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消費増税① 増税前後で何が起きるかをザックリ解説

公開日2019/09/28 更新日2019/09/29
消費増税① 増税前後で何が起きるかをザックリ解説

2019年10月1日から、消費税・地方消費税の税率が引き上げられます。かつての日本にはそもそも消費税自体が存在しませんでしたが、1989年に初めて3%の税率が導入されたのを皮切りに、5%(1997年)、8%(2014年)と消費増税が行われてきました。そしてこの10月、ついに10%と税率が二桁になる時代が到来します。

今回は、消費増税前後で何が起こるのか、について分かりやすくその全体像を解説します。

10月から始まる消費税には軽減税率制度がある

10月1日の消費増税は、これまで行われた5%、8%の引き上げとは大きく異なります。それは、すべての品目が軒並み10%となるのではなく、税率がアップする品目が限定されているという点です。つまり、税率がこれまでと変わらない「軽減税率」と、10%の「標準税率」が並行して導入されるわけです。

では、なぜ今回の消費増税において、軽減税率が導入されたのでしょうか。その理由の1つが、消費増税に伴う消費の落ち込みを防ぐためです。消費税が上がると、消費者の買い控えが懸念されます。消費が低迷すると、特に中小零細企業にとって大きなダメージとなるのは確実です。そこで消費税を8%に据え置く品目を設けることで、増税によって日本社会が受ける悪影響を多少なりとも和らげることが期待されているのです。

2つめの理由が低所得者層への配慮です。消費税は、貧富に関係なく市場で品物を購入した際に発生する税率ですので、特に所得の少ない層の家計が受けるインパクトは少なくありません。そこで、低所得の世帯における生活状況を悪化させないために、8%のまま据え置く品目が設けられました。

消費税が8%に据え置かれる対象品目とは?

消費税において軽減税率(8%)と標準税率(10%)の2つの制度が導入されるわけですから、10%の標準税率が適用される品目を税率が上がる前にできるだけ購入し、10%になった後はしばらく買い控えるという行動が消費者にとって合理的と言えます。では、10%にならず、8%のまま据え置かれる品目とは、いったい何でしょうか。

軽減税率が適用されるのは、酒類、外食、ケータリングを除く飲食料品、および新聞(週2回以上発行され、定期購読されるもの)です。飲食料品全般、持ち帰りのための容器に入った飲食物(スーパー等のお惣菜やお弁当)や包装を施して提供する飲食料品(牛丼屋やハンバーガーショップのテイクアウト)などは、すべて8%に据え置かれます。一方、レストラン等での食事(牛丼屋やハンバーガーショップの店内での食事も含む)やお酒類は、10%の標準税率の対象です(チェーン店の中には、10月以降に店内で食事をしても、増税前と同じ価格で提供することを決めているところもあります)。店内での食事とテイクアウトの両方のサービスを同時に行っている事業者は、経理業務における税率対応の調整を行う必要があります。

なお、調理人が出張して料理をする場合も原則として消費税は10%となりますが、有料老人ホーム等における食事(1食640円以下)、学校給食、病院での入院時の食事等は軽減税率の対象です。ただし学校給食や入院時の食事については、生徒・患者が特別なメニューを自由に選択した場合は、軽減税率の対象外とされます。所定の食事提供を受けたときのみ軽減税率の対象です。また、1万円以下の少額で価額の中に軽減税率の対象となる食品が3分の2以上の割合で占めている場合に限って、商品全体が軽減税率の対象とみなされます(例えば「おまけ付きのお菓子」など)。

駆け込み需要が起こる品目と起こらない品目とがある

これまで2度行われた消費増税では、消費者が税率上昇の前に急いで各種商品を購入する「駆け込み需要」という現象が生じていました。今回行われる消費増税では飲食料品は8%のままですから、飲食物・保存食などを増税前に大量に買い込むという事態は生じないでしょう。

しかし、それ以外の標準税率10%が適用される品目については、駆け込み需要が発生すると考えられます。特に、家電、高級ブランド品、骨とう品、貴金属、医薬品、酒類などは、増税前に購入した方がお得であるため、増税前に需要増が予想される品目です。また、通学定期や荷物の送付量(郵便料金等)も10%の対象なので、9月のうちに定期・切符を購入する人、荷物を送付しておこうとする人が増加すると考えられます。

こうした9月のうちに消費された品目やサービスについては、増税後しばらくの間、消費の冷え込みは避けられません。特に、日常的に量販店等でセールが行われず、かつ高額である高級ブランド品や高級家具等は駆け込み需要&その後の消費低迷という事態起こりやすい品目です。

プレミアム付き商品券やキャッシュレス還元の導入による影響も発生

さらに今回の消費増税では、増税による影響を少なくするための新制度も並行して導入されます。

その1つが、自治体が発行する「プレミアム付き商品券」です。3歳半以下の子どもを持つ世帯および住民税非課税世帯が配布対象で、該当する子どもがいる世帯に対しては、申請をしなくても専用の引換券が送られてきます。送付されてくる引換券を使うと、子ども1人につき2万5,000円分(実際の負担は2万円のみ)、最大で2人分・5万円分(実際の負担は4万円のみ)の商品券を購入できます。商品券がどの店で使えるかは自治体ごとに異なりますが、10月以降、プレミアム付き商品券で買い物をする世帯が増えるのは確実です。

また、10月から「キャッシュレス還元」も実施されます。これは、クレジットカード・デビットカード、電子マネー、スマホ決済等を行うと、そのお店がキャッシュレス還元事業に参加している場合、支払った金額の最大5%の還元を受けられるという制度です。この制度が導入されると、キャッシュレスでの支払いが一般的となっているネットショッピングの利用が現状よりも増加することが考えられます。特に、軽減税率の対象外で小売店でのセールも行われにくい高級ブランド品や貴金属は、ネットで購入した方が断然お得です。そのため10月の増税後は、ネットショップの利用が増え、eコマースを展開している事業者の売上が伸びるだろうと多くの有識者が予想しています。

まとめ

軽減税率と標準税率という2つの制度が併存し、さらにプレミアム付き商品券やキャッシュレス還元などが行われるなど、消費増税を巡る動きはこれまで2度行われた増税よりも複雑です。10月の消費増税で何が変わるのか、事前にきちんと理解しておきましょう。また、こうした消費増税に伴う影響は、小売業者や仕入れを行う一般事業者においても少なからず生じます。ビジネスマンの方は、増税前後で何が起こり得るのかを前もって予測し、事前に対策を立てておくことが大事です。

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