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ビジネスの世界で、“データサイエンティスト”の存在がますます注目されています。
インターネットが発展してデータが膨大に増加していますが、その“ビッグデータ”の活用で業務を最適化し、業績を上げている企業が増えています。データサイエンティストは、このような企業で活躍している重要なポジションです。
本記事では、企業でのデータサイエンティストの重要性や、育成するうえで知っておくべきことについてご説明します。
目次【本記事の内容】
ところで、あなたは“データサイエンティスト”についてどの程度ご存知でしょうか?
データサイエンティストはひと言で表すと、“データ分析の専門家”です。ビッグデータを分析し、事業戦略に必要な情報を提供して企業に貢献します。企業の意思決定者がデータをもとにベストな判断を行えるようにサポートするのが、データサイエンティストの主な仕事です。
データサイエンティストの仕事は、ここ10年ほどの間に大変注目されるようになりました。近年は企業のビッグデータ活用が一般的になり、データサイエンティストが活躍するシーンが増えました。
データ分析自体はAI(人工知能)でも可能で、人間より高精度な答えを出します。しかし、分析したデータから意味を見出し、ビジネス面での課題を踏まえて事業戦略を出すのは、今のAI技術では難しいのです。
データから読み取れる情報を、抱えている課題に合わせて変換し、生かす。この作業は、知識と経験を重ねて多面的に考えることができる人間=データサイエンティストだからできることです。
では、企業はなぜ今、データサイエンティストを求めているのでしょうか?
データサイエンティストが扱う“ビッグデータ”とは、文字どおり大容量のデジタルデータのこと。私たちの生活の中で生まれる膨大なデータ、例えばECサイトの購入履歴やブログのエントリー履歴、スマートフォンなどの位置情報や行動履歴、インターネットやテレビの閲覧・視聴情報など、あらゆるものが該当します。
近年の技術向上に伴い、ビッグデータは高速かつ簡単に分析できるようになりました。そして、データを活用して、例えば将来的な売り上げの予測や、問題点・課題点の特定、新しい可能性の発見、業務最適化などが実現可能になりました。
ビッグデータの活用が、企業の利益創出・機会損失防止に結び付いています。そのため、企業はビッグデータを分析するデータサイエンティストが必要なのです。
しかし、一方でデータサイエンティストがいる企業の割合は、驚くほど少ないのが現状です。
「マネジー」が以前とった読者アンケートによると、以下のような結果が出ています。
◆社内にデータサイエンティストがいる?
いる…17.7%
いない…82.3%
ビッグデータをビジネスに活用できている企業はまだ少数派で、データサイエンティストは人材不足であることがわかります。
ここでは、実際にデータサイエンスの技術を使って事業を成功させた企業を2例ご紹介しましょう。
●楽天
大手ECモールの楽天は、購買データを活用したデータサイエンスで売り上げ向上を実現しました。ビッグデータを分析した結果、ランキング上位によく入る商品は売り上げが増加し、ジャンルを細かくすれば全体の売り上げが上がることを発見。ランキングの更新頻度を短縮し、ジャンルを細分化することで、売り上げが大きく上がりました。
●スシロー
回転寿司のスシローは、自社で開発した「回転すし総合管理システム」でデータを収集・分析しています。
寿司皿にICタグを付けており、店内のレーンに流れる寿司の鮮度や売り上げなどについて管理。店舗・時間帯・テーブルごとなどに分けて、売られた寿司をデータ化して需要を予測し、レーンに流す寿司の種類や量などを調節しています。その結果、料理の廃棄ロスを減らし、売上高も上がりました。
このように、ビッグデータから得る情報によって大きなビジネスチャンスをつかむ事例が多くあります。
データサイエンティストの育成および啓蒙活動を行っている一般社団法人データサイエンティスト協会が、2017年に発表した「データサイエンティスト スキルチェックリスト ver.2」では、データサイエンティストに求められるスキルを以下の3分野に分けており、そこから細かく定義しています(下記各項の説明文は同団体の2014年発表のプレスリリースから引用)。
・ビジネス力
課題背景を理解したうえで、ビジネス課題を整理し、解決する力
・データサイエンス力
情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
・データエンジニアリング力
データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力
ある程度のプログラミングスキルはもちろんのこと、統計数理・データ分析手法・分析ツールなどに関する知識、そして仕事に生かすために課題解決力などビジネススキルも、企業で働くデータサイエンティストには求められます。
では、企業が自社でデータサイエンティストを育成するために必要なことは何でしょうか?
最も重要なのは、まずトップがデータ活用の重要性を認識し、社内全体でデータサイエンティストが育つ環境に整えて、教育を支援することです。
実例をあげましょう。日立製作所は、国内外の日立グループ会社におけるデータサイエンティストを、2018年時点の700人から2021年度までに3,000人に増やすことを2018年に発表しました。数理統計専門の新卒採用を増やしているほか、研究所にいるAI専門家やソフトウエア開発の社員たちを中心に教育しています。育成プログラムを強化し、日立グループ社員のスキルや経歴などを登録したデータベースを整備。グループ全体でデータサイエンティスト育成を進めています。
もちろん、ここまで大々的に行わなくても、育成のための環境作りは可能です。自社での対応が難しい場合は、ITコンサルティング会社などに外部委託するといった方法もあります。
参照:デジタルソリューションのさらなる拡大に向けデータサイエンティスト育成を加速
企業が今後もさらなる発展を遂げるためには、さまざまな施策が必要ですが、そのひとつがビッグデータの活用になります。社内でデータサイエンティストを育成・支援し、活躍できる場があれば、業務最適化や新しい可能性が実現できるかもしれません。
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