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企業が株式の上場を目指す場合、その準備のために多大な時間、資金、人的資源を投入します。その努力が実り、上場を申請している証券取引所から上場承認を得ることが出来れば、晴れて上場企業の仲間入りを果たせるわけです。
しかし、企業の中には、一度上場承認を受けたにもかかわらず、後に取り消されてしまうというケースがあります。
今回は、上場承認を受けたのに取り消されるのはなぜか、という点に焦点を当て、解説します。
目次【本記事の内容】
株式上場を目指す場合、企業には上場に向けた内部改革を行うことが求められます。上場は申請すれば認められるわけではなく、証券取引所による厳格な審査をパスすることが条件です。そのための準備を入念に行う必要があります。
通常、上場審査をクリアするために、各企業はプロジェクトチームを編成します。その際、IPO(Initial Public Offering:株式を新規上場すること)に強い外部のコンサルタントや会計事務所のサポートを受けることも多いです。
プロジェクトチームは上場審査に向けて、社内管理体制・社内規定の整備、会計制度の見直し、予算制度・事業計画の策定など上場企業にふさわしい組織・体制づくりを行います。さらに、株式上場における最大のパートナーとなる主幹事証券会社(上場後の株式を扱う証券会社)、監査法人の選定も必要です。主幹事証券会社、監査法人も、上場準備を進める企業に対して必要なアドバイスを行います。
IPO準備を進める中で、審査が通ると判断されれば上場したい証券取引所に申請を行います。では、実際にどのような形で上場審査が行われるのでしょうか。東京証券取引所の例を挙げて説明しましょう。
まず証券取引所は、企業から所定の提出書類とともに上場申請が行われると、企業側に対して「上場申請時ヒアリング」を行います。内容は簡単な質疑応答ですが、すでにチェックは開始されているわけです。その後、証券取引所内で書面審査が行われ、提出書類に関するヒアリングが複数回行われます。さらに実地調査も行われるのが通例です。申請企業の本社や工場などに調査員が訪問し、事業内容の実態や会計帳簿類などを目で確認します。
その後、申請会社の監査を行っている公認会計士、企業の監査役との面談が行われ、最終的に行われるのが社長(代表者、経営責任者)との面談です。社長面談では、業界動向や事業会計、内部管理体制に関するヒアリングが行われます。
これら審査プロセスを経て、証券取引所内で最終的な上場の決済が行われるわけです。上場に問題なしと判断されれば、「上場承認」の企業として公表されます。
企業側が多大な労力をかたむけ、ようやく証券取引所から上場承認を受けたのに、上場が取りやめになるケースも少なくありません。上場承認後に上場を取りやめるに至る経緯としては、主に企業側が自主的に上場を取り下げる場合と、証券取引所側が承認を取り消す場合とがあります。
企業側が取り消しを行う場合、その決定を公的に行うのは取締役会です。上場後に発覚すると大きな問題になるような事案が社内で発見された場合、取締役会にて上場の取り消しを最終決定します。証券取引所側による承認取り消しも同様で、当該企業に何らかの問題があることが改めて判明した場合、承認後でも上場は取り消されるのが通例です。
2018年の12月には、上場が2営業日後に迫っていた段階で、企業側の申し出によりIPO中止が発表される、というケースも発生しました。
また、今年に入ってからも上場承認済みだった企業が、新型コロナウィルスの影響で上場後の見通しが計画通りに進まないだろうと判断し、中止や延期を発表するケースもありました。
それでは具体的に、上場承認が取りやめになる理由とは何でしょうか。以下では主に2点を紹介します。
原則として、法令順守が出来ていない企業だと上場審査は通りません。そのためIPOを目指す企業は、上場申請前に社内外のIPO専門家に相談し、企業の中に法令上問題がないか徹底的な調査を行います。そのプロセスで考えられる問題がすべて解決された後に、上場申請をするのが通常のプロセスです。
しかし、企業のコンプライアンス違反にまつわる問題は、いつ新たに判明するか分からないのが実情といえます。上場承認され、上場開始直前という段階になって、社内外からの密告・リークによって、新たなコンプライアンス違反が見つかることもあるのです。
もしコンプライアンス違反が発覚すれば、上場日直前であっても証券取引所によって上場が取り消されます。あるいは企業側が事態を判断し、取締役会にて自ら上場の中止を申し出ます。
そもそも株式の発行は企業による資金調達のために行われ、株式上場はより多くの資金を集めることが目的の1つです。しかし、例えば上場時期が、日本全体の株式市況が良くない時期に重なってしまうと、想定通りの初値がつかないことがあります。また、企業の市場での人気が上がらず、最低限と定めていた初値がつかないというケースもあり得るでしょう。そのような場合、企業側が申し出て上場を中止・延期する場合があります。
IPO準備企業は、証券取引所の上場承認に向けて時間をかけて準備を行います。主幹事証券会社や監査法人からも長期にわたって審査を受け、問題ないと判断されたのち取引証券所に申請するのが一般的です。しかし、申請して無事に上場承認された後でも、新たな問題が企業に発覚すれば、上場は取り消されます。たとえそれが上場予定日直線であっても、コンプライアンス違反や想定通りの資金調達が出来ないことが判明したら、上場中止になる場合もあるのです。上場を目指す企業は、上場準備にかけたコストを無駄にしないためにも、上場直前での取り消しに直面しないよう十分準備をする必要があるでしょう。
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