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公認会計士は、企業のお金に関する数字の発表が正確なのか等をチェックする専門職であり、几帳面な性格などが求められることから、適性のある女性が多いといわれています。また、プライベートを優先して長期休暇を取得した後、復帰も比較的しやすいとされています。この記事では、女性公認会計士のキャリアについて検証します。
公認会計士はその職責の性質から、女性に適性があるといわれています。ただ、国内における女性の公認会計士人口は、2017年5月時点で4034人、比率は全体の13.7%にとどまっています。
同じ難関国家資格でも、医師国家試験(32.8%)や司法試験(23.4%)、税理士試験(25.4%)の各合格者の女性比率のほうがそれぞれ多く、女性公認会計士の少なさが解消する将来はまだ遠そうです。
国際的に見ても、日本の公認会計士業界への女性進出の低調ぶりは際立っています。たとえばフランスで約23%ですが、イギリスでは約40%、アメリカで約50%と、男性と女性の公認会計士比率が拮抗しています。シンガポールでは約60%と、女性のほうが男性を上回っているほどです。
とはいえ、日本公認会計士協会では2016年に女性で初めて関根愛子さんが会長に就任し、翌年には「女性会計士活躍促進協議会」を設置するなど、業界への女性進出に一定の対策を採ろうとしています。
海外では、公認会計士は力仕事が不要な頭脳労働で、かつ高収入で待遇もいいとされているため、女性が就く割合も高くなっています。しかし、日本国内では「数字が苦手だから」などの理由で敬遠する女性が多いために、公認会計士のキャリアを女性が積み上げていくイメージを社会が共有しにくい実情があります。
しかし、コンピュータが発達した現代の公認会計士に求められているのは、計算能力よりも、むしろ的確な資料を洗い出したり整理したりする几帳面さやリサーチ能力、対人コミュニケーション能力などです。よって、数字に苦手意識がある女性でも、臆することなく公認会計士のキャリアを積み上げることは十分に可能なのです。
女性の公認会計士だからといって、辿るべきキャリアは男性と何ら変わることはありません。もっとも、監査法人に勤務するとなると、若手のうちは膨大な量の事務処理をこなさなければならず、長時間労働によって心身の調子を崩しかねないリスクがあります。
女性のほうが一般に、心身共にデリケートな傾向がありますので、無理をしすぎずに職場やクライアントの期待に応えながらキャリアを重ねていく必要があります。
監査法人の中で出世を続けて、パートナー(共同経営者)になることができれば、現場の激務からは解放されることが多くなります。
一方、監査法人よりもワーク・ライフ・バランスを確保しやすいという理由で、一般企業の経理部で安定的に働く「インハウス会計士(組織内会計士)」も増えています。
現在では、家庭を持たずに独身で仕事に邁進する女性も増えていますし、家庭を持ったとしても、夫婦共働きが一般的になっており、妻ばかりが家庭を優先しなければならない日本の社会通念も見直しが迫られています。
「女性こそが家庭と仕事の両立を図らなければならない」という社会通念は、周囲が押しつけるばかりでなく、働く女性自身がそう思い込んでいる場合もあります。仕事のスケジュールの合間を縫って、子どもの送り迎えをしたり、看病などで帰宅したりするなどは、母親のみが抱え込むのでなく、父親との協働で取り組んだほうが楽になります。
女性が子どもを産む場合には、産休や育休を取ることになります。あるいは、介護すべき家族がいる場合には、女性が優先して介護に携わることが多かったのも事実です。しかし、男女共同参画は仕事だけでなく、プライベートの場、特に家事や育児、介護などにも当てはまります。配偶者が出産を控えていれば、男性も産休を取ることができます。
特に、経済的・人的基盤に余裕がある監査法人や会計事務所では、あなたが仮に育休や介護休暇を取得しても、その穴を埋め合わせるだけの職場環境が整備されているものです。
仮に、夫の転勤に付いていった場合、うまく新たな職場に移ることができるか、心配する方もいらっしゃるかもしれません。その点は、それまで積み上げられたキャリアが資格と実績に裏づけられていれば、新天地でも受け入れ先を確保することが十分に可能です。
そう考えると、女性だから公認会計士業界に進出しにくいとは思い込まないほうが有意義です。むしろ、公認会計士という専門職としてのスキルがあれば、長い育児休暇後に復職をすることも比較的容易です。女性だけでなく男性の公認会計士も、家庭との両立を図りやすい環境が整いつつあるのです。
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