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日報は企業の中で日々の業務の振り返りやコミュニケーションの円滑化のために活用されています。今回は日報の書く意味や目的、心掛けたい書き方のポイントをご紹介いたします。
目次【本記事の内容】
日報作成の目的は、自部門のミッション遂行能力の底上げです。これにはメンバーの自己成長が不可欠となり、日報はそのためのツールになります。
最初に「日報を作成することにどんな意味があるのか」という点から見ていきたいと思います。
日報を作成する目的は、今日一日の自分の行動の振り返りにあります。日報を作成するためには、今日はどんな業務をしたのか、どんな成果を上げたのか、どんな失敗をしたのか、改善すべき自分の行動は何かなど、今日一日の自分の行動を振り返り、論理的に整理します。このプロセスが、自分の思考力を鍛えながら、気付きや反省点が見える機会になります。また、日々この機会を持つことが仕事へのモチベーションを高め、自己成長の原動力にも繋がります。
このように、一日単位でPCDAサイクルの改善が実践できるというのが、日報を書く大きな意味になります。先ほども書いたように、一人一人がそれを実践し、チームや部門、ひいては社内全体で共有・管理することによって、大きな成果をあげることができます。また部門長とのコミュニケーションも円滑になり、信頼関係を築いていく一つの基盤になるのも魅力でしょう。
フィードバックをする人は良いところと悪いところを具体的コメントで記す、つまり日報で把握したメンバーの業務活動の評価やアドバイスのフィードバックをしなければメンバーは育ちません。このフィードバックがメンバーに日報作成の重要さを悟らせ、自己成長を促す機会になるでしょう。このサイクルを繰り返すことによって、メンバーが育っていき、ひいては部門自体のパフォーマンスの向上に繋がるわけです。
ちなみに今までは手書きだった日報ですが、最近では無料の日報システムや日報アプリなどのサービスが揃っており、それらを利用する企業も多くなっています。そうした日報ツールは積極的にダウンロードして利用していくのもおすすめです。メリットとしては、手書きよりも効率的に日報作成の作業ができます。
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企業によっては日報に記載すべき事項を定めた「日報フォーマット」を用意しているところもありますが、基本的の次の4項目が日報の記載事項とされています。
当日行った業務内容と業務時間、成果、決定事項などを記載します。これにより部門長はその社員の業務進捗状況把握や適切なフォローがしやすくなります。
当日の業務遂行において直面した課題と、それに対する改善策を記載します。
当日の業務遂行中に気付いたことのうち、部門内で情報共有すれば役に立ちそうな事項を客観的に記載します。
明日行う予定の業務内容と業務時間見込みを記載します。これには、明日の予定を確認することにより本日中に準備しておくべき事柄が明確になると共に、始業から就業までのリードタイムを効率化できる効果があります。
日報のこの基本的記載事項は「目標を立てる→行動する→行動の結果を評価し課題を発見する→課題解決に向けて行動する」のPDCA回しを意識し、日々行動する習慣づけにもなります。
日報の目的は、既述の通りフィードバックする側(例えば部門長)はメンバーの自己成長、メンバーは自分の行動の振り返りの2つに加え、部門内での情報共有もあります。
この目的を踏まえると、わかりやすい日報とは「読み手(例えば部門長)が知りたい情報を、漏れなくかつ簡潔に記載してある」日報です。
このため、次の事項に留意すれば「わかりやすい日報」、すなわち読み手が一読で知りたい情報を掴める日報になるでしょう。
例えば、「本日は朝から駅前で○○のチラシ配りをしました。『クーポンが付いています』と一言添えると、たくさんの通行人が受け取ってくれました。明日も一声掛けでチラシをたくさん配りたいと思います」のような主観的で冗長な文章は、日報を読む部門長への情報提供にはなりません。ところが「午前8時から9時まで、駅前で○○のチラシを300枚配布」と記載してあれば、部門長は「何時、どこで、どんなことを」と、一読で部下が行った業務内容を把握できます。
定性的な文章だけの日報は、読む側の情報になりません。前述のように時間、場所、枚数と数字を使った客観的な定量的情報を記載して、初めて日報は情報になります。
日報でよくありがちなのが「所感」と「感想」の混同です。例えば「所感欄」に「本日は新規開拓先のM社でクロージングを行いました。私の説明に何度も頷いてくれるなど、非常に高い関心を寄せてくれました。しかし受注は五分五分と言ったところです」と記載してある日報からは、読む側に何の事実も伝わってきません。記載者の主観に基づく希望的観測を述べあるだけだからです。
ところが「タイトル:新規開拓先M社のクロージング、営業時間ː13―14時、提案製品ː当社新製品○○、受注予定額ː○○万円、当社クロージングに対する回答予定日ː○○月○○日、競合先ːF・T社の2社(両社共クロージング済みの模様)、受注見込みː△(クロージング中M社より○○の確約あるも、競合のクロージング情報は得られず、状況は流動的)、詳細は別添報告書を参照」と記載してあれば、読み手はクロージング状況が手に取るようにわかり、別添報告書を基に的確な営業フォローをしやすくなります。
それでは今まで見てきた内容を盛り込んだ日報の事例を見ていきましょう。同じような内容の日報を2つ見ていきます。
Aさんの日報
「1.本日の業務内容
①契約書の作成(A社、B社、C社)
・9時から11時まで、A社、B社、C社の契約書を作成し、それぞれ発送済み。
②健康診断に関する業務
・11時から正午まで、健康診断の課内リストを作成。所轄の部署へ提出済み。
③出張
・13時から19時まで、〇〇病院の視察と全体会議。駐車場の工事の進捗を確認。
2.所感
・契約書はいずれも当初の金額で決定(A社→〇万、B社→△万、C社→□万)。D社との契約がまだ決まっておらず、経理と調整中。対象製品は××。契約見込み△(D社によれば、契約金を20万ほど抑えてほしいとのこと。経理から2日を目処に回答をもらう予定)。
・健康診断を担当する部署から、約1週間を目処に各従業員の健康診断予定日が返送される予定。
・〇〇病院の工事について、工事を担当している〇×建設の工程表を参照すると、約2日分の遅れをとっている。次週の月、火、水曜日の業務量を増やすと全体会議で決定。なお次週の金曜日に再び進捗を確認。」
Bさんの日報
「1.本日の業務内容
①契約書作成
②健康診断
③出張
2.所感
・D社との契約がまだ決まっておりません。経理と相談中で、契約金をもう少し下げれば契約できそうです。
・健康診断の予定日は後日返送されます。
・病院の工事が遅れているようです。」
どちらも業務内容と所感で構成された日報ですが、一見してわかる通り、Aさんの日報のほうがより具体性があります。Bさんの日報は{いつ・どこで・なにをしたのか}が伝わりづらく、定量情報もほとんどないため、全体的にぼんやりとした印象を受けます。
●テンプレートを活用する
自社に日報フォーマットがない場合は、自分専用の「日報テンプレート」を作っておくのが、分かりやすい日報を書くコツです。日報の基本的記載事項である本日の業務、業務上の課題と改善策、所感、明日の業務予定の欄を設定し、各欄に事実、数字などの客観的情報を記載すれば、短時間で日報の目的を満たした日報作成ができるでしょう。
日報はメンバーからの日々の業務活動報告書ですが、日報の目的を正しく理解すれば、日報は自社の貴重な知的財産の一つであることがわかります。メンバーから上がってきた日報を、ただ書類フォルダーに綴じるだけでは知的財産の死蔵になってしまいます。日報をいかに活用してメンバーの育成や自部門のミッション遂行能力底上に役立てるか。部門長の仕事として、この「日報運用能力」も重要と言えるでしょう。
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