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監査役って聞くとすごい感じがするけれど、実際どんな人なの?

公開日2018/07/06 更新日2019/08/07
監査役って聞くとすごい感じがするけれど、実際どんな人なの?

グローバリゼーションの進展、深刻な少子高齢化などにより社会経済構造の大きな変革が求められています。企業が将来的に成長、繁栄していくためには、コーポレート・ガバナンスのあり方を社会的にも経済的にも望ましいものにする必要があります。バブル崩壊後、多くの企業は商法改正に則って内部ガバナンスの改革を始めました。現在ではより一層のガバナンス体制の強化について、活発に議論・検討がされています。

企業価値の向上と社会的責任(CSR)を果たすため、企業は健全かつ公正な経営を行わなければなりません。その実現の役割を担っているのが、「監査役」を含めた役員です。「監査役」という言葉は、よく聞かれる言葉ですが、実際はどのような役職なのでしょうか。

監査役の種類

企業の監査役には、「社内監査役」と「社外監査役」の2種類があり、それぞれに「常勤監査役」と「非常勤監査役」が存在します。常勤が社内監査役、非常勤が社外監査役である場合が多いようです。

「社内監査役」は、当該企業の役員や従業員であった経歴のある社内出身の監査役のことをさします。対して、「社外監査役」とはその就任の前の10年間に、その会社又は子会社の業務執行取締役等であったことがない、社外出身の監査役のことをさします。「社内監査役」は企業情報に周知しているので、効率よく調査や情報収集ができることがメリットですが、客観性に欠けるといったデメリットもあります。そのようなことから、「社外監査役」を置き、客観性を持って、第三者的な立場から監査を行うことが必要となるのです。

監査役の設置基準

資本金5億円以上または負債総額200億円以上の「大会社」や「取締役会」を設置している企業など、一定の条件を満たす企業は会社法によって必ず監査役を置くことが定められています。

「取締役会」を設置している企業でも、会計参与を置く場合は原則として監査役を設置する必要がありません。ただし、「大会社」の場合は監査役を設置しなければなりません。その理由は、業務執行と監査役を分離することで、コーポレート・ガバナンスを十分に機能させるためです。

監査役は株主総会で選任され、その監査役で「監査役会」を構成します。「監査役会」の半数以上は社外監査役としなれればなりません。監査役の任期は4年で、10年まで延長することも可能です。監査役の4年という任期は取締役よりも長く、その立場が強く保護されています。

なお、常勤監査役はひとつの企業に1名以上置くように定められておりますが、「大会社」かつ「公開会社」の場合は、監査役は3名以上であることが求められます。その内1名は常勤監査役を置くように定められています。

監査役・監査役会の権限

取締役会において、取締役は不正や違法行為が行われていないか相互チェックします。しかし、取締役会がなれ合いなどによって、不正行為のチェックがあいまいになることも考えられます。そのリスクに対処するために監査役が設けられているのです。

監査役の権限は会社法で定められています。たとえば、取締役の職務の執行の監査は、不正がないかなどを独自で調査することができます(独任制)。また、取締役に対する事業報告請求権、企業の業務や財産の状況の調査権があり、違法行為があった場合の差止請求権もあります。

監査役は、取締役と企業間の訴訟代表権や、取締役が被告となった場合、被告側へ企業が補助参加することに対しての同意権もあります。取締役会に対しては、出席義務、意見陳述義務があり、招集請求権、招集権、また子会社に対しての調査権もあります。

監査役が単独で持つ権限を上述しましたが、「監査役会」として持つ権限もあり、これも会社法で定められています。主な権限としては、監査役の選任に関する議案同意権、議題提案権、議案提出請求権が挙げられます。また、会計監査人の解任権、選任・解任・不再任に関する議案の決定権もあります。さらに、取締役、会計監査人から報告を受ける権限も持っています。会計監査人の報酬などに対しての同意権もあります。

監査役の兼任と報酬

監査をする側と受ける側が同一であれば、監査の正確性、公正性が疑われます。従って、監査役は当該企業の取締役や従業員、会計参与などとの兼任を禁止されています。しかし、当該企業が子会社である場合、監査役はその親会社の取締役や従業員と兼任することは可能です。

監査役への報酬は、監査を受ける企業から支払われます。
監査役への報酬の支払いは義務ではありませんが、監査役が職責を果たし、監査役としての資質も十分であれば、それに見合った報酬を支払うことは当然でしょう。企業としては、監査役となる人物像をしっかりと把握し、適当な人物であるかの判断、見極めが重要となってきます。

「適法」な企業経営を目指して

企業は、監査の実効性を高めるために、監査役と内部監査・内部統制部門との連携の強化を図ることが重要となってきます。また、不正の端緒を正確かつ迅速につかむためにも、内部通報システムの受領先に監査役を加えることが望ましいです。
役員間で、情報共有、充実した意見交換の場を持つことが、スムーズな監査に役立ちます。

これまで説明してきたことからもわかるように、監査役の最も重要な役割は、企業経営の「適法性」を監査することです。
企業はそもそも公正な経営を心がけなければいけません。監査役の指摘を受ける以前に、経営に不正な点がないかなどの内部統制を構築しておくことも必要となります。
連日のように、企業の不祥事が報道される今日において、まずは企業自体が誠実なスタンスで経営に取り組んでいるか見直すことが重要でしょう。


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