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厚生労働省が2021年7月時点の有効求人倍率を「1.09倍」と発表しました。その内容を詳しく見ると、新型コロナ対策の緊急事態宣言が繰り返される地域とそれ以外の地域では、回復具合に差が出始めていることが明らかになりました。
目次【本記事の内容】
「求職者1人につき、何件の求人があるか」を表す“有効求人倍率”は、景気状況とほぼ連動するため、景気の動向を示す指標の一つとしても重要視されています。
景気が上向きとなれば、事業拡大を目指す企業は人材を募集するようになるため、有効求人倍率は高くなります。一方、景気が悪くなれば、人件費を抑えるために採用を控えるようになるほか、倒産や失業により求職者が増えるため、有効求人倍率は低くなります。
このように、有効求人倍率は景気と連動して数値が上下するわけですが、1倍を下回ると求人数より求職者の方が多くなり、なかなか仕事が見つからない「就職難の状態」となり、景気も低迷状態にあることになります。
新型コロナウイルスの影響がまだ出ていない、2020年1月の有効求人倍率「1.5倍」と比較すると、感染拡大によって景気が大幅に悪化していることがわかります。これを都道府県別に見ていくと、回復が著しい地域もあります。
有効求人倍率全国トップとなったのが福井県の1.81倍、次いで島根県の1.60倍、秋田県の1.57倍で、コロナ禍前の水準を取り戻す勢いで回復傾向を示しています。
一方、もっとも低かったのは沖縄県の0.83倍で、東京都の0.85倍、大阪府の0.90倍が続いています。つまり、新型コロナ対策の緊急事態宣言が繰り返される地域と、それ以外の地域では、回復具合にはっきり差が生じていることがわかります。
たとえば福井県は、県独自の緊急事態宣言を今年2回出していますが、飲食店に酒類の提供自粛などは求めていません。一方、東京は今年に入ってからほとんどが緊急事態宣言、まん延防止等重点措置など、何らかの規制や自粛要請が呼びかけられている状態です。
東京は、3度目の緊急事態宣言が解除となり、まん延防止等重点措置に移行し、やっと条件付きながらも酒類の提供が認められ、飲食店もやっと一息つきかけたと思ったら、わずか3週間で4度目の緊急事態宣言発令となりました。
度重なる休業要請や時短営業要請が、地域経済の足かせになっていることが有効求人倍率にもはっきりと出た格好になりました。厚労省も「コロナ感染が経済活動に与えている影響を通じ、労働需要にも影響を与えている可能性が考えられる」という見解です。
ところで、直近で有効求人倍率が大幅に下落したのは、リーマンショック時の2008年から2009年で0.88から0.47(マイナス0.41)まで下落しました。今回はこのときの水準までは下落していませんが、今回の前年比のマイナス幅は0.62と、リーマンショック時よりも急落しています。
リーマンショックが起きた2009年は、企業倒産が相次ぐなど、景気回復までは4年もの年月を要しました。しかし、新型コロナウイルス感染症による経済へのダメージは、リーマンショック以上になると予想されています。
その理由は、リーマンショックは主に金融関連へのダメージが、徐々に景気に影響を与えていましたが、コロナショックは、あらゆる業界へ一様に打撃をもたらしているからです。
コロナの収束が見通せず、経済の先行きも不透明なことから、雇用状況が大幅に改善する要素も今のところ見当たりません。切り札とされるワクチン接種が急がれるところです。
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