手の意思決定を促進する行為だと言えます。採用活動も営業活動と同じように、相手に働きかけ、自社を選んでもらうべく、相手を感化しなければなりません。
採りたい人材に積極的に働きかけることで競合ではなく自社を選んでもらい、入社への意思決定を促すことが重要です。
採用活動は、会社の理念への「共感者」を生み出す活動と捉えることができます。会社におんぶに抱っこではなく、自分の想いに近い会社を自己選択している、というのが望ましい状態です。
そのために、その人自身が大事にしている想いや価値観(自分を株式会社に例えるなら「経営理念」や「経営ビジョン」)を言語化してあげることが重要です。その上で「共感の接点」となる会社の魅力を応募者に伝え続ける必要があります。ただ優秀な人材だから採用するのではなく、「共感者」を生み出す活動こそが採用であるとも言えます。
自社の採用活動に携わる従業員は、自分の言葉で会社のビジョンや仕事のやりがいを語ります。その経験は、自分の存在意義や仕事の意味を再認識することにつながるでしょう。
採用活動に携わった従業員がその後、組織変革の担い手として活躍する例は少なくありません。このように、採用活動は既存の従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながる側面があることを意識して、リクルーター制度などを活用することが重要です。

「あなたの会社は何をつくっているのですか?」と聞かれた松下幸之助氏が、「人をつくっています」と答えたのは有名な話です。
企業経営において人材育成は、そのくらい大切なことと言えます。
育成施策を考える際は、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
人を育てるのには時間がかかります。その時に直面している課題や流行りのテーマを扱う研修を実施する企業は少なくありませんが、これでは短期的な問題解決にしかなりません。
職種やコースを分け、「どのような従業員を目指して育てていくのか?」という長期的な育成プランを立案することが大切です。
人材育成の施策は、大きく「OJT」と「Off-JT」に分けることができます。代表的なOff-JT施策である集合研修は、現場に戻った従業員がすぐに実践できる内容であることが求められます。
そのためには「体感要素」が不可欠であり、現場の状況に即したロールプレイングや疑似ミーティングなどの手法を組み込むのが効果的です。
人材育成によって従業員の意識・行動を変えるためには、従業員本人がどれだけ腹落ち(納得)するかがポイントになります。
心理学者のクルト・レヴィン氏は、人の態度を変容させる手法として「Unfreeze(解凍) → Change(変化) → Refreeze(再凍結)」という3ステップを提唱しました。特に「Unfreeze」のステップで、凝り固まった価値観を解きほぐせるような育成施策を行うことが重要です。
全社、あるいは部署単位、役職単位で「一律」の育成施策を行うのか、会社からの指名による「選抜」で育成施策を行うのかは、慎重に検討すべきポイントです。育成対象者の意欲・能力をできるだけ精緻に把握し、組織の状態や課題によって使い分けるようにしましょう。
コミュニケーションは組織の「血流」とも言えます。血の巡りが悪くなると体調が悪くなったり病気になったりするのと同じように、コミュニケーションが不足している組織では様々な問題が生じます。
エンゲージメントを高めるためには、コミュニケーションの活性化が不可欠です。コミュニケーション施策を考える際は、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
エンゲージメントが高い組織は、以下の「4つのP」のいずれかにフォーカスして、コミュニケーションコンテンツを設計しています。
・Philosophy(理念・目的)
・Profession(仕事・事業)
・People(人材・風土)
・Privilege(特権・待遇)
「Philosophy」を軸に一体感を高めていきたいのであれば、会社の価値観やコアバリューの発信に努めなければいけません。「Privilege」の魅力によって組織をまとめたいのであれば、個人の成長機会や社内制度のアピールが有効です。
組織におけるコミュニケーションのベクトルは、「上から下」だけではありません。従業員の声を吸い上げる「下から上」のコミュニケーションも不可欠です。
また、「横」の連携を強化したり、「斜め」のインフォーマルなコミュニケーションを促したり、「社外」と交流するコミュニティを立ち上げたりと、あらゆるベクトルでコミュニケーションを設計する必要があります。
コミュニケーションに活用できるメディアは、社内報やイントラネットだけではありません。「人メディア」や「空間メディア」を活用することも重要です。
人メディアの代表例は経営トップであり、トップの発言や立ち 振る舞いを含めた存在そのものがメディアになります。空間メディアは、オフィスや店舗などの空間です。人や空間も含めて、メディア戦略をデザインしていきましょう。
どのようなタイミングで、あるいはどのくらいの頻度でコミュニケーションを図るのか、ということも入念に設計する必要があります。
定期なのか不定期なのか、定期の場合は週次なのか月次なのか、不定期の場合はいつなのかなど、コミュニケーションの効果を最大化できるタイミングを見極めるのがポイントです。
「ルール」と聞くと、「窮屈で縛られるもの」というイメージが先行するかもしれませんが、一定の制約があるからこそ、創意工夫や新たな知恵が生まれやすくなるものです。ルール施策を考える際は、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
国の法律が憲法という国の理念に基づき束ねられているように、全体を貫く会社ポリシーに照らし合わせ、さまざまなルール体系が 整合している必要があります。整合が取れていないルールがあると「ダブルバインド(二重拘束)」状態が起き、向かうべき方向へのブレーキとなってしまいます。
「ルール」は、ルールとして受け入れられて初めて機能するものです。よく人事評価や給与制度において、公平性や客観性が大切と言われますが、人間が人間を評価する以上、公平性や客観性を100%担保することはできません。
だからこそ、ルールやその運用プロセスの「透明性」を担保することで、従業員の納得感を醸成することが重要です。
ルールは運用ができないほど複雑なものであってはいけません。シンプル過ぎると運用の際に解釈が入り過ぎる一方、逆に複雑過ぎても手間がかかって運用に乗りません。
また、社内外の環境変化に応じて、制度自体もアップデートしていく必要があります。その際のメンテナンスの工数を削減するためにも、あらかじめ制度の耐用人数や耐用年数等を考えておくことが重要です。
多くの会社で「最先端の制度を取り入れたい」という声を耳にしますが、最先端であること自体が目的化してしまい「従業員のやる気の向上」や「組織の効率化」といった本来の目的を見失ってしまっては意味がありません。
例えば「家族を大切にすることが重要」というポリシーを持つ会社であれば、家族手当を増額したり、年功的給与の要素をある程度残すなど、その会社が大切にしている独自のメッセージを伝える手段として制度を活用することも有効です。
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