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東証とは、そもそも何を指すのでしょうか。東証一部、東証二部、マザーズなど単語はたくさん聞きますが、いったい何が違い、どのような理由で会社は上場する市場を選ぶのでしょうか。今回は、知っているようで意外と知らない「東証」について基礎からご説明します。
東証とは
東京証券取引所を略して東証と言います。
国内には、東京証券取引所と名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所が存在します。中でも国内最大級の東京証券取引所は世界で見ても時価総額第3位(※)を誇ります。※2017年12月末時点
東証には「第一部」「第二部」「マザーズ」「JASDAQ」「TOKYO PRO Market」の5市場がありますが、一般の投資家が自由に株式の取引に参加できるのはTOKYO PRO Market以外の4市場となります。
第一部、第二部は大手・中堅企業が上場し、マザーズ、JASDAQは新興企業が上場する市場であると言われています。ただし、東証には大阪証券取引所が吸収されたとき、大阪証券取引所のJASDAQに上場していた老舗企業などもそのまま東証に吸収されました。そのため、一般的に新興企業の市場と言われるJASDAQに新興企業以外の企業も含まれています。
市場別に異なる上場理由
大きく分けて大手・中堅企業と新興企業が上場する市場の違いではありますが、もちろんそれ以外にも理由はあります。
まず、第一部上場は非常に厳しい審査基準をクリアする必要があるため、第一部上場を果たした企業は国内外に通用するトップクラスの大手企業であると証明され、社会的信用度も飛躍的にアップします。
他に、マザーズは東証一部上場を目標に置く新興企業が、第二部は東証一部上場を目標に置く中堅企業(第二部上場の審査基準をクリアできる水準にある企業)が上場する市場になっています。
東証二部は一部と合わせて本則市場と呼ばれるように、国内の中心的な市場になります。第二部へ上場できることが望ましいのですが、新興企業などは少しハードルが高くなります。そのため開設されたのがマザーズであり、より新興企業が上場しやすい審査基準を設けています。新興企業などはまずマザーズに上場することで、東証一部上場へ初めのステップを踏むといった意味合いがあるのです。
それでは、第一部、第二部、マザーズそれぞれの審査基準から一部を抜粋し、比較してみましょう。
【上場審査基準】※東京証券取引所より引用
東証一部 | 東証二部 | マザーズ | |
株主数 | 2,200人以上 | 800人以上 | 200人以上 |
流通株式 | 2万単位以上 | 4,000単位以上 | 2,000単位以上 |
時価総額 | 250億円以上 | 20億円以上 | 10億円以上 |
企業のコーポレート・ガバナンス及び内部統制の有効性 | コーポレート・ガバナンス及び内部統制が適切に整備され、機能していること | コーポレート・ガバナンス及び内部管理統制が適切に整備され、機能していること | コーポレート・ガバナンス及び内部管理統制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること |
その他 | 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること | 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること | 企業内用、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること |
株主数や時価総額などは数字として明確に分けられていますが、コーポレート・ガバナンスなどに関して見てみても、本則市場とマザーズには若干の違いがあり、本則市場はより内部体制などの社内基盤が盤石であることが求められています。このため社歴が浅く、社内整備等が確立して間もない新興企業は、その水準に合わせた審査基準を設けているマザーズへの上場をまず目指すという仕組みとなるのです。
マザーズ上場10年経過後は市場選択の必要が出てくる
マザーズに上場し10年が経過すると、そのままマザーズにおいて上場を継続するか、第二部へ市場を変更するかの選択が求められます。もしマザーズにおける上場継続を選択した場合、その後5年経過するごとに市場の選択が必要となってきます。
また、マザーズ上場後10年が経過すると、そのままマザーズでの上場を継続していても、第二部と同じ上場廃止基準が適応となります。
【マザーズにおける上場廃止基準】※東京証券取引所より引用
10年経過前 | 10年経過後 | |
時価総額 | 5億円 | 10億円 |
株主数 | 150人 | 400人 |
流通株式数 | 1,000単位 | 2,000単位 |
流通株式時価総額 | 2.5億円 | 5億円 |
マザーズはそもそも近い将来第一部へステップアップすることを視野に入れた企業を対象にした市場ですので、高い企業成長性を求めています。マザーズでずっと上場を継続するのではなく、あくまで第一部へのステップという位置づけですので、10年経過後は株主数、流通株式数、時価総額などの基準がぐんと跳ね上がります。
市場別新規上場企業数を見てみても、2015年から2017年にかけてマザーズへの新規上場が最も多い状況です。それだけ、第一部上場を目指している企業が多いということが分かります。
第一部へ上場を目指す企業は、株主数や時価総額などの資産だけでなく、企業体質やコーポレート・ガバナンス、内部統制の有効性を確立し継続させる必要があります。そのような視点で見てみると、企業のイメージも変わるかもしれません。
今年も続々と新規上場の企業が発表されています。日本経済の中心とも言える東証で今後著しい成長を見せ、市場を賑わせてくれる企業に名を連ねるのはどんな企業か、今から楽しみですね。
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