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新入社員を会社の戦力として育成していく上では、上司や先輩による適切な指導が欠かせません。本人の特性や能力を伸ばせるよう指導すれば、早い段階で仕事をこなせるようになるでしょう。しかし誤った指導法を行うと自信・意欲の喪失を招き、場合によっては早々に退職・転職されてしまう、ということも起こり得ます。
今回は、新入社員を指導する上で注意すべきポイントについて見ていきましょう。
新入社員は勤続10年、20年という上司・先輩に囲まれ、しかも仕事についての知識、経験も無いため、入社・配属されて間もない頃は萎縮しやすい傾向にあります。そのため指導するにあたっては、まずはお互いに人間関係を構築することが大切です。仕事とは別の話題も含めてお互いの理解を深め、コミュニケーションを取りやすい状況を作っておくと、指導の効率が格段にアップします。
人間関係を築いていく上では、先輩・上司の側が新入社員を受け入れる姿勢・態度を見せることが重要です。「新人の指導なんて面倒だ・・・」などと思っていると、その心情が指導姿勢・態度に必ず現れ、新人社員にも伝わります。そうなると、指導を受けている最中でも「自分は面倒くさがられている、嫌われている」と思うようになり、しっかり学ぼうという意欲が減少してしまうでしょう。多少厳しく接することがあっても、指導への情熱、育てようという愛情があれば、新人社員はついてきます。
新入社員を指導するにあたって、実際に行う作業内容と作業手順だけを教えるというのはNGです。モチベーションを維持して仕事に取り組んでもらうためには、取り組んでもらおうとしている作業が会社全体の中でどのような意義を持ち、具体的にどのような成果(製品・サービス)につながるのかを必ず伝えましょう。
新入社員ですから、最初から大きな業務・責任を負うことはできません。しかし仕事の全体像を理解し、自分がその中でどのような役割を果たしているのかを知れば、単純な作業に取り組む場合でも意欲を持続できます。
指導する側にとっては「できて当然」と思われる業務であっても、新入社員にとっては初めての経験です。最初のうちは、とにかく分かりやすく作業内容を伝え、手順や注意点を丁寧に説明することを心がけましょう。
ただ、新入社員に口で作業内容・手順の説明をし、「分かった?」と内容を理解したのかを尋ねても、あまり意味はありません。実際に体を動かして作業に取り組んだ経験が無いので、仮に「理解しました」と言ったとしても、あくまで話の内容を頭の中で認識しただけです。
そのため、現場で指導を行う場合、口で説明してすぐに作業をしてもらうのではなく、指導する側が実際にやっている様子を何度も見せましょう。「説明したことを、実際にやるとこうなります」という具体例を実演することが、頭の中だけではなく体感・実感として理解してもらう上で必須です。自分でやってみせてから新入社員にやってもらい、その上で作業内容・手順の理解が十分かどうかを確認しましょう。
新人ですから、業務中の失敗はつきものです。その場合、「なぜうまくいかなかったのか」などをフィードバックすることが指導上欠かせません。ただ、失敗理由を指摘する場合、改善方法を具体的に教えることが大切です。
「どこが悪かったのかを自分で考え、改善策を考えてみなさい」という指導は、一見すると成長を促しているように見えます。しかし、入社数年後の経験を積んだ社員ならばともかく、新入社員は仕事経験が浅く、スキル・知識も乏しいです。そんな社員に業務上の改善案を提示するよう求めても、精神的に追いつめてストレスを与えるだけで、指導上の効果は得られません。「次回からは、このようにしてください」と実際に注意すべきポイントを明確に伝えることで、ミスを防ぐ方法を具体的に学ぶことができ、自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。
将来の管理職候補など新入社員への期待度が高いと、要求する水準が高まってしまい、評価をするにあたって苦手な点、失敗した点ばかりに注目がいきがちです。普段の指導においても、本人に対して「できていないこと」ばかりを指摘していると、最初のうちは努力を続けますが、そのうち精神的に疲れ、中には仕事の継続ができなくなる新入社員も出てくるかもしれません。
経験を積んだ上司・先輩からすると、新入社員の仕事ぶりは一人前とは言えない部分が多いでしょう。そんな新人にマイナス面ばかりを指摘する減点評価で接していても、成長を促すことは難しいと言えます。全体的に見れば未熟かもしれませんが、「うまくできていること」「成功したと思われること」を探し、その点を日ごろから本人に直接伝えましょう。それにより、新入社員は仕事に対するモチベーションをさらに高め、成長しようとする気持ちを高めることができます。失敗・欠点を指摘して萎縮させるのではなく、成功・特徴を評価して気持ちを前向きに保ってもらうことが新入社員指導における基本です。
新入社員にとって入社直後に受けた指導は、その後の社会人生活のあり方を大きく左右する大切なものです。もし指導する側が不適切な教育を行ったら、仕事に対する意欲を早々になくし、場合によっては早期離職を招くことにもなりかねません。新入社員の指導を行うときは、それだけの責任を負っているとの自覚が必要です。
指導を行う場合は、自分が社会人として成長してきた方法を軸にしすぎないことも大事です。自分の成功体験を新入社員に押し付けようとしても、うまくいくとは限りません。新入社員ごとに成長のあり方があるので、その点を考慮した指導を行いましょう。
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