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新型コロナウィルス感染拡大に伴う特別定額給付金で、一躍注目を浴びたマイナンバーカード。以前送られてきた通知カード(緑色の紙製)だけでは給付金のオンライン申請ができず、役所の窓口がマイナンバーカードの新規申請で大混雑する事態になりました。
このマイナンバーカード、やはりこれからは持っていた方が良いのでしょうか?また今までは、なぜ申請されることが少なかったのでしょう?
今回は、これまで今一つ普及の進んでいなかったマイナンバーカードの概要と、これからの使い道についてご紹介していきます。
マイナンバーカードの話には、ややこしい3つの言葉が出てきます。まずこの言葉の違いを、しっかり把握しておきましょう。その3つの言葉とは「マイナンバー」、「マイナンバー通知カード(以下、通知カードと表記)」、そして「マイナンバーカード」です。
「国民の利便性の向上」、「行政の効率化」、「公平・公正な社会の実現」を目的とし、2006年から運用が始まった個人への識別番号付与制度をマイナンバー制度といいます。このマイナンバー制度で、日本国民に付与された12ケタの番号がマイナンバーです。
12ケタのマイナンバーを個人に通知するため、郵送で送られてきた緑色の紙製のカードを通知カードといいます。住所、氏名、マイナンバー、生年月日などが記載されていますが、本人の写真がないため身分証明書などには使えません。あくまでマイナンバーを通知するためだけのカードです。
マイナンバー付与後に(通知カード到着後に)、市区町村の役所で手続きすれば発行される、ICチップ付きのプラスチック製カードです。住所、氏名、マイナンバー、生年月日などが記載され、顔写真も印刷されています。身分証明として使えるほか、自治体サービス(住民票の取得等)、e-Taxなどの電子申請にも使えます。今回、特別定額給付金に関わって話題となったのは、このカードです。
マイナンバーカードの申請方法は現在4つあります。スマートフォンからのオンライン申請、パソコンからのオンライン申請、町にある証明用写真機からの申請、郵便による申請です。それぞれ手間がかかり、かつ発行まで約一ヶ月かかるのですが、そのわりにメリットが少ない……というのが普及の進まなかった主たる理由だったようです。確かに身分証明書であれば、免許やパスポートがあれば事足ります。住民票の申請などがコンビニでできるようになりますが、そうそう頻繁にあることではないでしょう。
加えてマイナンバー制度自体にも、国や自治体が特定の人物の情報を簡単に確認できるようになることは、プライバシーの侵害につながるのではないか?という懸念が根強くありました。行政にメリットは多いが、国民にはメリットが少ない制度。こんなところが、反感を買ってしまったのかもしれません。
ただしこれからは、マイナンバーカードの利便性が高くなる行政サービスが始まる予定です。
2020年9月から2021年3月の期間内に、キャッシュレスで2万円のチャージ、またはショッピングをすると、1人あたり上限5,000円分(付与率25%)のポイントが貰える仕組みです。キャッシュレス決済サービス(クレジットカードや電子マネー)とマイナンバーカードを紐付けて手続きを行います。
2021年3月からは、マイナンバーカードが健康保険証として使えるようになります。これにより就職や転職、引越しなどをしても、保険証の切替えを待つことなく医療を受診できます。また、高齢受給者証や高額療養費の限度額適用認定証などの書類も、持参する必要がなくなります。
今回の特別定額給付金の手続きで、給付まで時間がかかった要因の一つが銀行口座の確認です。個人の銀行口座とマイナンバーとの紐付けは、実は2018年から行えるようになっています。今回検討されているのは紐付けの「義務化」で、本来2021年に行う予定であった義務化を前倒しするか否かの検討をしているというわけです。
今回のようなことが再びあれば迅速に給付が行われる可能性はあるものの、やはり個人の銀行口座を国に登録するというのは抵抗があることでしょう。ただし以前は、「個人のすべての銀行口座を登録」することを検討していたのですが、現在は「一口座のみ登録を義務化する」方向で議論が進んでいます。これであれば、給付金専用(もしくはマイナンバー専用)の口座を作れば一番の懸念点は解決できそうです。
マイナンバーカード(マイナンバー制度)は、開始当初の情報提供不足やその後の普及活動の不足もあって、国民の多くがその利便性を知らずにいるのかもしれません。懸念点があれば役所に問い合わせるなどして、不確かな情報に振り回されないことも肝要です。
今回のように事態が起きてから慌てて申請するのではなく、自分が納得するまで制度の概要を調べた上で、事前に申請をしておいてはいかがでしょうか?
今回の新型感染症の件では、マイナンバーカードの必要性がクローズアップされた面もありますが、同時に行政側の準備不足も明らかになりました。区市町村間でも(主に電子化)対応の差が大きいので、自分の居住する地域の対応状況についても常に確認をしておきましょう。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁にご確認ください。
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