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HR総研:「緊急事態宣言の延長による新卒採用への影響」に関するアンケート 結果報告 ~現在の新卒採用活動「縮小」「停止」「中止」で4割近く、大企業の7割で最終面接までオンラインのみの可能性も~

公開日2020/07/15 更新日2020/07/16

ようやく落ち着きを見せている新型コロナウイルスの感染拡大であるが、4月7日~5月6日の1ヶ月に渡る緊急事態宣言が政府により発出され、なんとか感染拡大の収束を図ってきたものの緊急事態宣言解除には至らず、5月4日には5月31日までの期間延長が発表された(結果的に5月25日に全都道府県で解除となるも、調査当時は特定警戒のうち8都道府県において緊急事態宣言の延長期間中)。国民はこの期間における外出自粛の継続が求められ、倒産を余儀なくされる企業も増加している。

このように企業活動に多大なる影響が出ている中、緊急事態宣言の延長は、本来ならば真っ只中であるはずの企業の新卒採用活動にも、少なからず影響を及ぼしていることが推測される。

HR総研では、2月中旬から新型コロナウイルス感染拡大による企業活動等に関する緊急調査を実施しており、今回は、新型コロナウイルス関連調査の第4弾として、「緊急事態宣言の延長による新卒採用への影響」に関する企業の最新動向を調査した。その結果をフリーコメントも含めて以下に報告する。

<概要>

●既に「採用活動への影響が出ている」企業が6割以上、大企業では8割

●「対面での説明会・面接ができない」が7割、中堅企業では応募数の減少も

●現在の新卒採用活動は「縮小」「停止」「中止」で4割近く、中小企業の2割近くで「停止」

●縮小/停止/中止の理由に「経営状況の悪化を予測」が最多、中小企業の3割で「オンライン化への対応不足」

●「来社を伴わない面接への変更」が7割以上、採用手法は「逆求人型」を重視

●大企業の7割近くで「最終面接までオンライン面接のみの可能性あり」

●内々定出しの開始時期は「2020年6月」が最多、既に開始は4割近く

●インターンシップ実施予定は4割、昨年より減少傾向

●インターンシップ開催の開始時期「未定」が2割、「オンライン開催」「少人数制」に変更も

既に「採用活動への影響が出ている」企業が6割以上、大企業では8割

まず、「新卒採用活動への影響度の進捗」について見てみる。

「大きな影響が出ている」は25%、「まあまあ影響が出ている」は39%で、これらを合計した「影響が出ている」(以下同じ)とする企業の割合は64%と6割を超えており、3月末に実施した前回調査(以下同じ)の58%から6ポイント上昇し、さらに深刻度が増していることが分かる(図表1-1)。

企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「影響が出ている」が78%で、従業員数301~1,000名の中堅企業では「影響が出ている」が76%となっており、ともに8割近くの企業に、既に少なからず影響が出ていることが分かる。一方、従業員数300名以下の中小企業では「影響が出ている」が53%となっており、半数は超えているものの、大企業及び中堅企業と比較すると影響が出ている企業の割合が低い結果となっている(図表1-2)。

【図表1-1】新卒採用活動への影響度の進捗

【図表1-2】企業規模別 新卒採用活動への影響度の進捗

「対面での説明会・面接ができない」が7割、中堅企業では応募数の減少も

「影響が出ている」とする企業について「影響が出ている採用業務の内容」を見ると、「対面での説明会を開催できない」が71%で最多となっており、次いで「対面での面接選考が実施できない」が69%、「採用スケジュールが遅延する」が60%などとなっている。前回調査では「採用スケジュールが遅延する」(66%)が最も多く、次いで「対面での説明会を開催できない」(54%)となっていたが、特定警戒のうち8都道府県において緊急事態宣言の延長期間中であった今回調査時点では、目の前にある説明会や面接選考等の業務に支障が出ている企業が増加していることがうかがえる(図表2-1)。

また、企業規模別に見ると、大企業では「対面での面接選考が実施できない」(74%)、「対面での説明会を開催できない」(72%)が上位を占め7割を超えており、これらの項目は、いずれの企業規模においても上位に挙がっている。また、中堅企業では「対面での説明会を開催できない」が82%で最多となるとともに、大企業及び中小企業より著しく割合が高いのが「例年より応募エントリーが減少する」(38%)と「例年より説明会への参加者数が減少する」(34%)であり、学生との接触の機会が失われたことによる焦りがうかがえる。

さらに、中小企業では「説明会や面接のオンライン化ができていない」(16%)が、未だに2割近くあり、オンライン化への対応に遅れていることが採用活動に大きな影響を及ぼしていると推測される(図表2-2)。

【図表2-1】影響が出ている採用業務の内容

【図表2-2】企業規模別 影響が出ている採用業務の内容

2021年入社採用計画は「前年並み」が6割、3月時点よりブレーキの兆しも

次に「2021年入社採用計画の2020年4月入社者数に対する増減」について聞いてみると、「前年並み」が58%と最多であり、次いで「減らす」が19%、「採用なし」が17%、「増やす」は7%にとどまっている。

2021年新卒採用動向調査(3月動向調査、以下同じ)の結果と比較すると、「減らす」(3月動向調査時11%)は8ポイント増加し、「採用なし」(同10%)は6ポイント増加している。一方、「増やす」は3月動向調査時(13%)より6ポイント減少しており、新型コロナウイルスの影響を受けて、企業は新卒採用活動に対してブレーキを踏み始めていることがうかがえる(図表3-1)。

企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「前年並み以上」(「増やす」と「前年並み」の合計)が6割を超えているものの、大企業では「減らす」が30%、中堅企業では21%を占めている。また、中小企業では「採用なし」が28%と3割近くを占める状況となっている(図表3-2)。

では、現在の採用活動はどのような状況にあるのだろうか。

【図表3-1】2021年入社採用計画の2020年4月入社者数に対する増減

【図表3-2】企業規模別 2021年入社採用計画の2020年4月入社者数に対する増減

現在の新卒採用活動は「縮小」「停止」「中止」で4割近く、中小企業の2割近くで「停止」

現在の採用活動については、本年度採用活動の「目標採用人数を変更せず実施している」が最も多く58%で、次いで「停止中」と「当初から採用予定がない」がともに13%、「縮小して実施している」が11%などとなっている。ちなみに、「縮小」「停止」「中止」を合計すると37%で、4割近くが当初の目標よりマイナスの方向修正を行っているこの状況は、新型コロナウイルスによる企業に与えるダメージの大きさを示している(図表4-1)。

企業規模別に見ると、大企業では「変更せず実施」が58%で最多ではあるものの、「縮小して実施」が26%、「停止中」が10%、「中止」が2%となっており、これらを合計すると38%の企業において、何らかの形で採用活動にブレーキをかけざるを得ない状態に陥っていることが分かる。また、中堅企業においては74%が「変更せず実施」している一方で、中小企業では「停止中」が16%となっており、新卒採用活動への影響の深刻さがうかがえる(図表4-2)。

【図表4-1】現在の新卒採用活動状況

【図表4-2】企業規模別 現在の新卒採用活動状況

縮小/停止/中止の理由に「経営状況の悪化を予測」が最多、中小企業の3割で「オンライン化への対応不足」

新卒採用活動を「縮小/停止/中止した理由」については、「経営状況の悪化が予測される」が41%で最多となっており、次いで「採用コスト及び採用後の人件費を抑える」が30%、「オンライン化に対応できていない」「既に経営状況が悪化している」がともに20%などとなっている(図表5-1)。

企業規模別に見ると、いずれの企業規模においても「経営状況の悪化が予測される」が最多となっており、特に大企業では53%と半数を超え、中堅・中小企業と比較して顕著に高くなっている。また、次いで多い「採用コスト及び採用後の人件費を抑える」については、すべての企業規模において3割前後となっており、経営状況の悪化が予測される中、可能な限りコストを削減して守りの姿勢を取っている企業が増加していると推測される(図表5-2)。

さらに、中小企業においては「オンライン化に対応できていない」が31%と大企業や中堅企業より高くなっている。コロナ禍における採用活動にはオンライン化への対応が必須条件となりつつある中、いかに低コストでオンライン化に対応した採用活動の基盤を整備できるかが、多くの中小企業における採用活動の継続可否を左右していることがうかがえる。

【図表5-1】採用活動を縮小/停止/中止した理由

【図表5-2】企業規模別 採用活動を縮小/停止/中止した理由

採用活動中の大企業「採用工程等を変更している」が8割、中小企業では半数

新卒採用活動を実施中、もしくは停止中の企業における「採用工程や手法の変更の有無」については、「変更(を予定)している」が66%、「変更(を予定)していない」が34%となっている(図表6-1)。

これを実施状況により比較すると、「(採用活動を)実施中」(「目標採用人数を変更せず実施」、「拡大して実施」、「縮小して実施」の合計)の企業では「変更している」が67%と7割近くで、「停止中」の企業では59%と6割であり、採用活動を継続している企業で、状況の変化により早く対応し持続可能な採用活動を実現している企業が多いことが読み取れる(図表6-2)。

企業規模別に見ると、「変更(を予定)している」とする割合は、大企業では79%、中堅企業では78%といずれも8割近くを占める一方、中小企業では50%と半数となっている。このような大企業や中堅企業と中小企業との間に生じている「コロナ禍における採用活動への対応の違い」の主な要因として、採用活動の規模が小さい中小企業では変更の必要性が低い傾向にあるとともに、前述のとおり、オンライン化への対応ができずに停止している企業など、変更したくてもできない企業も少なからずあることが挙げられる(図表6-3)。

【図表6-1】採用工程や手法の変更の有無

【図表6-2】実施状況別 採用工程や手法の変更の有無

【図表6-3】企業規模別 採用工程や手法の変更の有無

「来社を伴わない面接への変更」が7割以上、採用手法は「逆求人型」を重視

「採用工程や手法を変更している(する予定)」とする企業に対して「変更の内容」を聞いてみると、「来社を伴わない面接に変更」が最多で75%となっており、次いで「来社を伴わない説明会に変更」が65%などとなっている。上位2項目はいずれも「来社を伴わない」がキーワードであり、したがって「採用活動のオンライン化への対応」に直結する変更と言えるだろう(図表7-1)。

これを企業規模別に見ると、いずれの企業規模においても上位2項目は全体の傾向と同様で、大企業では「在宅で採用業務を行う」が47%となり、上位3項目はすべてオンライン化への対応に関連する変更となっている。また、中堅・中小企業では「採用スケジュールの見直し」も過半数であり、オンライン化に対応しながら社会情勢の動向を慎重に判断し、上手くバランスを取って採用活動を実施しようとしていることがうかがえる(図表7-2)。

また、「採用手法に関する変更」について見てみると、大企業で「逆求人型サイトの活用」(18%)が最も多くなっている。企業が欲しい優秀な人材にピンポイントでアプローチするという点で逆求人型の採用手法は効果的かつ効率的であり、リアルな場で就活生との接触の機会が激減しているコロナ禍における採用活動と相性が良い手法なのではないだろうか。また、これまでの大人数の母集団を形成して、段階的に絞り込んでいく採用手法を見直す機会になったとも言えそうである。

【図表7-1】採用工程や手法の変更内容

【図表7-2】企業規模別 採用工程や手法の変更内容

大企業・中堅企業で「オンライン面接のみ」が7割近くも、中小企業では「対面面接を実施」が過半数

現在の「面接の実施状況」については、「オンライン面接のみを実施」が56%で過半数を占めており、次いで「オンライン面接の他、対面での面接も実施」が23%、「対面での面接のみを実施」が16%などとなっている(図表8-1)。

企業規模別で見ると、「オンライン面接のみを実施」とする割合が大企業では65%、中堅企業では68%と7割近くに及んでおり、大企業では「対面での面接を実施している」(「オンライン面接の他、対面での面接も実施している」と「対面での面接のみを実施している」の合計、以下同じ)の割合は28%と3割未満にとどまっている。一方、中小企業では「オンライン面接のみを実施」は42%で、「対面での面接を実施している」とする割合が52%と過半数を占めており、面接の実態として、大企業及び中堅企業と中小企業との間に既に顕著な違いが表れている(図表8-2)。

【図表8-1】現在の採用活動(面接)状況

【図表8-2】企業規模別 現在の採用活動(面接)状況

【調査概要】

アンケート名称:「緊急事態宣言の延長による新卒採用への影響」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年5月15日~5月20日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、採用担当者、人事全般担当者
有効回答:224件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。

1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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【Eメール:souken@hrpro.co.jp】

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。


記事提供元

HR総研(ProFuture株式会社)
HR総研は企業人事の取り組み、人事ソリューション市場、労働環境・働き方などの現状調査と展望予測を行う「人事領域の開かれた調査機関」です。自社独自で行う調査だけではなく、他の調査機関・企業とも共同で調査を実施し、その結果を広く社会に共有していきます。

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