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東京の電車や地下鉄の、朝の出勤時間の混雑ぶりは、社会問題の一つでもあります。東京五輪開催時には、さらに混雑が予想されることから、東京都は通勤時間をずらすことで、満員電車の混雑緩和を促進する「時差Biz」に取り組んでいます。働き方改革により時差通勤も注目されていますが、改めて「時差Biz」の効果などを検証してみましょう。
「時差Biz」は、東京都が打ち出した「通勤ラッシュ回避のために通勤を変える働き方改革」を目的としたキャンペーンです。
現在、快適な労働環境を提供し、多様な働き方を支援することで、社会の生産性を上げようと、官民挙げてさまざまな働き方改革に取り組んでいますが、「時差Biz」も、その一つといえるでしょう。
2016年の東京都知事選で、小池百合子現知事は、選挙公約の一つに掲げていたのが「満員電車ゼロ」です。その具体策として打ち出したのが、通勤時間をずらすことで通勤ラッシュを緩和する「時差Biz」、いわゆる“時差通勤”です。
東京の通勤ラッシュのピークは、都心に8時から9時頃に到着する電車や地下鉄ですが、その時間帯を避けることで、「時差通勤者の快適な通勤」「ピーク時間帯の混雑緩和」を実現しようというものです。
時差Bizは、夏と冬の年2回、2週間から1か月ほどの期間を設定し、趣旨に賛同する企業が自由に参加できるものです。300社程度の参加から始まり、参加企業も1,000社ほどに増えているそうですから、認知度もそれなり浸透してきたといえるでしょう。
認知度はともかく、大切なのは時差Bizによって、通勤ラッシュの混雑がどの程度緩和されたのか、ということです。
時差Bizを担当する東京都都市整備局によると、時差Biz参加企業の多いエリアの16駅で自動改札機のデータを分析したところ、朝ラッシュピーク時の利用客が平均2.3%減少したそうです。
また、参加企業の東急電鉄は、通勤ラッシュ時の混雑率184%の田園都市線に、キャンペーンに合わせて臨時の「時差Bizライナー」を走行させましたが、乗車率が108%となり、同時間帯の列車の乗車率も70%~90%になったそうです。
ですから、もし多くの企業が時差通勤に踏み切れば、さらに大きな通勤ラッシュ緩和の効果が期待できるのかもしれません。
では、時差Bizに参加することで、ビジネスパーソンや企業には、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
ビジネスパーソンにとっては、満員電車での通勤が回避できることで、疲労やイライラの解消、座席に座ることもできるため、新聞や読書、メールのチェックなど、通勤時間を有効に活用することができるようになるでしょう。
一方、参加企業は、快適な通勤で従業員のストレスが軽減され、従業員の働く意欲や生産性の向上、さらに、時差Bizへの取り組みをアピールすることで、企業のイメージアップにもつながるのではないでしょうか。
時差Bizへの参加は、とくに規定があるわけではありませんから、趣旨に賛同すれば、どの企業も参加することができます。ただ、効果が期待できるのは、始業時間が午前9時前後の企業が、始業時間を早めるか、遅くすることが可能な企業に限るのではないでしょうか。
フレックスタイムやテレワークなどの制度を導入している企業なら、すぐにでも参加できるキャンペーンですが、すし詰めの満員電車で通勤するスタイルの是非を、改めて考えなおす時期にきているのかもしれません
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