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外国人技能実習制度と4月に施行された入国管理法改正による在留資格「特定技能」について

公開日2019/07/05 更新日2019/07/06

移民政策を実施していない日本では、外国人の就労は大学教授や会計士、英会話教室の講師など「専門的・技術的分野(技術、人文知識)」に限られていたのですが、今年4月に改正入国管理法が改正され、人手不足が続く14の分野について外国人労働者の受け入れが始まりました。専門的・技術的分野以外では、これまでも外国人技能実習生という形で外国人労働者の受け入れが行われていたものの、4月からはより大々的に「労働者」の受け入れが可能になったわけです。

今回は、これまで実施されてきた外国人技能実習制度とは何か、4月から始まった新たな外国人労働者の受け入れ制度である「特定技能」制度とは何か、について解説します。

外国人技能実習制度とは?国際貢献が本来の目的

専門的・技術的分野の労働者に分類されない外国人でも、外国人技能実習制度を利用することにより日本で就労することができました。外国人技能実習制度は、開発途上国の外国人を企業等で最長5年間受け入れて、OJTによって技能を移転するために策定された制度です。1993年に制度化されましたが、制度導入の本来の目的は、発展途上国の有能な人材に日本の技術を吸収してもらって、本国に持ち帰ってもらうという「国際貢献」にありました。

人手不足が続く介護業界で技能実習制度が導入

近年、外国人技能実習制度が本当に「国際貢献」や「技術移転」を目的としたものなのか、疑問符がつく状況となっています。1993年に制度化された当初、技能実習生の受け入れ職種は17種類のみでしたが、その後、漁業や建設分野の左官業など日本人労働者が不足している職種が次々と追加されました。そして2017年には、高齢化が進む中で最も人手不足の深刻化が懸念される介護分野が新たに追加されました。技能実習法第3条では、「技能実習制度は労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定められていますが、事実上、労働力不足を補うかのような状況になってきたのです。

2019年4月からは新たな在留資格「特定技能」が導入

こうした「事実上の人手不足解消策」となり始めていた外国人技能実習制度ですが、政府・与党はこのような状況を改善し、真正面から外国人労働者を受け入れる新制度を導入することを決め、法整備を検討するようになります。その結果成立したのが、今年4月に施行された改正入国管理法です。この改正により、これまで原則禁止されていた「専門的・技術的分野」以外の単純労働の分野、すなわち農業、宿泊、建設、造船、介護など14の分野において、一定の技能水準・日本語能力水準を満たせば在留資格「特定技能」を獲得できるようになりました。

特定技能2号の在留資格を得れば、日本に永住もできる

この在留資格「特定技能」ですが、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。特定技能1号は特定産業分野において「相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」が対象とされ、在留期間は上限5年です。一方、特定技能2号は特定産業分野において「熟練した技能を要する業務に従事する外国人」が対象とされ、在留期間は3年・1年又は6カ月ごとの更新とされ、上限期間は定められていません。つまり、定期的に更新を行えば、日本に永住することもできるのです。特定技能2号については、建設業と造船・舶用工業の2業種に対して2021年度から試験的に導入が開始されます。

外国人の受け入れ拡大が続く背景にある「人手不足」

政府が外国人労働者の受け入れ拡大を目指している背景には日本人労働力の不足があります。では、実際のところどのくらいの不足感があるのでしょうか。内閣府が公表したマンスリートピックス『人手不足感の高まりについて』(平成30年3月2日)では、人手が不足している企業の割合は、「運輸、郵便」で56%、「その他サービス」で55%、「医療・福祉」で55%、「宿泊、飲食サービス」で51%を占め、過半数を超えていると試算されています。また、企業における未充足求人の数は、2010年は全国で約30万人でしたが、2012年には52万人、2015年には101万人、2017年には121万人にまで増加。思うように人材を集められない企業が増えているのが実情と言えます。

そもそも、日本では高齢化が進む一方で出生率が減少し、生産年齢人口が年々減り続けているのが実情です。内閣府の『平成30年版高齢社会白書』によれば、高齢者人口は年々増え続け、高齢化率は2017年に28.0%、2025年には30%を超えると予想されていますが、一方で15~64歳の生産年齢人口は年々減少し、2015年では約7,629万人でしたが、2025年には約7,170万人、2035年には約6,494万人まで減ると予想されています。

今や日本社会は構造的に労働力が減りつつあり、政府が外国人労働者の力を借りようというのも仕方のないことなのかもしれません。ただ、単純労働業種において外国人労働者が増えると治安が悪化するのではないかとの懸念もあり、解決すべき問題は多いと言えます。

まとめ

多くの産業で人手不足が深刻化しつつある中、政府は外国人労働者の受け入れを拡大し、今年の4月には在留資格「特定技能」を新たに設定し、原則禁止とされていた分野における外国人労働者の受け入れを開始しました。今までも外国人技能実習制度によって、人材不足分野で働く外国人労働者は一定数いました。しかし4月の入国管理法改正を皮切りに、今後さらに外国人労働者が日本に流入してくると予想されます。

日本における企業の人手不足感、労働力人口の減少を考えると、外国人労働者の力を借りる必要があるのは正論ではあるでしょう。しかし治安の悪化問題など、早い段階から対策を講じておくべき課題は少なからずあるとも考えられます。

※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁にご確認ください

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