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旧暦では、12月を「師走(しわす・しはす)」と呼びます。年末ということもあり、多くの人がなんとなく気ぜわしい気持ちになるのではないでしょうか。
今回は、12月・師走にまつわる豆知識や行事・風物詩・旬の食べ物を紹介します。
現代では新暦のグレゴリオ暦が使われていますが、1872年(明治5年)までは、旧暦を使っていました。旧暦の師走の時期は、新暦の12月下旬から翌年の2月上旬ごろにあたります。
師走の由来を聞かれたら、「先生が忙しく走り回る時期だから?」と私たちの感覚では思いますよね。
実は、「師」とは学校の先生ではなく「師僧」のことで、お経をあげるお坊さん・僧侶を意味しています。また、「馳せる」が「走」になったともいわれ、急いで行く様を意味します。
つまり、「師である僧までもが走り回るほど多忙な月」というのが、師走の由来です。
ほかにも、1年の終わりから「年果(としはつ)」が「しはつ」になったという説や、四季の終わりにあたる「四極(しはつ)」を語源とする説など、師走の由来は諸説あります。
12月の呼び方には、師走のほかにも次のような別名や異称があります。
このように、師走には寒さや春を待ち望む気持ちが込められた別名や異称が多くみられます。
1年の締めくくりにあたる12月は、1年間お世話になった神様や住まいなどに感謝する行事が多くみられます。どのような行事や暦・祭りがあるのかみていきましょう。
12月1日 | 映画の日 |
12月2日 | 秩父夜祭(~3日) |
12月4日 | 人権週間(~10日) |
12月5日 | 納めの水天宮 |
12月6日 | シンフォニー記念日 |
12月7日ごろ | 大雪(たいせつ) |
12月8日 | 針供養 |
12月13日 | 正月事始め、煤払い(すすはらい) |
12月14日 | 赤穂義士祭 |
12月15日 | 春日若宮御祭(~18日) |
12月17日 | 羽子板市(~19日) |
12月18日 | 納めの観音 |
12月21日ごろ | 冬至(とうじ)、納めの大師 |
12月25日 | 終い天神、クリスマス |
12月28日 | 納めの不動 |
12月31日 | 大晦日、大祓い |
※2020年は行事の中止や内容変更などあり
12月5日の納めの水天宮とは、水天宮へのお参りができる最後の日のことです。観音様や弘法大師、不動明王などに対しても、1年の感謝や新年へのご加護、ご利益の願いなどを込めて、各地の寺などでは縁日が催されます。
12月7日ごろを大雪と呼び、これから本格的に冬に入ることを知らせる二十四節気の1つにあたります。
12月8日の針供養とは、使っているうちに錆びたり曲がったりして使えなくなった針を、労いの気持ちを込めて豆腐やこんにゃくなどの柔らかいものに刺し、お寺や神社などで供養してもらう行事です。西日本では12月8日に行われますが、東日本では2月8日に行われています。
12月13日の正月事始めには煤払いを行います。かつて囲炉裏を使っていた時代には、家屋に付着した煤をこの時期に掃除していました。現在でも、神社仏閣では煤払いが行われており、年神様を迎える準備をします。自宅に神棚や仏壇がある人は、この日に掃除を行いましょう。
12月21日ごろは大雪から数えて15日目にあたり、二十四節気で冬至と呼びます。昼の時間がもっとも短い日で、この日を境にして少しずつ日が長くなってきます。中国の易経では、衰えていた太陽が再び力を増していくことから、幸運に向かう意味を込めた「一陽来復(いちようらいふく)」とも呼び、神社ではお守りが配られます。
12月31日の大晦日には、各地の神社で大祓いの行事が行われます。大祓いは、記紀神話に登場する伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓い(みそぎはらい)が起源です。大祓いは6月・12月と半年ごとに行われており、茅の輪(ちのわ)をくぐって身の穢れを清らかにし、無病息災を祈ります。
12月の風物詩には、1年の感謝や健康・長寿を意識したものが多くみられます。
昔から冬至にはゆず湯に入って体を温める習慣があります。ゆずなどの柑橘類には、血行促進やリラックス効果があるので、コロナ禍が続く2020年の冬至には、ゆずパワーにあやかりましょう。
12月には、サラリーマンのほとんどにボーナスが支給されます。ボーナスは、ローマ神話に登場する「成功と収穫の女神/Eventus(ボヌス・エヴェントス)」に由来するそうです。日本で初めてボーナスを支給したのは「三菱商会(三菱財閥の前身)」で、1897年から毎年ボーナスが支給されるようになりました。
お歳暮は、1年間お世話になった方への感謝を込めた贈り物です。本来の贈る時期は、12月13日の正月事始めから20日ごろですが、近年では11月中に届けるケースもみられます。
クリスマスはイエス・キリストの降誕を祝うものですが、現代の日本人は宗教に関係なく、クリスマスを楽しむ習慣があります。クリスマスプレゼントの交換や自宅でのクリスマスツリーの飾りつけ、華やかで幻想的な街のイルミネーションを楽しむのも12月の風物詩です。
12月の中旬には、年賀状の受付が始まります。年賀状の歴史は古く、平安時代の学者・藤原明衡が作った手紙の文例集が、日本最古の年賀状といわれています。年の瀬で忙しい時期でもありますが、年賀状に大切な人への想いを託してみてはいかがでしょうか。
ほかにも、大晦日には各地の神社で煩悩を祓う除夜の鐘がつかれ、長寿を願う年越しそばを食べるなど、12月には様々な風物詩があります。
12月が旬の食べ物は、体を温める献立作りに役立つ食材が豊富です。
江戸時代ごろから、冬至にカボチャを食べると、魔除けや風邪予防ができるといわれています。カボチャには粘膜を丈夫にしたり血行を促進したりと、健康に役立つビタミン類が豊富です。寒さが厳しくなる12月には、魚類と白菜やネギなどの野菜をたっぷり入れたお鍋を食べて、体を温めましょう。
12月は、僧が忙しく走り回ることから「師走(しわす・しはす)」とも呼ばれます。12月には、1年間お世話になった神様や住まい、知人などに感謝したり穢れを祓ったりと、年の締めくくりにふさわしい行事が満載です。寒さが厳しくなる時期でもあるので、旬の食材を上手に活用し、体が温まるような食事を心がけましょう。
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