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コロナ禍でクローズアップされているリモートワークですが、その延長線上にある新しい働き方 “ワーケーション”の注目度も高まっています。しかし、注目度の割に導入は進んでいないようです。ではなぜ、導入が進まないのでしょうか。
“ワーケーション”とは、「非日常の土地で仕事を行うことで、生産性や心の健康を高め、より良いワーク&ライフスタイルを実施することができる1つの手段」(日本ワーケーション協会)で、「ワーク=仕事」と「バケーション=休暇」を組み合わせた造語です。
つまり、旅行中に仕事をする、あるいはリゾート地で仕事に取り組みながら、その仕事の合間に休暇を楽しむという新しい働き方で、ビジネスパーソンにとっては、ある意味、夢のような働き方といえるでしょう。
ワークライフバランスの観点からも、仕事とバケーションの両立につながるだけに、大いに期待したいところですが、その一方で、「休暇中でも仕事をしなければならないのか」という否定的な捉え方も一部にはあり、注目度の割に導入はそれほど進んでいないようです。
「月刊総務」が全国の総務担当者を対象に実施した「ワーケーションに関する調査」(2021年5月)によると、実際に導入している企業はわずか3.5%で、「導入を検討したことはない」が85.4%と、大多数がワーケーションに後ろ向きというのが実態です。
一方、「導入を検討している」企業は8.8%です。その理由は「フルリモートに切り替えたため、福利厚生の一つとして検討」「IT環境さえあればどこでも業務は可能だから」などで、コロナ禍によるリモートワークの浸透を背景に、1割近くの企業が、導入の検討を始めていることも明らかになりました。
「検討をしたものの導入には至らなかった」企業が2.3%ですが、その理由として挙げられた「会社の制度改定が追い付かず、見送りになってしまった」「費用負担の割合の設定が難しく難航してしまった」のなかに、導入を阻む要因があるようです。
では、ワーケーション導入を阻む要因に対して、どのように対処していけばいいのでしょうか。リゾート地などで仕事をするわけですから、仕事とバケーションをどこで区切るのかなど、明確なルールづくりが必要です。
そのためには、導入範囲を定めるとともに、業務や部署、役職など、対象を決めることも重要なポイントとなります。
ワーケーションに適した業務といえば、企画書作成などの集中力を要するソロワークなどです。また、チャットやWeb会議ツールを使って、リモートでもスムーズにコミュニケーションがとれる部署なら、導入もスムーズに進むのではないでしょうか。
まずは、ワーケーションに適した業務や部署で試験的に行い、支障がなければさらに対象を広げていくという方法もありますが、そのためにもルールづくりが必要で、その役割はやはり総務や人事などの管理部門の担当となるかもしれません。
ワーケーション中の業務に関する就業規則や各種申請、承認フローに加え、決裁ルールなども含めてデジタルで完結するようなシステムづくりも必要です。またその際の通信費用や場所代、交通費などの諸経費をどのように取り扱うかなど、担当部署の負担は多くなりそうです。
“夢のワーケーション”と社員が満足するような制度にするために、ここは一つ、総務担当者の“腕の見せ所”と受け止め、ワーケーションの制度設計にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
注目度が高い割になかなか普及が進まないワーケーションですが、リモートワークの単なる延長線上にある働き方ではなく、新しい発展的な働き方のスタイルとして普及を目指す旅行会社や、リゾート地を抱える地方自治体が利用者を呼び込む一環としての活用も始まっています。
コロナ感染症の収束が見通せないなか、ますます注目度は増すことになるでしょうが、今後ワーケーションどうなっていくのでしょうか。
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