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「気候変動に具体的な対策を」は、2015年の国連サミットで定められたSDGs(持続可能な開発目標)における13番目に規定された目標です。気候変動の問題については以前から国際的に議論されており、具体的な数値目標を盛り込んだ国際的な協定も結ばれています。
今回はSDGsにおける「気候変動に具体的な対策を」の目標を取り上げ、どのような目標なのか、世界における気候変動の現状はどうなのか、日本企業の取り組み事例としてどのようなことがあるのか等について解説します。
SDGsにおける「気候変動に具体的な対策を」という目標は、その名の通り、気候変動とその影響に対する対策を国連加盟国全体で取るために設けられました。近年、世界的に生じている地球温暖化による異常気象や海水面の上昇は、先進国や発展途上国を問わず、あらゆる人々の生命と財産を脅かすようになっています。もし何も対策を取らなければ、地球の平均気温は次第に上昇していき、世界のあらゆる生態系に深刻な影響を与えることは避けられません。さらに気候状況が変化して食料不足や水不足の脅威が増せば、さらなる紛争を世界各地で引き起こすことにもなるでしょう。
各国が温室豪華ガスの排出量を減らし、気候変動を抑制する行動を取るよう促すことが、「気候変動に具体的な対策を」が定められた主な目的です。
地球に気候変動をもたらしている大きな要因の1つが、人間が経済活動の中で排出する二酸化炭素です。二酸化炭素が「温室効果ガス」として地球の上空を覆うことで、地球の温度上昇を引き起こします。環境省が2014年に発表した『IPCC 第5次評価報告書の概要』によれば、1880年から2012年までの132年間の間に地球の気温は0.85度上昇したとのこと。さらに最近30年における各10年間は、1850年以降のどの10年間よりも平均気温が高かったことも示されています。もし先進国が何ら対策を取らず、さらに発展途上国が、かつて先進国が行ったように自国の工業化を進め、環境に配慮しない行動を取り続けたら、地球の平均気温はさらに上昇していくでしょう。
温暖化が進むと北極の氷が解けることで海水面が上昇しますが、南太平洋の島々の中には、それにより水没するという島も少なくありません。実際、世界で4番目に小さい島国である「ツバル」がある海域では、すでに世界平均よりも約2倍の速さで海水面が上昇しており、このままでは将来国全体が海没する恐れがあるといわれています。
このような事態に対して、国が取り組むべき具体的な温暖化対策や数値目標を定めた国際協定が結ばれています。最も新しいものは、2020年以降の温暖化対策への取り組みに対する国際協定である「パリ協定」(2015年成立)です。パリ協定とは、「産業革命以前と現在の気温を比べた際、世界の気温上昇を2度未満(できれば1.5度未満)に抑えること」、「21世紀の後半には温室効果ガスの排出を世界全体でゼロにすること」を目的とした国際協定で、具体的な数値目標が盛り込まれているという点で画期的であると言われています。
2018年12月にポーランドで開催された締約国会議(COP24)では、パリ協定で定められた内容を実現するためのルール作りに関する交渉が行われました。交渉は難航しましたが、先進国と途上国の間でほぼ統一的なルールが策定され、採択されています。
SDGsの目標として掲げられた「気候変動に具体的な対策を」を実現するためには、パリ協定で採択された内容を着実に実施する必要があります。その実施においては、協定を結んだ政府だけでなく、実際に現場で環境問題に従事する地方自治体や企業、市民社会(NGO)が果たす役割も大きいです。
実際日本企業は、政府と連携しつつ様々な気候変動対策に取り組んでおり、一定の成果を上げてきました。その一例を以下に紹介します。
・リコー(精密機器メーカー)
2050年に自社が排出する温室効果ガスをゼロにするため、2030年までに電力の3割を再生可能エネルギーに切り替え、2050年までに100%を目指すことに取り組んでいます。
・パナソニック(総合エレクトロニクスメーカー)
「パナソニック環境ビジョン2050」を設定し、生産時・使用時のエネルギーを削減し、二酸化炭素排出ゼロの工場作り、省エネ製品開発に取り組んでいます。
・千代田化工建設(総合エンジニアリング会社)
究極のクリーンエネルギーである「水素」を、液体の状態で安全に輸送できる技術を開発。2020年に、海外から日本に水素を輸送する「水素サプライチェーン」の構築を目指しています。
・三菱UFJモルガンスタンレー証券(証券会社)
海外における温室効果ガス削減のプロジェクトに支援。気候変動分野全般において調査・コンサルティングを行っています。
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトによると、1950年~2100年までの間に、地球の気温は最大で4.8度も上昇すると試算されています。地球の生体系、文明社会にも甚大な影響を与える気候変動への対策は、人類が一丸となって取り組むべき喫緊の課題と言えるでしょう。
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