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執行役員とは?執行役員の定義、雇用形態、執行役員制度のトレンド

公開日2019/07/08 更新日2022/11/07

会社での役職には様々なものがありますが、実は役員の中でも「執行役員」は他の肩書きと比べて特殊な部分があります。 ここでは「執行役員と役員の違い」を中心にわかりやすく解説いたします。

会社員にとって、役職や肩書きというものは気になるものですよね。役職にはさまざまなものがありますが、「執行役員」は他の肩書きとは少し異なります。

ここでは、執行役員について、「執行役員と役員の違い」を中心に、解説いたします。

執行役員とは?

それでは「執行役員とは何か」という基本的なところから見ていきたいと思います。執行役員は、役員の中でもとくに業務執行を担当するポジションです。会社役員から指示を受け、事業のトップとして責任を受け持つことになります。なお、厳密な話をすれば、執行役員は会社法が規定する「役員」には含まれません(会社法第329条)。あくまで会社の中の一つの役職という認識です。そうしたことを念頭に置いた上で、執行役員制度や「役員とはどう違うのか?」について見ていきましょう。

執行役員制度について

執行役員とは、会社の業務執行を担当する役員のことです。この制度は1997年6月にソニーが日本ではじめて導入したものだといわれています。執行役員制度を導入した当時のソニーには38人も取締役がおり、スピーディーな意思決定が困難な状況でした。

そのような中、アメリカの会社をモデルにして、会社の業務執行と経営の監督を分離することで、迅速な意思決定の実行を図ったのです。当初、制度導入に伴い、役員だった人が地位を剥奪されることで会社に不満を抱くのではないかという懸念がありました。しかし、執行役員制度なら、これまでと同様の社内待遇を得られるため、大きな不満を招かずに済みました。

若い従業員も活躍することで執行役員を目指せるため、モチベーションを維持して業務に専念できたことから、この制度は次第に多くの企業で導入されるようになっていったのです。

執行役員と役員の違いは?

執行役員は「役員」とついていることから、正式な役員の一員だと思われがちです。しかし、会社の設立・解散、組織、運営、資金調達、管理などについて規律する会社法上、執行役員は役員ではありません。役員と呼ばれる役職は以下のものです。

・取締役

・会計参与

・監査役

これらに加えて、会社法施行規則では「理事」「監事」その他これらに順ずる者を役員としています。執行役員は特定部門の業務執行の責任者ではあるものの、企業経営や重要事項への決定権は持ち合わせていません。そのため会社法上、執行役員はあくまで一般の従業員と同じ扱いになるのです。このように「法律でどのように規定されているか」という部分をしっかりと認識することによって、執行役員と役員の違いをしっかりと理解することができます。「会社法の規定の有無により権限が違う」というのは重要なところです。

ちなみに、取締役は執行役員を兼務できます。実際に中小企業などでは取締役が執行役員を兼務している企業も多々あります。しかし、大手企業などではコーポレートガバナンスの観点から取締役と執行役員を分けることが多いです。

このように、執行役員は正式な役員とは異なりますが、実際にはどのくらいの権限や影響力があるのでしょうか。

企業によって様々な役職を用いますが、一般的によく使われている肩書きを参考にすると序列は上から順番に以下のようになります。

・会長

・社長

・副社長

・専務

・常務

・監査役

・執行役員

・本部長

・部長

・次長

・課長

・係長

詳しくは後ほど解説いたしますが、執行役員は監査役と本部長の間に位置することが多いです。ただし、本部長が取締役となる場合には、執行役員より上という立場になることが考えられます。

執行役員の報酬は?

それでは次に執行役員の報酬について見ていきます。先ほど確認したように、執行役員は厳密には役員ではありません。そして報酬の話をする際にも、この「役員とは異なるもの」という点が重要になってきます。

そもそも報酬とは何でしょうか。

企業が働く人に対して労働の対価として支払う金額には「役員報酬」と「給与」の二つがあります。役員報酬とは、取締役や会計参与などの役員に支払われる報酬です。対して給与は、会社と雇用関係にある従業員に支払われる報酬です。

執行役員の場合、先述したとおり、役員ではなく一般の従業員と同じ扱いになります。そのため、執行役員の報酬は役員報酬ではなく、給与という形で支払われるのです。

執行役員の報酬額については一般的に部長以上、監査役未満という序列に応じた金額だといわれています。

つまり、部長職と同等もしくは数割割増しの報酬が相場です。「役員」という名前がついているからといって、部長等と比べて著しく高い年収を得ているわけではありません。

とはいえ、執行役員は部長職以上に経営関与度が大きい役割を期待されていることから、それに応じた給与が適切だと考えられています。

もちろん給与額は企業の規模や業績とも大きく連動していることから、一概にどうだと断定することはできません。

「給料は部長級と同等か数割増し」というのは、あくまでも参考程度の話になります。

執行役員の税法上の立場は?

それでは執行役員の税法上の立場はどうなるのでしょうか?これは今までの話を整理すれば簡単で、執行役員は「法定役員(法律で規定された役員)」ではないため、従業員と同じ扱いになります。

ただ、非上場企業などで経営にタッチしている執行役員は、「みなし役員」としてカウントされることがあります。非上場企業や小さな企業では、一人の人間が様々な役職を兼任しているケースが多々あります。

このように上場企業と非上場企業では事情がまったく異なるので、個別に整理しておくことが重要です。

●執行役員の雇用形態は?

次に執行役員の雇用形態について見てみましょう。

「執行役員は基本的に従業員と同じような扱いになる」ということを繰り返し書いていますが、執行役員の雇用形態は大きく分けて二つあります。まず一つ目が「雇用型」の契約。これは特定の会社に雇用されるという契約であり、特段説明するようなことはありません。

問題は二つ目の「委任契約」です。委任契約とは会社側に「執行役員として業務を行ってほしい」と委任されることであって、会社に直接雇用されるわけではありません。当然会社から雇用保険などの各種保険が下りるようなこともないため、事前に契約書や契約内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

執行役員の序列は?会社の一般的な肩書き

それでは次に「執行役員の序列はどうなるのか」ということについて解説します。

会社には様々な役職があります。まずはそれぞれの肩書きについて簡単に見ていきましょう。

役職順として一番上に来るのは会長と社長です。

まず会長ですが、この肩書きには「名誉職」という意味が強く、社長が会社についての意思決定をし、会長が企業の「象徴」として存在するというケースがあります。

もちろん会長が実際に舵を取るというパターンもあります。

そして社長は、会社の代表として意思決定を行います。ちなみに「会長」と「社長」はどちらも法的に規定されているものではないので、「どちらが役職として上位か」ということは一概にいえません。

会長の方が主導権を握るケースもあればその逆もあり、「そもそも会長という肩書き自体存在しない」という企業もあります。

会長・社長の下に来るのは副社長です。副社長も簡単にいえば「社長の次に責任のある役職 」という認識であり、法律で規定されているわけではありません。あくまでも会社の中で使われる呼称の一つです。会社によって副社長の役割は異なりますが、社長の補佐をしたり、社長の代わりに意思決定をしたりします。

その次に来るのが専務や常務です。どちらも「社長を補佐する」役割を持っており、専務の方が「全体を管理する」という性格が強いため、常務の上に専務を位置付けている会社が多いです。

専務や常務の下に来るのが監査役です。監査役は会社の業務において不正や違法行為がないかをチェックする役職です。監査役の権限は法律で規定されており、不正の有無を独自で確認することができます。

この下に本部長、部長、次長、課長、係長と続いていきます。係長から昇進していけばいくほど、管理の規模が大きくなり、その分大きな責任が伴ってきます。

それでは、執行役員はどこに入るのでしょうか。一般的には「監査役と本部長の間」に入ってくるといわれています。

本部長が取締役になる場合は、本部長の下に位置付けられることになります。

■執行役員制度のトレンド 執行役員制度は廃止の方向?

近年、大手上場企業で執行役員制度の見直しが行われています。理由としては、「意識決定の迅速化」があげられています。この典型的な例がLIXILで、同社は2016年、経営体制を刷新する過程で、従来の執行役員の役職を廃止しています。

このように社内ガバナンスの強化や意思決定の合理化などを目指し、執行役員を廃止する企業が増えています。

本来、執行役員制度は取締役の人数を厳選し、企業の意思決定を早めることを目的に導入されました。しかし、制度の見直しを行う企業からは「実際に執行役員制度を導入しても思ったように業務執行と監督の分離が進まなかった」という声があります。むしろ執行役員が存在することで、現場と役員の間に余計な距離ができてしまい、意思決定に必要な情報を得られない状況が起きているともいわれています。

このようなことから、執行役員制度を廃止して迅速な意思決定を目指す企業は今後も増える傾向にあると予想されており、各社の動向が注目されるところです。

まとめ

今回は執行役員と役員の違いを中心に、様々な角度から解説してきました。執行役員制度はもともと、業務執行と監督の分離を行うことで、迅速な意思決定の実行を目的に導入されました。しかし、本来の目的を達成できないことから、一部の大手上場企業などでは執行役員制度について見直しが行われています。今後は、執行役員制度のメリットとデメリットを見極めて、よりこれからの時代に適合した会社経営が望まれます。

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