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SDGsの目標1.貧困をなくそう

公開日2018/09/02 更新日2019/09/10
SDGsの目標1.貧困をなくそう

2001年に策定されたミレニアム開発目標、通称MDGs(Millennium Development Goals)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」。

SDGsの中で、目標1として掲げられた内容が「貧困をなくそう」です。

国際社会が目指す「貧困の根絶」は、どのようなものなのでしょうか。また、ここで言う「貧困」とは、どのような指標で定義された貧困を指すのでしょうか。世界がひとつになり目指すべきSDGsの目標1「貧困をなくそう」についてご紹介します。

絶対的貧困と相対的貧困

SDGsの掲げる目標1「貧困をなくそう」では、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」と記されています。具体的には、2030年までに「極度の貧困を終わらせ、あらゆる形態の貧困を半減させる」ことが目標として掲げられています。

ここで言う「貧困」とは、どのような定義で使われているのでしょうか。

ポイントは「あらゆる形態の貧困」と表現されているところです。貧困と一言で言っても、単に「経済的余裕がない」という意味の貧困のみを表しているわけではないのです。

世界的に見ても、貧困に対する定義は一定ではなく、国や機関によって違いがあります。しかし、国際的基準として設けられたひとつの指針「国際貧困ライン」が存在します。

【絶対的貧困】

世界銀行が定める国際貧困ラインは、2015年以前「1日1.25ドル以下で生活する人々」というラインで設定されていました。これに基づきSDGsでも目標1に掲げる「貧困層をなくそう」では「1.25ドル」という表記がありますが、2015年10月、世界銀行は国際貧困ラインを、アメリカドルの価値変動を受け「1.90ドル」に変更しました。ただしこれはアメリカドルの価値変動によって変更されたものであり、2015年以前の1.25ドルと現在の1.90ドルは世界的な相場としてほぼ同水準となります。

絶対的貧困とは、「1日1.25ドル以下で生活する人々」を指し、2015年時点で世界各国に8億3600万人も存在しています。そんな極度の貧困状態で暮らす人々の約80%が南アジアやアフリカなどで暮らしています。これらの地域では近年でも大きな改善は見られず、今後もその人口は増大していくものと考えられています。2030アジェンダでは、この極度の貧困「絶対的貧困」を終わらせるのが目標となっています。

【相対的貧困】

人として生きる上での必要最低限の生活水準に満たない極度の貧困生活を余儀なくされている人々を絶対的貧困と呼ぶのに対し、地域社会で見たとき、大多数の生活水準よりも貧しい状態、もしくは最低限の教育、医療、サービスなどを受けられない状態にあることを「相対的貧困」と呼びます。

日本国内において1日1.25ドル(現在の貧困ライン1.90ドル≒200円)以下で生活する人々はほとんど存在しない状況ですが、代わりに必要な教育、医療、サービスなどを受けられない人々は非常に多く存在します。すなわち、「相対的貧困大国」とも言える状態なのです。


日本の貧困率はOECD平均以上

先進国の日本では、「貧困」と言ってもあまりピンと来ない方も多いかもしれません。しかし、相対的貧困に関しては残念ながら非常に高い比率で、OECD(経済開発協力機構)加盟国35か国の平均よりも高い割合が続いています。

相対的貧困率の算出方法は、簡単に言うと「収入が平均的な手取り収入の半分に満たない人」のことを言い(実際には少し複雑になります)、近年ではおおよそ年間122万円以下の所得の人を表します。

日本では近年非正規労働者の割合が増加し、さらに離婚率の上昇からひとり親世帯(特に母子家庭)が増えたことに、貧困率高水準の理由が挙げられます。ちなみにひとり親世帯の貧困率は平成27年時点で50.8%(平成9年時点ではなんと63.1%)にも及びます。ひとり親世帯の貧困率は、OECD加盟国中ワースト1という、不名誉な状況となっています。


各分野での貧困対策が急務

たとえば南アジアやアフリカなど、絶対的貧困の割合が高い国などは、基本的なライフラインの整備、食糧難に対する対策、天候変動にかかわる環境問題への対策などが急がれます。これには、国やより財力のある企業の取り組みが期待されます。

一方、相対的貧困に対する対策ですが、こちらはやはり国をあげての行動が急務と言わざるを得ません。

相対的貧困を改善するためには、人が公正にあらゆるサービスを受けられる社会に改善していくことが求められます。全ての人が同じ教育、医療、サービスを受けられる社会です。

たとえば教育の無償化(就学前も含む)、医療福祉の拡大、さらには雇用環境の改善によるフルタイム従事者の増大、時短社員制度導入などによるライフステージに合わせた職場選択可能な環境の整備など、個人レベルでは対応の難しい問題が山積しています。これらはやはり国家的問題として早急に国レベルで取り組んでほしい対策だと言えるでしょう。

経済の急激な発展が見られた中国やインドなどでは、性別による所得格差や教育、雇用などの不平等が広がっており、相対的貧困率が非常に高い状態であると言えます。全ての人が同じように、教育、医療、福祉、雇用などのサービスを受けられるようになり、本来持っている能力を発揮できるようになってこそ、本当の意味での貧困は終わりを告げるのです。

まとめ

人として最低限の生き方をするという、本来普通でなければならない目標が、実は世界では深刻に直面する問題への対策として叫ばれています。
そして、足元を見てみると、日本国内においても所得格差や公平性を欠いたサービス受給の実態が見えてきます。
これらを改善し、一刻も早く全ての人が「人として」生きられる環境へと変化する日が待たれます。

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