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コロナ禍で変化の必要性が認識された今、働き方をカスタマイズする時 変わる働き方、求められる適応能力

公開日2020/07/08 更新日2020/07/09

2020年5月4日に公表された、新型コロナウィルスを想定した「新しい生活様式」。

1人1人の感染対策など4つの項目があるうち、「(4)働き方の新しいスタイル」へ対応するには、会社の制度を新しく制定や変更する必要があり、管理部門で働く方の力が不可欠になって来ます。

社内の設備や就業形態、就業規則・人事制度など、管理部門がどのように対応していくべきか。前回に続き、第二弾となる今回は、オフィス内の労働環境の適用や働き方が変わった後の人事評価などについて、西方社会保険労務士事務所代表 西方克巳氏にお話を伺いました。


新型コロナの社内クラスターを防ぐために「(3)オフィスはひろびろと」

― 前回に続き、コロナ以後の新しい生活様式についてですが「オフィスはひろびろと」という項目もありました。これはオフィス内の密を避ける目的ですが、具体的にどういうアクションを起こせばいいのでしょうか?

まずは、既存のオフィスで十分な身体的距離を確保するためには、職場内にいる人の数を減らす必要がありますよね。前回お話したようにテレワークや時差出勤、または1ヵ月単位変動労働制等を設けて出勤する人数や日数を制限することが挙げられます。

― なるほど。やはり3蜜を避け、換気の良いエリアで十分な身体的距離を確保できるようにすることは大切ですね。来客や会議にも影響がありそうですが、これらの対策はどうでしょうか?

来客は最低限に抑え、なるべくビデオ会議等で実施するのが良いかと思います。

どうしても来客がある場合は、手指消毒やマスクの着用の徹底をすること、換気の良い場所で行う、お互いに十分な身体的距離を取って着席する、などの対策を行う必要があります。向かい合って真正面で会話することとならないようレイアウト変更も検討が必要ですね。

これらは来客に限らず、社内ミーティングや執務エリアにも言えます。

― なるほど。もし従業員が感染した場合や職場でクラスターが発生した場合、感染者だけではなく企業全体への影響も大きいので、従業員へのルールやガイドラインの徹底も忘れてはいけないですね。

そうですね。厚労省や日本経団連からも様々なガイドラインが出ていますので、それらを参考に自社に合ったものを作成すると良いでしょう。

労働環境や働き方のルールなどは企業によって異なるので、社労士等に相談しながら進めるのが良いかと思います。

また、作成するだけでなく、きちんと機能するように従業員への十分な周知や説明を行うことも忘れないでくださいね。

テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン - 厚生労働省

新型コロナウイルスに関するQ&A - 厚生労働省

感染予防対策ガイドライン - 日本経済団体連合会

― ここまでは既存のオフィス内での対策についてお伺いしましたが、他にも「オフィスはひろびろと」を実現する方法はあるのでしょうか?

もし余裕があるのであれば、単純に広いオフィスに引っ越すことももちろん考えられます。あとは、既存のオフィス以外に「サテライトオフィス」を用意する企業も増えています。

― サテライトオフィスはたまに聞きますが、どういう位置づけのものなのですか?

本社とは別の場所に借りるオフィスのことです。例えば千代田区が本社であれば、立川辺りにもう1つ作るとかですね。

テレワークはメリットがたくさんありますが、業種によってはセキュリティの課題があって個人PCでの作業やオフィス以外での作業が難しい場合があるかと思います。そういう時は、本社とサテライトオフィスに分かれて出社をすれば密になる状態は防げます。

また、従業員の自宅の近くにサテライトオフィスを用意できれば、通勤時間の削減も期待できます。

― なるほど。新しく場所を借りることになりますが、テレワーク助成金と同じように何かしらの助成があったりするのでしょうか?

「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」が該当します。(注1)

助成金の種類は、毎年厚生労働省から、「雇用・労働分野の助成金のご案内」という雇用関係助成金一覧が記載されている冊子が出ています。何が自社に該当するか考えることは可能です。ただ、毎年新しくなりますし、助成金の数も多いので、専門家や専門の企業にご相談いただいて一緒に検討していくのが良いかと思います。

また、助成金を活用するのに最大の注意点があるので、ここはしっかり認識していただきたいところですね。

(注1)令和2年現在

助成金活用は「計画」⇒「実行」が基本

― 最大の注意点とは、どんなことですか?

どの助成金も、最初に「計画届」を提出してから実行に移すことが必要になります。

よくあるのが実行してしまってから「これって何かの助成金に該当しないですか?」と相談をいただくケースなのですが、それだともう遅い場合があります。

― 確かに、対応を優先するとそのようなケースが起きてしまうのもうなずけます。

計画届を出して、審査があって初めて実行することで助成金の対象になりますので、助成金を受けたい場合は、計画する段階で相談していただいた方が確実です。

その他、雇用関係助成金には、事業主に関する要件がございますので、最寄りの社会保険労務士に相談してください。

雇用関係助成金は、雇用保険に加入している事業主が申請できるものです。ぜひ活用をしてください。

※雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金は、一定の事業主の休業に関して、令和2年5月19日以降に提出する分は、計画届の提出が不要です。

今までも存在していた、色々な働き方。コロナ禍で認識されたこの機会に、働き方をカスタマイズする時。

― コロナ以前も働き方改革が叫ばれ、新しい働き方については導入が始まっていましたが、コロナ以後でデフォルトになりそうな感覚です。

そうですね。でも実は、労働基準法の中には以前から色々な形態の働き方がありました。

働き方の概念がずっと一定だったのでなかなか様々な選択肢を持つ機会が少なかったですが、このコロナ以後は企業ごとに自分たちの会社に合った働き方を選択してチャレンジしていける良い機会になると思います。

9時―18時に捉われず、自宅で自由な時間に働く概念もあります。「フレックスタイム労働制」や「専門型裁量労働制」などがありますが、職種によっては有効な場合もありますよね。

― 日本の働き方が大きく変わろうとしていますね。

そうですね。働き方に対して、今までの日本的な考え方は捨てないといけなくなると思います。

例えば、組織内で上司の考えていることを「察する」ことが良いとされる文化があったと思うのですが、これはテレワークだと難しくなりますよね。コミュニケーションが対面ではなく文字になるので、新しいコミュニケーションに対する適応能力も試されていきます。

評価基準も、今までもしかしたら長く働くことが良しとされていた部分が成果基準になるなど、どんどんシンプルな働き方になっていくのかなと思います。「労働をする」ことについて、新しい観点や考え方が重要になります。

― テレワークにおける人事評価について気を付けるべきことはなんでしょうか?

評価項目を明確にすることは大切だと思います。目の前で一緒に働いていないからこそ、いつまでに何をするのか、目標を明確にし、それに対する評価方法を統一して明確にしておくことで、上司によって評価に差が出ることも防げると思います。

それぞれの目標を設定し、その達成度合いで評価する目標管理制度などを検討しても良いかもしれませんね。

コミュニケーションを適度に取り、ITツールなどもうまく活用しながら、評価する側、される側双方にとって、何が評価されるのかを明白にしておくことは大事なポイントとなるでしょう。

管理部門の方は、会社の制度を決定し、運用していく重要なお立場だと思うので、自社に合う「新しい働き方」を積極的に考えていっていただきたいと思います。

関連記事:新型コロナウィルス以後、働き方の概念が変わる?!新しい働き方に必要な制度とは?




【プロフィール】
西方 克巳
西方社会保険労務士事務所 代表


「平成15年社会保険労務士試験合格後、大小様々な企業の管理部門にて、勤務社会保険労務士として従事。

平成29年4月1日、東京都新宿区に社会保険労務士事務所を開業。
給与計算から社会保険手続、労務相談、就業規則作成、助成金申請まで幅広く対応。
WEBサイトはコチラ

東京都社会保険労務士会会員 登録番号第13090084
一般社団法人社労士成年後見センター東京 正会員
東京都社会保険労務士会 新宿支部 研修委員長
東京都社会保険労務士会社労士110番相談員」


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