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目次【本記事の内容】
2019年7月の雨上がり決死隊・宮迫氏、ロンドンブーツ1号2号・田村亮氏の記者会見により、吉本興業のパワハラ発言が明るみとなった。所属タレントに対してパワハラと取れる発言をしたというが、吉本興業社長の岡本氏は「父親が息子に対して言う感じで、圧力をかけたつもりはない」と言葉を濁している。
現在では、所属タレントからの告発はもちろん、吉本興業の運営に対しても様々な世論が巻き起こっている。吉本興業の「お家騒動」は今も収束する気配がない。
片や5月29日の通常国会では、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務付ける関連法が可決された。
現在は以下の3つの要素を満たす行為が「パワハラ」と定義されている。
1. 優越的な関係に基づく
2. 業務上必要な範囲を超える
3. 身体的・任躯体的な苦痛を与える
社内でパワハラを予防するための第一歩として有効なのが「ハラスメント研修」である。パワハラを招かないよう、リスク回避のために行う研修であるが、果たしてハラスメント研修は一般的にどの程度浸透しているのだろうか?
今回の閣議決定を受け、Manegy編集部では2019年6月にManegyユーザーに対して「ハラスメント研修がどの程度実施されているか」についてのアンケート調査を実施。以下のような結果となった。
一般的に広く認知され、現在では多岐にわたるハラスメントが蔓延している中、調査の結果、企業サイドとしては約6割が具体的に策を取っていないことが明るみとなった。
そこで今回は、ハラスメントの中でも最も多い「パワハラ」に焦点を当て、実際に裁判となった事例を紹介しよう。
吉本興業・岡本社長のように、感情的な言葉はパワハラと定義される例が、こちらの大手コンビニエンスストアチェーンでの事例だ。
同僚AとBが店内で揉め、Aから「殺されそうだ」との連絡を受け、C店長は仲裁に入った。ところが話の途中で退勤時間を過ぎた事から同僚Aが退勤しようとしたため、C店長は阻止をする。
Aの行動に立腹したC店長は「店に来るな」「辞めろよ」「ババア」などと、激しい口調でAに対して不適当な発言をした。
C店長の発言はAに精神的苦痛を与え、かつAに対して違法に損害を加えたものと認められ、C店長が在籍するコンビニエンスストアの運営会社はAに対し5万円の損害賠償義務を負うこととなった。
社内いじめの疑いが生じた場合、会社として迅速に対応をすべきである。責任者がそれを認識しながらも対応を怠り、最悪の結末となったのが本事例である。
某市水道局に勤務していたA氏は、上司である同課のA課長、B係長、C主査からの嫌がらせなどによるいじめを受け、精神的に追い詰められて自殺をしたとして、Aの親族から損害賠償を請求される。
内向的な性格であったA氏に対して厄介者のように扱ったり、同課による合同旅行会に出席した際には、C主査がナイフを振り回しながら脅すような行動をした。また、A課長、B課長はその様子を嘲笑しながら見ていたという事、またAから相談を受けた職員課のD
課長は積極的な調査をせずAに対する安全配慮義務を怠ったとし、慰謝料等の賠償請求が認められた。
社内いじめの種類は肉体的な内容だけではない。長期的に言葉による嫌がらせを受け、心理的負荷がかかり精神障害を発症した事例である。
社内で同僚や上司など数人から執拗ないじめを受け、不安障害や抑うつ状態となったのは、いじめを認識していながらも防止処置をとらなかったとして、京都下労働基準監督署長がした療養補償給付不支給処分の取消しを求めた。
女性社員であるAは、複数の女性社員から「あほちゃう」「幸薄い顔」などの悪口や、男性社員のB課長から、殴る真似などを複数回された。また、それらの行為は上司であるC部長の前で行われていたにもかかわらず、B課長に注意を与えることはなかった。
A氏が発症した精神障害は、A氏のいじめを社が認識していながらも防止処置を取らなかったことにより発症したものと認めた。
今回紹介した事例のようなパワハラ裁判が起きると、世間から「訴訟を起こされた企業パワハラがある会社」というイメージがついてしまい、企業ブランディングや採用へのダメージは計り知れない。
とはいえ、パワハラの防止策の必要性を感じているが、具体的にどこから着手すれば良いのか分からないという人事担当も少なくない。手始めに、まずはパワハラ防止対策の取り組みの第一歩として、ハラスメント研修の導入を見直してみてはいかがだろうか。
関連リンク:ハラスメントを受けたうちの6割がパワハラ
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