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経理業務のデジタル化最前線!

公開日2019/09/24 更新日2019/09/25

はじめに〜経理の仕事は膨大な紙を要した〜

経理の現場では、長年にわたって膨大な紙の書類と格闘してきました。会計処理がシステム化されても、仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳などの帳簿体系の一連の書類、記帳の基となる領収書、請求書などの証憑は“紙での保存”という規定があったため、大量の紙の資料を印刷したり、受け取った証憑をファイリングして保存してきました。しかし、法律の制定や改正による規制緩和によって、こうした状況が大きく変わり始めています。一定の要件を満たせば会計帳簿や証憑などの帳簿書類について電子的なデータを“原本”として扱うことが認められるようになり、管理すべき紙の帳簿や書類を大幅に削減できるようになってきています。

特に最近、電子帳簿保存法・スキャナー保存制度の2年連続の規制緩和を受け、経理向けのセミナーが目白押しなのはご存知の通りです。以下、現状の法制度下において「会計・税務書類のデジタル化がどの程度可能か?」を説明していきます。

会計・税務書類のデジタル化がどの程度可能か?

まず、関連する税法の制度概要を説明します。

電子帳簿保存法4条1項、2項

1998年の電子帳簿保存法の制定により、仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳などの国税関係帳簿のデジタル保存が一定の要件を満たせば可能となりました。おもに税務調査や会計監査時にしか見ることがなかったと言っても過言ではない、膨大な会計帳簿体系の書類をデジタルデータで保存することにより、手間やコストが大幅に削減できます(電子帳簿保存法4条1項)。

また、顧客の自社システムにおいて一貫して電子データとして作成した税務関係書類(請求書の控え、など)は、紙で印刷して定められた期間は保存しなければなりませんでしたが、一定の要件を満たせば紙での出力は不要となり、電子データでの保存が可能となりました(電子帳簿保存法4条2項)。

電子帳簿保存法4条3項

日本には紙の保存を義務付けている法律が税法、会社法、商法など含め約300あります。2005年e-文書法の制定以降、規制緩和が続き、現在ではその内の9割近くの法律に関しては、紙保存に替えてデジタル保存が可能となっています。このe-文書法の制定を受け、税務では電子帳簿保存法・スキャナー保存制度が同年に制定されました。これは一定の要件を満たせば、受領または作成した紙の領収書、請求書、納品書、または控えをスキャナー(スキャナー専用機器・複合機、など)を用いてスキャンし、その電子データを原本として保存可能とするものです。ただ後述する規制緩和1(2015年税制改正)までは金額基準の上限(3万円以上の書類は紙で保管を義務付け)や、認定業者が発行する電子証明書を付与することを義務付けるなど、導入がしづらいものでありました。

電子帳簿保存法4条3項改正~規制緩和1(2015年税制改正)

税務関係書類のデジタル保存の要件であった「金額基準の上限」や「電子証明書による電子署名義務」が撤廃され、制度活用する企業数も2015年度は前年比の約13倍に増加しました。

電子帳簿保存法4条3項改正~規制緩和2(2016年税制改正)

本規制緩和では、領収書などの電子化をスマートフォンなどによる撮影により行うことが可能となりました。たとえば出張時の領収書の電子化など、その活用シーンは大幅に増えたと言えます。

以上はすべて税法の特例です。あくまで原則は“紙による保存”であり、一定の要件を満たした際に利用できる任意制度となっています。

電子帳簿保存法10条

インターネットなどの普及で電子取引がますます増加しています。当初から紙の帳票の受け渡しがなく、メールに添付された見積書、請求書などデジタルデータのやり取りをするケースも増えているのではないでしょうか?本規程は、電子取引で取り交わされる、取引に関わる電子データの保存・保管に関する規程です。

企業は、1)受領したデータにタイムスタンプを付す2)改ざん・修正を防止する規程を策定する義務がありますので、留意が必要です。現在、建設業界や金融機関などで導入が進んでいる「電子契約」もこの規程に基づきデータを保存・保管する義務があります。

これらの法制度、規制緩和によりかなりの領域で紙での保存・管理から解放されるのではないでしょうか?

以下、具体的な証憑や帳簿などの帳票を紙ベースで管理・保存する場合(今までの流れ)と、デジタル化の法制度活用の場合とで比較していきます。まず取引を開始する際に社内で稟議をおこない、契約を締結し実際の取引をスタートするフローを想定します。その後は見積をおこない、発注、納品、請求という流れかと思います。稟議書は税務上の国税関係書類には該当しませんので税務上の保存義務はありませんが、内部統制上や会計監査上から保存することになります。

現行の法制度を活用することにより、取引開始から記帳までの一連の証憑群と帳簿体系まですべての紙書類がデジタル保存できることがわかります。

デジタル化のメリット

デジタル化のメリットはさまざまです。

・一連の取引から発生する大量の会計・税務関係書類を法定保存期間、保存するコストを削減

・企業内ネットワークやインターネットを活用し業務効率化を促進

・情報の共有を促進

・コンプライアンスを強化、など

また、アクセス制限や履歴管理に電子署名やタイムスタンプの技術を加味することにより、大幅な内部統制の強化にも役立つでしょう。

昨今、“働き方改革”の議論をいたるところで目にしますが、まずは大量の紙が存在する経理の現場において、会計・税務の関連帳票をデジタル化し、紙の取り扱いに要していた膨大な手間を削減することもそのひとつではないでしょうか。あなたの会社、あなたのデスク周り、大量の紙に埋もれていませんか?


執筆者情報



【プロフィール】
ペーパーロジック株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 横山 公一(公認会計士・税理士)
1991年監査法人トーマツに入所し、監査業務、株式公開支援業務、関与先のABS発行の会計税務等を担当。1999年創業メンバーとして青山綜合会計事務所を設立し、代表パートナーとして同社を取扱ファンド数1,500、管理金額4兆円へと成長させ、金融特化型会計事務所としては国内最大手にまで成長させる。ファンド管理のスペシャリスト。

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