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官民あげて取り組んだ女性管理職割合が30%に満たない理由

公開日2021/09/07 更新日2021/09/08


日本政府は「2020年度までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」としていた目標を、「20年代の可能な限り早期に30%程度とする」という内容へと2020年6月に塗り替えました。

帝国データバンクの「女生登用に対する企業の意識調査」では、2021年の企業の女性管理職の割合は平均8.9%でした。過去最高を更新したものの、政府が掲げる目標とはほど遠い内容となりました。また、男女共同参画局の「第5次男女共同参画計画基本計画」によると、2020年7月の国家公務員の本省係長相当職の女性の割合は26.5%、本省課室長相当職は5.9%程度。国家公務員においても、女性の管理職割合は低水準に留まっています。

女性管理職の割合が高いのは小規模企業

帝国データバンクの調査では、女性管理職の割合が高いのは小規模企業が11.9%でトップ。中小企業が9.5%、大企業は5.8%となっています。大企業の女性管理職割合の低さには、製造業や建設業、運輸・倉庫業などの女性社員そのものの数が少ないことが要因の一つとしてあるものの、アメリカのS&P500に採用されている企業では36.8%が女性管理職です。アメリカと比べると、極めて少ない数字だといえます。

ただし、日本が女性管理職の割合を増やそうとしていることは間違いありません。帝国データバンクによると、20.7%の企業が5年前と比較して女性管理職割合が増加したと回答しています。また、女性登用を進めているとの回答は46.9%で、2020年の調査から4.3%増加しています。

多くの企業が女性の管理職割合を増やそうとしているにも関わらず、なかなか進まないのはなぜなのでしょうか。

家庭との両立が難しいためとの回答がトップに

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、25~49歳の正社員として働く男女に対して女性管理職の育成・登用に関するアンケート調査を実施しています。そのなかに興味深い項目があります。「管理職になりたくない、なれない理由」として挙げている項目のうち、男女間で落差の激しい回答がありました。「家庭(プライベート)との両立が難しいため」というものです。女性は25.5%で、男性は16.6%でした。

働いている日の家事・育児・介護時間の調査では、「2時間以上4時間未満」「4時間以上」を合わせた2時間以上の割合が女性非管理職で6割、女性管理職でも5割弱を占めています。「まったくしていない」と「30分未満」を合わせた割合が男性非管理職、男性管理職ともに6割弱を占めており、家事は女性が行うという慣例、意識が根強く残っていることがわかります。また、女性管理職の配偶者が家事の負担をしている時間が長いほど、昇進意向が高いことも示されています。

本人の説得と励ましが重要なポイントに

「管理職になろうと思った理由」の回答に、それを解決するヒントが隠されています。女性管理職と男性管理職で回答の落差が激しかったのが「上司に管理職になるよう説得や励ましを受けたため」でした。女性が21.3%であるのに対し、男性は13.0%です。

この回答からは女性が管理職になることを勧められ、プライベートで配偶者に家事負担などの協力を求める姿が浮かびます。こうした夫婦間の相談はギスギスした関係にもなりやすく、女性側にも負担がかかります。それを前向きに進めてもらうため、上司の熱心な説得や励ましが必要になるのです。

女性の方が管理職に向いている?

職場環境によっては女性の方が管理職に向いていることを裏付けるデータがあります。「管理職になるのに役立った経験」の回答に対して「チームで仕事をする経験」との回答は女性が43.3%、男性が28.7%です。女性の方がチームワークを重視していることがわかります。また、「仕事を面白いと感じた経験」と回答したのは女性が45.7%、男性が29.0%です。ここでも男女間の落差が激しくなっています。困難なプロジェクトを進めるのに必要なのは仕事を面白いと感じることであり、その推進力に人がついてくるのはよくあることです。そこへの意識が強いことは、管理職候補として心強いことです。

企業と現場で働く社員には落差が

女性の管理職割合を増やそうとする取り組みについて、認識のずれも目立ちます。日本経営協会が実施した「女性管理職意識調査」では、女性管理職にとって働きやすい企業の条件として、企業側があげている項目に「女性を支援する制度がある」が42.8%を占めています。一方、女性管理職の回答上位10項目の中に、「女性を支援する制度がある」というものはありません。つまり、企業は制度を用意すれば良いとの考えが強いものの、実際の女性管理職はその制度が働きやすさをバックアップしているとは感じていないということです。

まとめ

女性が家事をするのが当たり前という意識が、日本で女性が管理職になりにくい要因の一つとなっています。組織は制度を用意するだけでなく、管理職候補となる女性を熱心に説得する必要があります。また、休暇をとりやすくしたり、早く帰ることに対する周囲の理解など、職場の雰囲気づくりも欠かせない要素の一つとなります。

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