公開日 /-create_datetime-/
厚生労働省は、国民健康保険料の年間上限額を来年度から2万円引き上げることを、厚労省の諮問機関である社会保障審議会の部会で提案し、政令を改正する方針を固めました。値上げラッシュが続いているだけに、またしても生活を圧迫することになりそうです。国保料引き上げの背景にあるものとは、いったい何なのでしょうか?
厚生労働省は、国民健康保険料の上限額を2万円引き上げ、年間104万円とする方針です。国保料の上限額は、今年度3万円引き上げられたばかりで、これが通れば2年連続の上限額引き上げとなります。
国保料上限額引き上げの対象となったのは、概算で年収1,000万円以上の国保加入者ということですが、厚労省の試算によると、対象となったのは加入者の1.58%です。
上限額引き上げの背景にあるのは、急速に進む高齢化による医療費の増大で、国民健康保険の財政が厳しい状態にあるからです。
その国民健康保険制度を支えていくためには、国保料そのものを引き上げなければなりませんが、全加入者の国保料を値上げするわけにもいきません。国保料は所得に応じて決まりますから、高所得層の上限負担を引き上げることで、中所得層の負担を少しでも軽減しようというのが、上限額引き上げの狙いのようです。
日本は、国民皆保険制度ですから、何らかの健康保険に加入することが原則です。健康保険には、国民健康保険、組合管掌健康保険、共済組合、協会けんぽ、船員保険があり、自営業者やフリーランスが加入するのが国民健康保険です。
また、定年となり現役をリタイアした高齢者も、国保に加入しています。つまり、現役世代の加入者が多い他の健康保険に比べると、高齢者の加入割合が高いのが国民健康保険で、財政も一段と厳しい状況にあるといえるでしょう。
現役世代とリタイア組の収入を比較すれば、常識的には現役世代の方が高いはずです。もちろん、リタイアした高齢者でも高収入を得ている人もいますが、はたして、2年連続の上限額引き上げが、国民健康保険の財政を潤す効果となるかについては、疑問の声も多いようです。
今回の上限額引き上げは高所得層が対象ですが、中所得層や低所得層も安心しているわけにはいきません。日本は超高齢社会に突入しているため、これから高齢者の医療費はますます増えることが予想されています。
そうなると、加入者の保険料負担がさらに重くなることを覚悟しておく必要があります。国民健康保険料は所得や居住地で違いますが、日本共産党政策委員会の調査によると、2022年度に国民健康保険料を値上げした自治体が増えていることがわかりました。
値上げしたのは2017年度が270自治体、2018年度が559自治体でしたが、さすがに2021年度は、コロナ禍の影響に配慮して値上げに踏み切る自治体は少なくなりましたが、2022年度はまだ調査途中での集計ですが、1,648自治体中457自治体が値上げをしています。
もはや、高所得層であれ低所得層であれ、支払うべき国民健康保険料は、確実に増えているというのが実情といえるでしょう。
国民健康保険の加入者には年金生活者も含まれていますが、年金の支給額も減額されています。さらに値上げの波は、国保料だけではなく公共料金や生活必需品にまで広がり、その波は収まる気配がみられません。2023年度は、本気になって生活防衛策を講じる必要がありそうです。
国民健康保険は、都道府県および市町村(特別区を含む)が保険者となる市町村国保と、業種ごとに組織される国民健康保険組合から構成されています。国保財政には国庫負担も含まれますが、その国庫負担を、財務省は廃止しようとしています。そうなると、国保料をますます上げなければならず、日本が誇る国民皆保険制度がどうなるのかも気になるところです。
OFFICE DE YASAI 総務様必見!お役立ち資料
サーベイツールを徹底比較!
元国税庁の電子帳簿保存法スペシャリストが教える|導入のために知っておくべき10のこと
労働契約と業務委託契約の違いとは?契約書に記載すべき重要ポイントを解説
BPOの導入方法 ~業務効率化とコスト削減でビジネス課題を解決~
東京都が全国初のカスハラ防止条例を検討中、企業にも求められるカスハラ対策とは?
経理におすすめの転職サイト・転職エージェントを徹底比較!
コロナ時代の新卒が「若手が成長できる」と感じる30社、トップはP&G 民間調査結果
フリーアドレス制にメリットはあるのか? 経験者の約8割が「同部署の人と近くで働きたい」とする実態、年代による差も
定時株主総会を成功させるためには?事前準備と運営のポイントをご紹介
失敗しない請求書受領システム選び方ガイド【2024年1月最新版】
マンガで分かる電子帳簿保存法&インボイス制度の対応ポイント
契約不適合責任とは?売買契約書で 注意すべきポイントについて
契約書作成の際に必ず押さえておきたい8つのポイント
消費者契約法で無効にならないキャンセルポリシーの作成方法
【会計】中間会計基準・GM課税関連の実務対応報告、次回公表議決へ─ASBJ 旬刊『経理情報』2024年4月1日号(通巻No.1706)情報ダイジェスト/会計
「経理職」に聞いた「仕事とキャリア」の意識調査!【2024年】
国税庁「電帳法の疑問に答えます」 クラウド対応など、多く寄せられた質問と見解を公表
内定者の約8割が「社会人に向けて不安」…内定辞退や早期離職を防ぐための内定者フォロー・新入社員受け入れのポイントとは?
2024年の春闘、大企業の回答傾向・結果は?
公開日 /-create_datetime-/