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福利厚生制度の目的は社員のモチベーション向上による労働生産性向上、快適な労働環境による業務効率向上、会社に対する社員の信頼感や愛着心向上などにあり、究極的には優秀な人材の採用・定着といわれています。
しかし、福利厚生制度の設計は国が違えば自ずと異なります。日本企業のそれと海外企業のそれを比較した場合、一般的に日本企業の福利厚生制度は企業中心で、制度設計は保守的で全社一律的なものが多いのにたいし、海外企業の福利厚生制度は社員中心で制度設計はユニークなものが多いといわれています。海外ではどのような福利厚生制度が設計・運用されているのでしょうか。
海外企業、特に欧米企業の福利厚生制度は、事業所内の福利厚生設備の充実度が高いのが特徴で、日本企業との差が大きいといわれています。
具体的には、
・事業所内にビジネスホテル並みの無料宿泊施設がある
・社員食堂での食事は基本的に無料
・社員が自ら調理をして昼食を楽しめるダイニングキッチンがある
・オフィスビルのフロアごとや工場の棟ごとに高級カフェ並みのラウンジがある
・社内各部署や各種サークル単位でホームパーティー並みの親睦会を開催できるキッチンとリビングがある
など、社員が仕事の合間や勤務時間外に寛げる設備を充実させている企業が多く、社員のモチベーションや定着率を自然な形で高める制度設計をしているのが共通点といえそうです。
国民皆保険制度がないアメリカでは、福利厚生制度として死亡保険、医療保険、所得補償保険などに企業負担で加入し、社員の生命、健康、労災事故などのリスクヘッジをしているのが一般的です。死亡保険の場合は年収の3倍程度を目安に契約しているようです。
このリスクヘッジをしていない企業は、アメリカでは満足な人材採用が出来ないともいわれています。
自社株の購入権を社員に付与するストックオプションを、福利厚生制度として導入している企業が多いのもアメリカの特徴でしょう。個人資産を形成する方法として、株式投資をするビジネスパーソンが多いのがその背景と見られています。
ヨーロッパでは「福利厚生制度=年金制度」の趣があり、企業年金に死亡保険と傷害保険がセットされているのが一般的です。アメリカのように企業負担で医療保険に加入している会社はほとんどないようです。
このほか、フランスでは「チケ・レストラン」と呼ばれる金券制度が普及しているようです。同制度は社員の就業日数によって金券支給枚数が決まり、額面の半分は企業が負担し、残りの半分は給料から天引きする仕組みです。金券の平均額面は8ユーロで、一般的なレストランのランチ料金とほぼ同額です。日本流にいえば、昼食費補助制度といったところでしょうか。
またドイツでは、多くの企業で「クリスマス手当」が支給されます。日本のボーナスに該当する手当で、大半の企業が給与の1カ月分程度を支給しています。
健康保険制度の整備がそれほど進んでいないフィリピン、インドネシア、タイ、ベトナムなどでは、福利厚生制度として団体医療保険に加入している企業が多くあります。さらにインドネシアの場合には、法律で「レバラン手当」支給が企業に義務付けられています。
レバランとはラマダン(断食月)明けの祭日のことです。基本給の1カ月分支給が一般的といわれています。世界最大のムスリム(イスラム教徒)人口を擁する同国ならではの福利厚生制度といえそうです。
アメリカ企業には日本企業では見られないユニークな福利厚生制度があります。その代表的ケースを見ると……。
インターネット検索エンジンで有名な同社の福利厚生制度は、一流レストラン並みの社員食堂や一流フィットネスクラブ並みの健康増進施設が有名ですが(いずれも社員は無料)、「死亡給付」と呼ばれる社員の家族を対象にした福利厚生制度があります。不幸にして社員が死亡した場合、その社員の給与の半額を社員の伴侶に10年間支給すると共に、子供には19歳になるまで毎月1000ドルを支給するといわれています。
SNSで有名な同社には、社員またはその伴侶が出産すると4000ドルの出産祝い金を支給するほか、社員の伴侶が出産した場合は、その社員に4カ月の有給育児休暇を付与する「出産・育児支援制度」があるようです。
民泊のパイオニアとして日本でも有名な同社は、社員が休暇中に旅行する場合は同社が提携する世界中の宿泊施設を無料で提供するほか、四半期で500ドル、年間で2000ドルの旅費を支給する「旅行支援制度」があります。
プロジェクト管理のクラウドサービス提供の同社には、勤続2年以上の社員に5000ドルのボーナスを支給すると同時に、1週間の有給休暇を付与する福利厚生制度があるようです。
世界最大級のコンサルティングファームとして知られる同社には、奨学金返済義務を負っている社員に対して年間1200ドルを支給する「奨学金返済援助制度」があるといわれています。
サンフランシスコに本社を構えるクラウド通信プラットフォームサービス提供の同社には、 全社員に毎月30ドルの書籍購入費を支給する「書籍購入援助制度」があります。社員の自己研修意欲を高めるのが目的のようです。
アウトドア用品メーカーの同社は、社員自身が健康でアクティブであることを推奨する企業文化があります。これに基づき、例えば業務に差し支えない限り社員が勤務時間中にサーフィンに出かけることを許可するルールが福利厚生制度の一環としてあり、総務担当者はサーフィンの気象条件を毎朝発表しているといわれています。
日本より早くから転職市場が発達し、人材流動性が激しいアメリカでは、「いかに優秀な人材の離職を防ぐか」を目的に設計した福利厚生制度を運用している企業が多いようです。
近年、日本でも導入業が増えているアメリカ生まれのメニュー選択型福利厚生制度「カフェテリアプラン」など、優秀な人材の採用・定着が重要な経営課題の一つになっている日本企業の総務担当者にとって、アメリカ企業のユニークな福利厚生制度は何かと参考になりそうです。
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