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新型コロナウイルスの感染対策により在宅勤務をする人が増えている中、医療の専門家からは、日光を浴びる機会が減ることで健康に悪影響が出るとの懸念の声が上がっています。出勤・外出せずに自宅で仕事を続けていれば、以前に比べて太陽の下で過ごす時間は減らざるを得ません。
そのことが、体に必要な栄養素を作ることを妨げ、体調悪化の引き金になるというのです。
そこで今回は、太陽光不足が健康にどのような悪影響を与えるのか、外出自粛の中で日光を効果的に浴びるための方法は何か、について詳しく解説しましょう。
太陽光に含まれる紫外線には、A波(UVA)とB波(UVB)の2種類があります。これらUVAやUVBは、過度に吸収すると皮膚の表皮細胞にある遺伝子DNAを傷つけてしまうため、何の対策もせずに長時間にわたって直射日光を浴びるのは危険です。
しかし、浴び過ぎると危険な紫外線ではありますが、まったく浴びないというのも健康を害する原因となってしまいます。というのも、紫外線のUVBは日焼けをもたらす一方で、体内に「ビタミンD」を生成してくれるからです。
ビタミンDは腸管からカルシウム吸収を助ける栄養素であり、人間が健康に生活していく上で欠かせません。もし不足すれば、骨の病気を引き起こす恐れもあります。ところがUVBはガラスを透過しにくい性質を持つため、窓を閉め切った室内には入ってこないのです。
そのため、外出自粛・在宅勤務ということで一日中自宅の中に籠もっていると、ビタミンDの生成機会が大幅に失われ、欠乏状態になることは十分に考えられます。
また、太陽光を浴びることには、体内時計を整えるという役割もあります。人間の体内時計における一日は、24時間プラス45分ほどです。しかし、実際の生活リズムは時計の通り24時間ピッタリで計算されていますから、日々経過するごとに、体内時計と生活のリズムにはズレが生じていきます。
実は、こうした体内に起こっている時間のズレを解消してくれるのが日光です。毎朝、人間は目覚めた時に太陽光を浴びることで体内時計をリセットし、生活リズムと合わせる形で一日をスタートしようとします。この日光が持つリセット機能のおかげで、体調を崩さずに日々社会生活を送ることができるわけです。
ところが、外出自粛・在宅勤務が続いて日光を浴びることができなくなると、体内時計のリセットを行いにくくなってきます。そうなると、日にちが経過するごとに、次第に体内時計が生活リズムについていけなくなり、体調が優れないようになっていくのです。
人によっては「熟睡感がない」「朝までなかなか眠れない」といった現象が起こるようになり、身体変調を訴えるようになるケースもあります。最悪の場合、体調が悪い日が続いたことで心のバランスを崩し、うつ病を発症することもあるのです。
では、在宅勤務をしている人が日光を浴びるにはどのようにすればよいでしょうか。
仕事などを理由としては外出しないでしょうから、「健康のため」と割り切って、意識して屋外に出ましょう。ただ、長時間の外出は必要ありません。太陽光を浴びる機会を週に3回程度、1回あたり15分を目安として行いましょう。
この場合、紫外線を浴びることが目的となるため、日焼け止めクリームは塗らないことが大切です。ただし、日光浴をするには午後ではなく午前中、それも早めの時間に行うようにしましょう。午後になると紫外線の量が増え、日焼け止めクリーム無しでは皮膚へのダメージが大きくなる恐れがあります。近所の公園での散歩、家のベランダや屋上など、日光浴をするお気に入りの場所を見つけると継続しやすいです。
もし、仕事上自宅にあるパソコンの前から離れることができず、日光を浴びるだけの時間的余裕がないという場合は、「仕事場の窓を開けて太陽に手のひらをかざす」という方法をおすすめします。手のひらは他の体の部位に比べてメラニン色素が少なく、日焼けがしにくいです。
紫外線による悪影響を極力減らし、ビタミンD生成などのメリットのみを効率的に享受したいなら、「手のひら日光浴」が有効です。
紫外線は皮膚を傷つける原因となるため、長時間にわたって外出する場合は、日焼け止めクリームを塗るなどの対策が必要です。しかし、紫外線にはビタミンDを作る効果や体内時計をリセットする効果があり、まったく浴びないで日々過ごしていると、健康悪化の原因となりかねません。
紫外線のUVBは窓を通りにくいため、在宅勤務を理由に家の中にずっと閉じこもっていると、ほとんど浴びないまま一日が終わってしまうでしょう。現在、在宅勤務で外出機会がほとんどないという方は、週3回程度、一日15分ほどでよいので、太陽光を意識して浴びる時間を確保することをおすすめします。
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