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今年の世界の株式相場は値動きが激しく、月間ベースではコロナパンデミック以来、最悪になるという悲観的な観測もあるようです。
昨年、過去最高を記録したIPO(新規株式公開)も、上場計画を延期または中止するなど、今年は厳しいスタートとなりました。
さて、今年のIPOはどうなるのでしょうか。
ブルームバーグによると、今年の世界のIPOは総額267億ドル(日本円で約3兆800億円)規模で、前年同期比60%ダウンという厳しいスタートとなったと報じています。
その背景にあるのが、金利が上昇するという見通しやコロナ禍による景気の減速傾向、さらにウクライナを巡るアメリカとロシアの地政学的な緊張が続いていることなどが、株式市場にも大きな影響を及ぼしているとされています。
株式市場に潤沢な資金が流入してくるのは、株価が上昇するという期待があるからです。購入価格よりも高い値が付けば、それを売却することで利益を得ることができます。ところが、株価が購入価格よりも下がれば、その分がマイナスとなります。
ですから、経済が上向きとなり株価が上がるという見通しがなければ、投資行動を自粛することになるでしょう。投資家心理とすればそれは順当な考え方ですが、果たしてその傾向が今年後半まで続くのかどうかが気になるところです。
さて、株式市場の低迷を示す悲観的なデータはいろいろあります。たとえば昨年、大いに盛り上がったIPOも、これまでに10社が18億ドルを調達するにとどまり、前年比9割減となっています。
また、2022年が明けたばかりというのに、これまでに撤回されたIPOは世界全体で62億ドルと前年のほぼ2倍となっています。
アメリカの調査会社ディールロジックは、新興企業や特別買収目的会社(SPAC)の26社が、既に上場計画の延期、または中止を決断するなど、全体的に上場を控える動きが加速していることを伝えています。
こうした悲観的なデータを示されると、ますます投資意欲が冷めてしまいそうですが、一方で、昨年の過熱したIPO市場を思い起こさせるような値動きを示したのが、韓国のLGエナジーソリューションです。
韓国では過去最大となる107億ドル規模のIPOとなり、上場初日には70%ほど上昇して取引が終了しました。
また、上場が近いとされるインド生命保険公社(LIC)の評価額は、最大2,030億ドル(日本円で23兆円)に達すると見込まれることを、ブルームバーグが報じています。
2022年の新規上場を取り巻く環境は、さまざまな要因から全体的には厳しい状況にあります。それでも投資家心理を刺激するほどの成長が期待される企業の存在が、世界にはあるということです。
それにしても、業績や将来性に関係なく、上場さえすれば株価が上るというのは、決して健全な株式市場とはいえません。企業の価値が、正当に評価されてこその株価です。
では、株価は評価に連動するのかといえば、そこには投資家の思惑など、業績とは無縁の力学が働きます。さて、波乱の予感さえする今年のIPOですが、日本経済の動向とともに目が離せなくなりそうです。
残念ながら、いまのところ世界の投資家が注目するIPO企業に日本の企業は入っていないようです。グローバルな株式市場を目指した最高位のプライム市場も4月からスタートしますが、果たして世界の投資家がそこに着目することになるのでしょうか。
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