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オトナの教養 ~こんなに違う各国の政治体制~

公開日2020/08/17 更新日2023/01/19

政情不安、通貨危機、感染症拡大など、企業の事業活動は特定の国・地域の政治・経済・社会情勢の変化に起因するカントリーリスクにより様々な影響を受けます。時には直接的な被害を受ける場合もあります。

ここではカントリーリスク対策の前提の1つとなる世界各国の政治体制の概要を見てみましょう。

世界各国の政治体制

世界各国の現在の政治体制は次の4形態に大別されます。

●大統領制

選挙で選ばれた大統領が国を統治します。大統領と立法府は互いの独立性が強く、行政と立法の権力分立を図っているのが特徴です。

●半大統領制

大統領制と議院内閣制の中間的な形態で、大統領と首相が共に国を統治します。大統領が外交・国防、首相が内政と、国政を分担するのが一般的です。

●議院内閣制

通常は選挙で第一党となった政党の党首が首相に就任し、国を統治します。議院内閣制の特徴は行政と立法の権力均衡性です。すなわち、議会は内閣不信任決議により首相を解任できる一方、首相は議会の解散権を持っています。

●一党独裁制

中国、北朝鮮など社会主義国の大半が採用している形態です。行政・立法・司法の三権を実質的に社会主義政党が掌握しているのが特徴です。

主要国に見る形態別政治体制の実際 ~アメリカ~

  • 政治体制:大統領制
  • 国家形態:連邦共和国

●アメリカの大統領

「大統領(President)」という元首の称号を世界で最初に用いたのがアメリカです。アメリカの大統領は国民が選出した大統領選挙人による間接選挙で選ばれ、任期は4年です。再選が可能なので最長任期は2期8年になります。

アメリカの大統領は連邦議会の信任が不要なので、連邦議会に責任は負わず、国民にのみ責任を負います。したがって、大統領には連邦議会解散権がなく、連邦議会には大統領罷免権がありません。

●連邦議会の構成と権限

アメリカの連邦議会は二院制です。

上院(元老院)は各州から2名ずつ選出された任期6年の議員で構成され、下院(代議院)は小選挙区制により選出された任期2年の議員で構成されます。

アメリカの連邦議会は両院が対等の立法権を有している(下院優越の原則がない)のが特徴です。

主要国に見る形態別政治体制の実際 ~フランス~

  • 政治体制ː半大統領制
  • 国家形態ː共和国

●フランスの政治体制

フランスの政治体制は、大統領が外交と国防を、首相は内政を担当する半大統領制です。国家元首は大統領です。

フランスの大統領は、国民の直接選挙で選ばれ任期は5年です。

一方、フランスの首相は大統領選挙と同時に行われる下院議員選挙で第一党となった政党の党首を下院が指名し、その党首を大統領が首相に任命する仕組みで選ばれます。そして下院議員の中から首相が内閣の閣僚を指名し、その議員を大統領が閣僚に任命する仕組みで首相が内閣を組閣し、内政を担います。

フランスの大統領は閣議と国防会議を主宰し、緊急事態発生時には非常大権を発動し、首相・閣僚の任免と内閣改造、国軍の最高指揮、下院の解散、国際条約の締結と批准などの権限を有しています。

主要国に見る形態別政治体制の実際 ~イギリス~

  • 政治体制:議院内閣制
  • 国家形態:王国

●イギリスの政治体制

イギリス(正式国名はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国)は、1801年にグレートブリテン王国と北アイルランド王国が統合した王国です。

政治体制は立憲君主制を基礎にした議院内閣制で、国家元首は国王(現在はエリザベス二世女王陛下)です。

イギリスの国王は慣習法の「国王は君臨すれども統治せず」に則り国政の実務にはタッチせず、イギリスの国政は行政府、立法府、司法府がそれぞれの実務権限を有する三権分立体制になっています。

またイギリスは成文憲法を持たず、判例、制定法、慣習法などの法令群が「イギリスの憲法」と見做されています。

●イギリスの首相と内閣

イギリスの首相は、下院議員選挙で第一党となった政党の党首を下院が首相に指名し、その党首を国王が首相に任命する仕組みで選ばれます。そして首相が内閣を組閣し、行政を一手に担います。

内閣は各省を管掌する国務大臣と司法省を管掌する大法官、ランカスター公領大臣、枢密院議長、王爾尚書、無任所大臣などで構成されます。

イギリスの内閣は下院の信任が必要で、下院に対して責任を負っています。したがって下院の信任を失って内閣不信任を議決された場合は、内閣は責任を取って総辞職するか、下院を解散して下院議員選挙を行い、与党議員の過半数獲得し、改めて信任を得る必要があります。

また内閣の主体となる閣僚は、首相が上下両院から指名した約20名の議員が国王により任命されます。

主要国に見る形態別政治体制の実際 ~中国~

  • 政治体制:一党独裁制
  • 国家形態:共和国

中国の政治体制は、中国共産党の指導により政府が国家を経営する一党独裁制です。

中国の政治機構は中国共産党、国務院、地方政府、人民解放軍に分かれています。しかしこの4者の役割や権限は画然としたものではなく複雑に絡み合っているので、中国問題の専門家以外には区分けが難しいと言われています。

中国の国家主席(国家元首)は、中国共産党が国家を指導するとの政治思想から、中国共産党の最高指導者です。現在は同総書記兼中国共産党中央軍事委員会主席の習近平氏がその地位に就いています。

●中国の国家構造

中国の国家機関は、全人代(全国人民代表大会)、国家主席、国務院(内閣)の3機関とされています。

全人代は国権の最高意思決定機関に位置付けられており、通常は毎年3月に2週間程度開催されます。全人代代表は中央政府直轄市、地方行政区(省・自治区)、人民解放軍の各人民代表大会で選出されます。全人代は一院制の中央議会で、全人代代表の任期は5年です。

全人代の権限は憲法・法律の制定・改正、国家主席と副主席の選出、国務院総理の任命、最高人民法院(最高裁判所)院長の選出などとされています。

一方、国務院は国務院総理(首相)、国務院副総理(副首相)、国務委員(副首相級)、国家委員会主任(他の政治形態の国務大臣に相当)などにより構成されています。

国務院は名目上、全人代常務委員会の監督を受けることになっていますが、実質的には国家主席の指揮・監督の下、国政を管掌していると言われています。

また、中国の国家政策も国務院が策定し、中国共産党中央政治局常務委員会の承認を経て全人代常務委員会が決定する仕組みと言われています。中央・地方政府の主要人事も同様の仕組みで決定されると言われています。

中国の政治体制は複雑で情報開示度も低いので、正確なことは一般部外者には分かりにくいところがあると言えます。

まとめ

ここでは形態別に4カ国の政治体制の概要を見ました。一口に政治体制と言っても形態によりこれだけの違いがあります。政治体制は各国それぞれの歴史的経緯があるので、同じ形態でも国家経営の仕組みや運営法は千差万別です。

そこにカントリーリスク管理の難しさがあります。しかもカントリーリスクはどこの国でも発生する可能性があり、その中には予測不能要因も少なくありません。ビジネスパーソンにとっては遠くて近く、日常と非日常が背中合わせに存在する、ある意味で厄介な問題と言えます。

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