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最低賃金が930円に引き上げ|過去最高の上げ幅で格差問題はどうなる?

公開日2021/07/30 更新日2021/07/31


最低賃金が、全国平均で時給930円(前年比3.1%増)に引き上げられることが決定されました。現在は902円で28円の上昇が見込まれています。これは、過去最大の上げ幅であり、地域の経済格差を是正するセーフティネットとして期待されています。

ここでは、今回の改正について解説しながら、最低賃金の基礎知識や国際的な水準についても紹介していきます。

最低賃金は時給930円に

2021年7月14日、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、2021年度(令和3年度)の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすることを決定しました。

これから各都道府県による審議会が本格化して、改定額は8月に出そろう予定です。新しい最低賃金は10月頃から適用されます。

現在(2021年7月時点)の最低賃金は、全国平均で902円です。最高が東京都の1013円で、最低が秋田県や沖縄県、秋田県、鳥取県、高知県、大分県、島根県の792円となっており、221円の価格差があります。今回の改定によって、全都道府県が800円の水準を超える見込みです。

参照:厚生労働省・地域別最低賃金の全国一覧

また、引き上げ幅は3.1%となります。第2次安倍政権時はデフレ脱却を掲げて、2016年度から年3%程度のペースで最低賃金の引き上げを推進してきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、各企業の業績が低迷し、2020年度は0.1%増にとどまりました。

28円の引き上げ額は、過去最大の数字で、大きな話題を呼んでいます。今回の賃上げは、社会的な不安を軽減して、経済格差を是正する目的があります。

最低賃金とは

最低賃金とは、最低賃金法により定められた、使用者がその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとされるものです。

参照:厚生労働省・最低賃金制度とは

最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。前者は、産業や職種にかかわりなく、都道府県ごとに定められた最低賃金です。後者は、特定の産業について設定されている最低賃金です。

今回の改定は、地域別最低賃金を対象としています。各都道府県の物価や経済状況に応じて、最低賃金は決定されます。

地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わなかった場合には、50万円以下の罰金を科せられることがあります(最低賃金法第40条)。

930円という最低賃金は、全国加重平均によって算出された金額です。全国加重平均とは、日本全国の最低賃金を、47都道府県ごとの労働者数で重み付けして、1人当たりの平均値を算出した額のことです。

菅首相は、「経済財政運営と改革の基本方針 2021(仮称)〔いわゆる骨太方針2021〕」の原案において、「新型コロナによって広がった格差を是正するためにも、最低賃金について、より早期に全国加重平均1,000円とすることを目指し、本年の引上げに取り組みます」と発言しています。

引用:首相官邸・経済財政諮問会議

この方針から、今回の改定は計画の途中段階であることがわかります。今後も、賃上げの対策は継続されると考えられるでしょう。

最低賃金の引き上げは、低所得者で困窮する労働者には朗報です。しかし賛成の意見ばかりではありません。

日本商工会議所では、「中小企業・小規模事業者の窮状、とりわけ困窮している飲食業や宿泊業などの事業者の実態や痛みを理解していない結論と言わざるを得ない。多くの経営者の心が折れ、廃業が更に増加し、雇用に深刻な影響が出ることを強く懸念する」という否定的な見解が発表されています。

引用:日本商工会議所・地域別最低賃金額改定の目安に対するコメント

このような意見対立は、これからの各都道府県による審議会に影響を及ぼすと考えられます。

日本と世界の最低賃金を比較

日本の賃金事情は、世界的に見ると決して高水準とはいえません。

2020年においてOECD(経済協力開発機構)の実質最低賃金(real minimum wage)のランキングにおいて、日本の最低時給ランクはOECD加盟国38か国中、14位です。

参照:OECD ・Real minimum wages

オーストラリア(12.9ドル)やルクセンブルク(12.6ドル)、フランス(12.2ドル)がトップ3にランクインしています。日本は8.2ドルですが、スロベニア(8.4ドル)やポーランド(8ドル)と同水準です。

またイギリスやドイツ、フランス、韓国では、コロナ渦において積極的に賃上げを実施しました。

参照:厚生労働省・諸外国の最低賃金の状況・報告書について(案)

諸外国の状況を見ると、日本の賃金事情は遅れをとっています。経済における国際的な格差を是正するためにも、政府は積極的な賃上げ方針をとっていくことが予想されます。

まとめ

地域別最低賃金が、全国平均で時給930円に上がりますが、重要なのはセーフティネットとして機能するかどうかです。
特に、低水準である都道府県(秋田県、沖縄県、秋田県、鳥取県、高知県、大分県、島根県の7県)の賃金が底上げされることで、今回の是正が意味あるものとなります。
貧困問題を解決する糸口として、今後も政府の方針に注目していきましょう。

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