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セミナーレポート:「第19回CFOフォーラム・ジャパン2019」

公開日2020/01/23 更新日2020/01/24
セミナーレポート:「第19回CFOフォーラム・ジャパン2019」

一般社団法人日本CFO協会は12月18日、東京・大手町の経団連会館にて「第19回CFOフォーラム・ジャパン2019」を開催しました。参加したのは、企業のCFOをはじめとした経営・財務幹部、経営・財務幹部を目指す約300名の方々です。

1日を通して15のセッションが行われ、参加者は参加したいセッションを自分で選んで熱心に聴き入っていました。そのなかで、午前中に行われた3つの講演・セッションをご紹介します。


主催者である、一般社団法人 日本CFO協会理事長の藤田純孝氏の挨拶のあと、公益財団法人 日本国際問題研究所理事長 佐々江賢一郎氏の基調講演「激動する世界と日本」が行われました。

1974年に外務省に入省後、多くの対外経済交渉を手掛け、六者協議の日本代表、G8サミットの政務局長を務めるなどした佐々江氏。講演では、アメリカ・中国・香港・ロシアの現状や各国の関係性そして未来について述べたあと、主要国と日本との関係にも触れました。

民主主義国家である日本は今後、共産主義や社会主義である他国と共存していくにあたり、何が必要なのか?を、日本経済新聞発行の「ファイナンシャル・タイムズ」に掲載されたマーティン・ウルフの見解である「今という難しい時代に必要なのは、ビジョンの共有である」という言葉を紹介しながら、日本と他国との3つの共通課題を挙げました。

1つめは、各国の主義を他国との共存のなかでどう守っていくのかについて。

2つめは、深刻な環境問題について。

3つめは、途上国支援問題について。

日本と他国の関係性は、経済力、軍事力など様々な力で測れるが、各国とも解決しなければならない上記課題は同じであるので、共存できる体制で共に課題に取り組んでいくことが重要であると述べました。このような世界情勢、そして世界のなかでの日本の位置やスタンスを把握することは、企業で働き、とりわけ財務面のトップであるCFOにとって非常に重要なことであると認識出来る講演となっていました。


その次に行われたのは、株式会社日立製作所 代表執行役 執行役専務 CFO兼財務統括本部長 西山光秋氏「日立の構造改革とデジタルトランスフォーメーション」と題した講演でした。

講演では、日立のこれまでの経営改革の変遷を踏まえつつ、コーポレートガバナンスそして、講演題目にある日立の構造改革とデジタルトランスフォーメーションについてを紹介しました。

西山氏は1979年に日立製作所に入社し、日立アメリカ社、日立PCコーポレーション等のグループ会社でのポストを歴任したあと、2016年より現職に就かれています。

西山氏は、キャリアのなかで人員整理や拠点の移動、M&A、M&Aに伴うPMI等の要職を担当し、一度日立製作所(本社)に戻り、当時赤字だった同社を黒字転換に導きました。

その後、さらに日立電線に転籍し、ここでも赤字だった経営を2年弱で黒字転換させ、日立電線と日立金属の合併時の環境整備に尽力されたあと、再び本社に戻り現在の業務に就かれています。

西山氏は、このような経験を踏まえた上で日立の構造改革を進めるにあたり、肝となるのは「情報の共有と監査」だと述べました。

日立は周知の通り多くのグループ会社からなるため、正しい情報共有が必要であり、会計財務面においては、特に正確な情報を取り扱う事が求められます。そのような状況のなかで、日立は会計監査情報は逐一リスクとともに報告することと、盤石な監査委員会の設置を実現しています。監査役は、1年間機能していないと評価されたら翌年には交代する決まりになっており、常にレベルの高い監査を実現しています。

また、会計財務に限らず、全職種においてROIC(投下資本利益率)を意識した業務オペレーションへの変更を実現し、日立のDNAである「技術を通じて社会に貢献する」をさらに推進するべく、業務プロセスの改革にも取り組んでいるということです。

そして、業務プロセスの改革の一環として講演タイトルにもある「デジタルトランスフォーメーション」も同様に進められています。間接部門、営業、設計、製造等、すべての職種において、人が介在する部分と自動化出来る部分を切り分け、自動化出来て、さらにそれによって安全性や品質が保障される部分においては、人の介在をなくす等、オペレーションの最適化を図っています。これが即ち「技術を通じて社会に貢献する」ことを加速する取り組みであると感じました。

日立製作所は歴史のある企業で、レガシーな印象を持ちがちですが、西山氏の講演からは常に変化を繰り返し挑戦し続けている会社であるという印象を感じました。


その後は、セッションの時間へ。

参加者は会場が分かれて行われるセッションのうち、興味のあるテーマを選んで聴講に向かいます。そのなかで今回ご紹介するのは、あずさ監査法人 Digital Innovation部長 丸田健太郎氏による「Society5.0におけるデジタル監査」です。

Society5.0とは、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を目指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として提唱されました(※出典:内閣府HP)

加速していくデジタル社会のなかで、求められる監査の将来像や、統計・AI等の先端テクノロジーを利用した具体的なソリューションなどについて、あずさ監査法人の取り組みを紹介されました。

あずさ監査法人は、丸田氏の所属するDigital Innovation部が中心となり、会計監査領域の直近の課題についてはもちろん、中長期的な視点での研究開発を行っており、それに見合った十分な投資も行っているとのことでした。

監査のデジタル化を以下3つの視点(3C)において集中的に発展させ、今まで見える化が進んでいなかった監査のインサイトについても、付加価値として社会やクライアントに提供していくということです。

※3C(網羅的監査・一元的監査・リアルタイム監査)

2025年を一つの目途に研究開発を進めており、そのためにデータ・テック・人材にフォーカスして投資研究をしていくと述べ、直近2~3年では「マクロ分析」「ミクロ分析」「見積り決算」の3つの視点に注力するということです。

マクロ分析では、財務諸表の結果としての売上、原価、在庫という数値を使って分析することで疑問点をあぶりだしていき、ミクロ分析ではトランザクションレベルでのデータ解析を行い、見積もり決算では、のれんの減損、税効果等の見積もりにおけるアプローチを行い、この分析、解析をAIの導入等により自動化効率化することで会計監査領域のデジタル化を進めていくということでした。

これからの監査は、データを預かって分析をした過程が分かる「監査の見える化」がデジタル監査において進んでいく方向であり、これが業務改善にもつながっていくとも述べ、監査人の特定やどのようなことをやっているのかの可視化、見積もり項目が監査人からみて楽観なのか保守なのかを判断する等、デジタル監査のデータ分析が基礎となって、業務改善および改革がこれまで以上に進んでいくだろうという期待が持てるお話でした。経営者にとっては、インサイトを詳しく把握出来ることは大きなメリットであると思います。

丸田氏が束ねるDigital Innovation部は、現在の200名体制から400名に増員を予定しており、KITと呼ばれる研究開発担当のテック集団と連携しながら開発研究を進めていき、3Cクロスインサイトを通じて、社会に付加価値を提供していくということです。

丸田氏は最後に「会計監査はAI化で無くなる職業トップ3と言われているが、いまのAI技術では、異常値検出まではできるか、なぜ不正なのかということが人のプロの目を通さないとわからない。付加価値の高い人間の仕事は残っていくであろう」と述べ、そのためにデジタルトランスフォーメーションを会場にいる皆さんと共に進めていきたいとのメッセージを伝えていました。

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