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毎年3月20日の国際幸福デーに、国連の「持続可能開発ソリューションネットワーク」が、「世界幸福度ランキング」を発表しています。このランキングは世界各国で実施される世論調査をもとに、各国国民の幸福度に関する主観的な意識を分析したものです。
2020年3月20日に発表された最新のランキングでは、日本は前年よりもさらに順位を下げました。豊かだと言われる日本で、本当に国民は幸福感に飢えているのでしょうか?
目次【本記事の内容】
2020年版の世界幸福度ランキングでは、全世界の156ヵ国を対象に調査が行われ、例年通り上位を北欧諸国が独占。最下層にはアフガニスタンやスーダンなどの紛争地域が並んでいます。まずは主な上位国と下位国を紹介します。
1位 フィンランド
2位 デンマーク
3位 スイス
4位 アイスランド
5位 ノルウェー
6位 オランダ
7位 スエーデン
8位 ニュージーランド
9位 オーストリア
10位 ルクセンブルグ
1位 アフガニスタン
2位 南スーダン
3位 ジンバブエ
4位 ルワンダ
5位 南アフリカ
そんな中で我が国日本のランキングを確認すると、今回は156ヵ国中で62位と、真ん中よりもやや上という精彩を欠いた結果です。この数字からすると、多くの日本人が幸福感を感じているとは言えそうにありません。
世界幸福度ランキングは、それぞれの国での世論調査をもとに、以下の6つの要素を加味して算出されます。
・人口あたりのGDP
・社会支援の充実度
・健康寿命
・人生における選択の自由度
・社会における寛容度
・腐敗に関する認識度
例年上位を占める国々は、経済大国でもなければ科学技術先進国でもありません。特徴としては社会保障や福祉が充実していることが、ひとつの要因と言われています。一方でランキング下位には、内戦や紛争で国そのものが疲弊していたり、長期的な貧困に悩まされている国々が名を連ねています。
世界幸福度ランキングは、2012年に初めて発表されました。この年日本のランキングは44位で、翌2013年に43位に上がってからは、毎年前年よりも下がり続けて現在62位。しかも先進国中では最低レベルです。
要素ごとの順位に注目してみると、「健康寿命」は第2位で「人口あたりのGDP」も24位と健闘しています。その一方で「腐敗に関する認識度」は39位、「選択の自由度」は64位、「寛容度」に至っては92位と、ランキングが低迷する要因になっています。
日本人は国の内外から働きすぎだと言われています。長年にわたって改善されないその状況が、幸福度を押し下げる要因になっているのでしょうか?
しかしランキングの6つの要素の中で、労働環境に関する満足度はカウントされていません。それよりも自分が職場の中で、自由に働き方を選択できないことや、表現の自由(報道の自由)に対する評価が低いことなど、社会全体の自由度が低いことが大きな要因だという指摘があります。
さらに「寛容度」に関しては、ボランティア活動への貢献度がランキングの判断材料になるようで、積極的にボランティア活動を行っている国ほど、主観的な満足度が高くなるとも言われています。この主観的という表現が非常に重要です。
日本社会では欧米ほどボランティア活動が根付いていません。他者のために奉仕することが幸福感につながるのであれば、ボランティア活動の機会が少ないことが「寛容度」を低下させる要因になっているのかもしれません。
世界幸福度ランキングで、3年連続第1位に輝いているフィンランドについて、堀内都喜子著の「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」という書籍が注目されています。この本で紹介されているフィンランドの暮らしについて、いくつかピックアップしてみます。
・1人あたりのGDPは日本の1.25倍
・偏差値や高学歴を重視しない教育(それでも教育レベルは世界トップクラス)
・残業なしで、在宅勤務の割合はおよそ3割(午後4時になると帰宅)
・男性の8割が育休を取得
・法律で決められた1日2回のコーヒー休憩
参考:「祝!3年連続でフィンランドが幸福度ランキング世界一位を獲得!『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか?』が3.6万部を突破!」2020.3.20 - PR TIMES
フィンランドは課税率が高い代わりに、医療や教育まで含めた公共サービスや、福祉のすべてを国が負担することでも知られています。この本でも指摘されていることですが、フィンランドの人々は日々の生活にゆとりを感じており、それが幸福感につながっているのかもしれません。
では日本の62位という順位は、世界の常識から見て低すぎる数字なのでしょうか?皇學館大学の遠藤司准教授は、このランキングを別な視点から分析しています。
遠藤准教授によれば、世界幸福度ランキングは調査項目を客観的に数値化したものではなく、「自分にとって最良の人生から最悪の人生を10段階に分けたとき、今自分はどこに立っていると感じるか」という質問への回答がベースになっているということです。
参考:「世界幸福度ランキング、日本が58位に低下した理由は本当に正しいのか」2019.3.22 - YAHOOニュース
つまりこのランキングは、あくまでもそれぞれの国民の主観的な満足度を反映したものだということです。
簡単に言うと日本人が今の生活に満足しているか、どれくらい不満を抱いているかという主観的な指標であって、それが世界の人々の中で、真ん中よりも少し上だという結果。
そう考えると、決して日本人が世界の中で62番目に幸せな国民である、というランキングではないと言えるのかもしれません。
確かに日本は先進国中で最も労働時間が長いと言われており、有給や育休の取得率も低く、労働環境に対する満足度は低いかもしれません。また依然として偏差値重視の教育が続き、売り手市場とはいえ高学歴者に有利な環境であることに変わりはありません。日常的にゆとりを感じながら、充実した生活や娯楽を満喫する余裕も少ないと言えるでしょう。
世界幸福度ランキングの順位は、事実として受け止めるのではなく参考程度に考えて、自分自身の満足度を高めていきたいものですね。
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