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消費増税③ 増税(法改正等)が決議されるまでの流れを分かりやすく解説

公開日2019/09/30 更新日2019/10/01
消費増税③ 増税(法改正等)が決議されるまでの流れを分かりやすく解説

消費増税が2019年10月1日に実施され、8%のまま据え置かれる飲食料品、新聞等以外の全ての品目において、消費税は10%とされます。ただ、今回の増税は決してスムーズに制度化されたわけではありません。何度も実施が延期され、ようやく導入が決定されました。

今回は、消費増税が正式決定されるまでどのようなプロセスを経ていたのかについて、分かりやすく解説します。

消費税が増税される理由

現在、日本では高齢化が急速に進展しつつあり、高齢者の社会保障費(医療、介護、年金などの社会保険料)をまかなう財源を確保するには、税収を増やさざるを得ない状況となっています。税収を増やすには所得税や法人税を大幅に引き上げるという方法もありますが、その場合、現役世代のみに負担増が集中してしまい公平とは言えません。また、所得税と法人税による税収は景気の動向に影響されやすく、好景気の時は多く、不景気の時は少なくなるなど税収額が不安定です。

一方、消費税は高齢者を含む国民全体で負担する税であり、さらに景気動向の影響を受けにくく、毎年一定額の税収(現行制度では地方消費税を除いた分で約10兆円)が確実に得られます。社会保障費は景気動向に関係なく必要となるため、政府はその財源として、安定した税収が見込める消費税を充てるのが適切だと考えているのです。

今回、消費税が8%から10%に引き上げることにより、見込まれる税収の増加額は約5兆円。ただ、軽減税率の導入(飲食料品、新聞等は8%のまま据え置かれる制度)により、本来の増収分から約1兆円が目減りする見込みです。

消費税率10%は、もともと4年前に開始される予定

増え続ける社会保障費をまかなうために導入が決定されている「消費税率10%」ですが、その実施のための法改正が国会で決定されたのは、今から約7年以上前の2012年8月のことでした。自民党、公明党、民主党の3党合意によって、当時まだ5%であった消費税を2014年4月に8%に、2015年10月に10%に引き上げる消費税法改正法が可決、成立したのです。このうち5%から8%への引き上げについては、2013年10月に正式に閣議決定され、2014年4月に予定通り実施されました。ところが10%への増税については、2014年の11月に「2017年4月への延期」が決定されます。さらに2016年6月に、政府は増税時期を「2019年10月」へと再度延期しました。既に消費税法の改正が行われているにもかかわらず、10%への増税は2度も引き伸ばされたのです。

10%への増税が、これまで2度も延期された理由とは

なぜ政府は2度にわたって消費増税を延期したのでしょうか。その最大の理由は、消費税率を5%から8%へと引き上げた際に生じた、消費の大幅な落ち込みです。消費税を上げると景気を減速させる恐れがあることは一般的に言われていることですが、2014年4月の増税時に通説通りの影響がまともに出てしまいました。そのため政府としては、8%に増税した翌年の2015年10月時点での10%までの増税を取りやめ、2017年4月まで先延ばしすることにしたのです。政府としては、2015年、2016年と時間が経過すれば、消費の落ち込みは回復するだろうと見込んでいました。

ところが、2016年になっても消費は思うように回復しません。もともと安倍首相は、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災に匹敵するような事態が生じない限り、予定通り消費増税に踏み切るとの意向を示していました。しかし消費の低迷が続く中、政府は2度目の増税延期(2017年4月から2019年10月への変更)を決定したのです。この変更に対しては、消費増税を2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催日に近づけることで、増税に伴う消費の落ち込みを五輪の経済効果で補うことを期待したのではないか、とみる有識者もいます。

2019年10月1日からの開始が、ついに閣議決定される

2018年10月15日に行われた臨時閣議の場で、安倍首相は「2019年10月に消費税を引き上げる」との表明を行いました。また、増税に伴う消費の落ち込みを最小限にすべく、先に述べた軽減税率制度に加えて、キャッシュレス還元制度の導入、自治体によるプレミアム付き商品券の支給なども決定しています。

キャッシュレス還元制度とは、クレジットカードや電子マネー、スマホでの決済など、現金を使わない買い物に対して国が最大で5%のポイント改元を行うという制度。プレミアム付き商品券は、住民税非課税世帯および3歳未満の子がいる世帯に対して、2万5,000円分の商品券を2万円で購入できる(対象の子1人あたり)という制度です。

これまで2度にわたって消費増税が延期されたことから、「三たびの延期が完全にないとは言えない」と報道するマスコミもありました。実際、2019年4月に、萩生田光一幹事長代行が「6月の日銀短観の内容によっては、消費増税延期もありえる」とも述べています。ただ、その発言の後に菅義偉官房長官が増税する方針に変わりはないことを改めて強調。6月11日に政府の政策の基本方針を示す「骨太の方針」の中身が発表され、そこでも2019年10月の消費税10%への引き上げが明記されました。9月の現時点まで変更の発表がないことから、予定通りに消費増税が行われるのは確実でしょう。

まとめ

延期が繰り返されてきましたが、今年10月1日には確実に消費増税が行われます。軽減税率やキャッシュレス還元、プレミアム付き商品券など、増税に伴って導入される各種制度についてきちんと理解しておくと、家計への影響をより小さくできるでしょう。

関連記事:消費増税② キャッシュレス、ポイント還元

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