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内閣府が2023年1~3月期の国内総生産(GDP)が、3四半期ぶりのプラス成長となったことを発表した。経済活動や社会生活がアフターコロナに向けて着実に動き出していることに期待も高まっている。
しかし、それとともに浮上しているのが人手不足の問題である。帝国データバンクの調査によると、4月時点で正社員の人手不足を感じている企業の割合は半数を超える51.4%で、調査を開始した2006年5月以降、最も高い割合となっている。
また、非正規社員の不足感も30.7%で、コロナ禍前の2019年4月以来、実に4年ぶりに3割を超えるなど、正社員でも非正規社員でも、企業は深刻な人手不足状態となっていることがわかる。
では、この企業にとっては致命的な課題に、どのような方法で乗り切ろうとしているのだろうか。帝国データバンクが、上場している外食主要100社に人材確保・人手不足の要因についてのアンケート*で、人材確保策のトップにあがったのが「賃上げ」(51.7%)である。
休憩スペースや社内相談窓口の設置など「働きやすい職場環境づくり」と「定年延長やシニアの再雇用」が3割台で続いているが、人材を確保するうえで欠かせないのは、なんといっても仕事に見合った報酬ということである。
もっとも、人材確保につながる賃上げの実現は、上場企業など資本力のある大手企業だからこそできる戦略だ。
小規模事業者や個人経営の飲食店では、高給を提示して募集するわけにもいかない。無理に賃上げをしても、いずれ経営が行き詰まってしまうことも十分に考えられ、営業を継続することさえ難しくなる可能性さえある。
人手不足は外食産業だけでなく、「物流の2024年問題」を抱える運送業界や、コロナ禍の影響を強く受けた宿泊業、小売業、医療福祉関連業もなかなか人が集まらず、人材確保で苦労している。
しかし、経済活動がアフターコロナに向けて動き出しているとはいえ、世界経済は先の読めない混とんとした状態が続いている。人手が足りないからといって賃金を上げて集めても、景気回復の波が続くという保証はない。
アメリカの銀行が相次いで破綻するなど、世界的な金融不安に陥るリスクも消えず、むしろ予断を許さない状況だ。いずれにしても、人手不足は一時的なものではない。労働生産人口の減少が続く限り、日本企業に襲いかかる問題であることを認識しておく必要がありそうだ。
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*【調査概要】
調査対象:上場する外食主要100社。各社発表(店頭開示含む)に基づく。対象は、季節限定などを除いた各社定番メニューを主体とした
対象期間:2023年5月12日~16日
調査機関:帝国データバンク
■参考サイト
PR TIMES|人手不足解消のカギ、「賃上げ」が51.7%でトップ リスキリングによる成長や働きやすい環境の見える化などが課題に
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