詳細はこちら
サービスロゴ

学ぶ

Learn

サービスロゴ

もらえる!

Present!

模倣品・海賊版の被害事例や対策について

公開日2018/12/12 更新日2018/12/12

毎年、経済産業省と特許庁の合同で実施される「模倣品・海賊版撲滅キャンペーン」。今年は「コピー商品撲滅キャンペーン」と名前を一新して、模倣品・海賊版を購入しないだけでなく、容認しない国民の意識づくりを目指しています。

今回は、模倣品・海賊版の被害事例や対策について紹介します。

関連記事:中国における知的財産保護を目的とした新組織設立


模倣品・海賊版とは

実は、模倣品は、法律上には定義がありません。

特許庁によると、一般的に模倣品とは、既に市場で流通している商品を意図的にコピーしたり、模倣したりした商品のことを言うとされています。

模倣品は通常、専利権(発明特許権、実用新案権、意匠権を含む)、商標権などの知的財産権を侵害します。その中で特に、著作権を侵害している商品が、海賊版と呼ばれるようです。

模倣品・海賊版は通常、ブランドとして価値の高い真正品を模倣して、正規料金よりも安価で販売されます。模倣品・海賊版の流通は、真正品の売上へのダメージに加え、ブランドの信用を低下させ、ブランドイメージを損なわせます。

近年は、インターネットの普及により、模倣品・海賊版の被害が拡大しています。また、企業の海外進出の勢いが続く一方、海外で商標権などの知的財産権の権利を主張するには、その国ごとで取得する必要があり、その対応に企業が追い付けていない状況です。


模倣品・海賊版の被害状況

実際、日本企業が受けた模倣品・海賊版による被害はどのような状況でしょうか。

特許庁の調査によると、日本の産業財産権を保有する企業のうち、2016年に模倣被害を受けた企業数は、9,284 社でした。このうち、模倣品の被害状況を「模倣品の製造国」と「模倣品の販売提供国」でみてみると、どちらも中国で最多の被害にあっていることが表れています。製造国が中国である企業数は3,315 社、販売提供国が中国である企業数は2,623 社にのぼっています。

2015年の被害額をみると、100億円以上の被害を受けた企業が全体の38.9%を占め、3億円以上の被害を受けた企業は全体の89%を占めており、模倣品は日本企業に大きな影響を与えているといえるでしょう。


模倣品・海賊版の被害事例

模倣業者による模倣品・海賊版の被害事例をひとつ、ご紹介します。

<模倣業者>

韓国の有名ファンシー用品販売会社A社

<権利者>

日本の有名玩具メーカーB社

<概要>

A社がB社の人形玩具と酷似した人形玩具(中国製)を販売した。模倣品パッケージにはB社の商号商標・JAN コード・日本玩具協会認証マーク(STマーク)が表示され、あたかもB社製品のように誤認を起こす恐れがあった。B社は、商号商標は登録済みだが、人形のマスコット名はまだ出願中で、人形に対するデザイン権も保有していなかった。

<結果>

B社はA社に侵害行為の差止めと、損害賠償を要求する警告状を送付した。A社は侵害行為を認め、在庫品の情報を提供し、和解金 2000 万ウォンを支払うと共に、取引先から回収した在庫品 1113 点を現地代理人に提供した。


模倣品・海賊版の被害に遭わないために

企業が模倣品・海賊版の被害に遭ったらどうすればいいのでしょうか?

ここでは、日本企業が海外の模倣業者からの被害に遭わないための対策と、被害に遭った場合にとるべき対処法をご紹介します。

①権利取得

海外の模倣業者によって、製造もしくは販売された模倣品と戦うためには、真正品の権利者がその国の法律により保護される知的財産権を有していることが必要となります。まず、当該国で、知的財産権を取得しましょう。

② 事前調査と模倣業者の確認

次に、企業は模倣品の事前調査を行います。模倣品の製造者や販売者を確認し、模倣品の製造、販売状況などの情報を収集することが目的です。事前調査は証拠集めや具体的な対応策の選定のために行われます。

③ 収集すべき証拠

収集したい証拠には、模倣品の現物、カタログ、写真及び領収書などがあります。証拠としての証明力を高めるために、公証を取っておくとよいでしょう。

④ 対策の選定

模倣品・海賊版の対策として

・警告書の送付と交渉

・厳正声明の発表

・訴訟

などの措置をとることができます。

・警告書の送付と交渉

権利者は、自分の権利、模倣業者の侵害行為、模倣業者への要求を記載した警告書を模倣業者に送付できます。

警告書の送付によって、模倣業者が要求に応じれば、早期に解決を図ることができますが、模倣業者は密かに証拠を隠滅し、権利者の要求を無視する場合があるので注意が必要です。また、模倣業者は、警告状を証拠として、模倣業者の非侵害確認訴訟を提起する場合もあるのでご留意ください。

・厳正声明の発表

厳正声明とは、権利者が業界の雑誌、新聞などに自らの権利を明言することをいいます。厳正声明は模倣品の鑑別方法や注意喚起を消費者へ示す効果があります。

ただし、不正競争を理由として模倣業者に提訴されるおそれもあるので、事実に基づいた内容のみ掲載しましょう。この措置は、法的な効力はないため、他の措置も実施する必要があります。

・訴訟

訴訟は知的財産権を保護するための最終手段といえます。

法的に最も効力があり、模倣業者に徹底的な打撃をあたえることができる方策です。訴訟を起こす場合、証明力の高い証拠が必要となるので証拠収集は必要不可欠となります。訴訟には時間と高額な費用がかかるので費用対効果を加味し検討しましょう。


まとめ

模倣品・海賊版の流通は、真正品の権利を持つ企業にとって大きなリスクの一つです。

企業は、模倣品・海賊版の被害に遭わないように、「売上の高い商品は主要国で知的財産権を取得する」などの予防策をとることが必要と言えるでしょう。また、被害に遭った際は、今回紹介した対策を検討し、速やかに実行しましょう。

ニュースを読んでポイントGET!(公開日の翌日13時前限定で取得可能)

おすすめコンテンツ

関連ニュース

人気記事ランキング

キャリア記事ランキング

新着動画

関連情報