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政府は、「未来投資会議」で、働きたい高齢者に対し70歳までの雇用確保を企業に求める具体的な方針を示し、継続雇用や他企業へのあっせんなど7つのメニューを設けるよう努力義務を課したことに、企業からは戸惑いの声も上がっている。
戸惑いの声を上げているのは、企業だけではない。現役サラリーマンにとっても、定年の廃止や70歳までの延長への受け止め方は複雑なようで、それを裏付けるのが、一般社団法人「定年後研究所」が実施した「70歳定年に関する調査」だ。
調査結果は、「70歳定年」について、「歓迎できる」が42.6%だったのに対し、「困惑・戸惑いを感じる(38.2%)」、「歓迎できない」(19.2%)で、アンチ歓迎派が57.4、歓迎派を上回る結果となっている。
男性では、年齢が若いほど、アンチ歓迎派が多く、70歳まで働かなければならないことへの不安やネガティブな気持ちなどが、定年延長を歓迎できない理由として挙げている。
では、70歳定年制が導入された場合、現役サラリーマンは、今の会社でそのまま働き続けるのか、それとも転職する道を選ぶのだろうか。
全体では「今の会社で働き続ける」が45.7%で、「起業など、組織に頼らずに働く」はわずか7.6%と、約半数がそのまま働き続けることを望んでいることがわかった。また、歓迎派に限って見てみると、約7割が「今の会社で働き続ける」と回答している。
ところが、70歳まで今の会社で働くことに、96.1%が「不安あり」で、「不安なし」はわずか3.9%である。
不安の理由は、体力、パフォーマンスの低下、働く意欲の低下などが主なものだが、「若手社員や中堅社員とうまくやっていけるだろうか?」という、職場の人間関係を不安視するケースも2割ほどあったという。
さらに、70歳まで今の会社で働き続けるために、待遇改善に勤務条件の軽減、年齢にふさわしいポスト・職務が、会社に求める支援策の上位を占めている。つまり「未来投資会議」で示した努力義務は、企業へも高齢労働者にも負担を強いることにつながることになる。
政府の方針は、70歳までの雇用確保を努力義務とする法整備の方針を示し、働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度の見直しや中途採用の拡大など、労働市場の流動化にも言及している。この問題、議論が深まれば深まるほど混迷することが予想されるが、管理部門は、社員の70歳定年制に対する意識を確認しておくことも必要になりそうだ。
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