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2021年の骨太方針の原案にも「選択的週休3日制の導入促進」が示され、日本企業でも導入が始まっています。しかし、制度導入には日本特有の問題点も指摘されるなど、まだまだ課題が多いのも事実です。選択的週休3日制導入を成功させるためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
欧米諸国で進んでいる週休3日制と日本版の違いは、あくまでも「希望した労働者に対して、企業が1週間に3日の休日を付与する」という、 “選択的週休3日制”と呼ばれるものです。
政府は、選択的週休3日制の導入促進によって、多様な働き方の実現を目指すもので、育児や介護、ボランティア活動、学び直しなどに活用してもらうことを想定し、企業に導入を促していくという方針です。
厚生労働省の令和元年雇用均等基本調査によると、所定労働時間の短縮に多くの企業が取り組み、育児による労働時間短縮制度を導入している事業所は72.1%です。しかし、実際の利用率となると17.7%です。短時間正社員制度を導入している事業所は16.7%で、その利用率はわずか2.2%です。
所定労働時間短縮制度も短時間正社員制度も、多様な働き方を目指す働き方改革には重要な制度ですが、きわめて利用率が低いことは数字の上からも明らかです。
それだけに「選択的週休3日制の導入促進」が注目されるわけですが、欧米のように一律に週3日を休日にするのではなく、“選択的”というところに、日本で週休3日制が導入しにくい要因があるようです。
まず、週休3日制が導入されると、企業や社員にはどのようなメリットが生まれるでしょうか。企業側は「優秀な人材を集めやすい」「離職率を下げることができる」「社員のモチベーション向上」などが考えられます。
社員側は、週の半分が休みとなれば通勤も半分ですみますから、オフィスに近い都心に住む必要性も減るでしょう。さらに、仕事と育児や介護が両立しやすくなり、休日を利用して学び直し、専門能力の向上やキャリア開発にもつなげることも可能です。
何かメリットだらけのような気がしますが、実は、日本企業の多くは、社員それぞれの業務の割り当てや、その仕事に対する報酬が明確ではありません。そのため、休日が増えて労働時間が減少すると、給料も減額してしまうということにもなりかねません。
給料を減額しないという方法もありますが、そうなると、週休3日を希望しない社員との給料の公平性を保つことができなくなります。そこが“選択的”の大きな落とし穴ということです。
日本の企業文化にも課題があります。日本企業は、課や係などの部署がチームとなって仕事に取り組むことが多く、誰かが休めば仕事がスムーズに進まないケースもあるでしょう。また業務内容や部署によっては、週休3日が可能な部署もあれば、難しい部署もあります。
いわゆるメンバーシップ型と呼ばれる日本型雇用システムのもとでは、仕事と報酬の関係が曖昧なために、導入に伴う混乱が生じることも考えられます。
しかし、厚生労働省の調べでは、なんらかの方法で週に3日以上の休日を設定している企業は8.3%あるとしています。ユニクロや日本IBM、佐川急便、アルペンなどでも導入が進んでいるようです。
週休3日制を先行して導入している企業は、社員一人ひとりの仕事を効率よくできるよう工夫して取り組んでいるようです。つまり、選択的週休3日制を成功させる重要なカギとなるのは、成果と報酬の関係を「見える化」するところにあるのではないでしょうか。
選択的週休3日制の導入は、多様な働き方の選択肢を増やすことにつながることは明白です。ワークライフバランスや、さまざまな可能性を広げるという観点からも、導入促進が進むことでしょう。そのためには、仕事の内容に合った方法で個人の分担を明確にし、貢献と報酬の関係を「見える化」する必要がありそうです。
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