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中国湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が、世界中に広がっています。政府は、チャーター便で現地に住む日本人の帰国を支援する対応に踏み切りました。そこで大きな話題となったのが1人8万円の費用負担です。チャーター便の費用は、どうなっているのでしょうか。
これまでにも、治安悪化に伴い邦人を退避させるために、チャーター機を派遣したことがあります。最近のケースでは、2011年のエジプトでの反政府デモの影響で、足止めされた観光客ら463人をイタリア・ローマまで運んだことです。
また、2005年にはスマトラ沖地震復興支援、2006年のジャワ島地震復興支援、2008年の中国四川大地震緊急援助隊派遣、2008年のミャンマーサイクロン被害緊急医療チーム派遣2009年のスマトラ島震災緊急援助隊/医療チーム派遣、2010年のハイチ地震緊急医療チーム派遣などがあります。
外務省によると、感染症の流行に伴い、政府がチャーター機で日本人の帰国を支援するのは今回が初めてで、政府はエコノミークラスの正規料金に当たる片道1人約8万円(税別)を負担してもらう方針でした。
ところが、野党はもちろん、与党内からも「緊急事態でやむを得ず帰国を余儀なくされたのだから、政府が負担すべきだ」と批判の声が高まり、結局、政府が負担することに方針を転換しました。
ところでチャーター機とは、定期便が運航していない路線を、特別な目的で飛ばす航空機で、緊急時の対応だけでなく、スポーツ大会や音楽コンサートなどの不定期イベントや、スポーツ選手や歌手・俳優などが移動のためにチャーター機を利用することもあります。
皆さんの記憶にも残っていると思われるのは、楽天からニューヨークヤンキースへの移籍が決まった田中将大投手が、4,000万円とも5,000万円ともいわれる費用を自腹で負担し、成田からニューヨークへ旅客機をチャーターして渡米したことでしょうか。
また、企業が社員旅行のために航空機を貸し切る場合もありますが、欧米では、ビジネス目的の“プライベートジェット”と呼ばれる航空機の利用方法も定着しています。
世界を相手に仕事をしているビジネスパーソンにとっては、フライトの時間や区間が決まっている航空会社を利用するよりは、時間や目的地を自由に組めるプライベートジェットの方が、はるかに利用価値が高いということです。
ところで、チャーター機を1機飛ばすと一体いくらかかるかのでしょうか?
もちろん、利用する区間や使用する航空機の種類によって異なりますが、ビジネスジェットのうち大型のガルフストリームG650を利用した場合の概算では、成田-上海間2泊滞在では1,700万円(15万ドル)、成田-ロンドン間1週間滞在する想定では5,100万円(45万ドル)程度になるそうです。
朝日航洋株式会社の参考料金では、国内「羽田―新千歳空港往復」約620万円、・海外「羽田-ソウル金浦空港往復」約550万円、「羽田―ハワイ往復」約2,400万円です。いずれも旅客10名で1泊2日、空港ハンドリング料、クルーの旅費交通費などを含めた概算です。
チャーター機の費用については、機材、距離、日数、駐機場からの輸送費、為替など複合的な要素があるため一概にいえませんが、やはり、それなりにかかるようです。
新型コロナウイルス感染拡大や、治安悪化など緊急事態への対応ではなく、ビジネスやプライベート利用での費用対効果となると、どうでしょうか。
空港から目的地への移動時間や空港での待ち時間など、意外とタイムロスは多いものです。グローバル競争を勝ち抜いていかなければならない時代ですから、日本のビジネスパーソンも、チャーター機やプライベートジェットで世界中を飛び回る日がくるのかもしれません。
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