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人事評価制度は、社員ひとりひとりのスキルやパフォーマンスを評価し、企業の事業目標達成につなげるための制度です。
本来であれば適正に評価されるべき指標ですが、評価基準があいまいになっていたり評価者の主観に左右されたりすることで、評価される側が不満を抱えているケースも珍しくありません。人事評価の問題点をそのままにしておくと、離職率の高まりや社員満足度の低下などにもつながってしまいます。
企業は、人事評価を受ける側である社員にとっての不安や不満を理解し、適切な評価をすることが求められています。人事評価の問題点を把握し、社内における対応方法を検討しましょう。
人事評価制度は社員のスキルやパフォーマンスを評価することで、適切な人事育成や人材配置を行い、企業の事業目標へ足並みを揃えていくことを目的としています。
しかし評価する側・評価される側にも本来の目的がうまく共有されず、妥当な評価につながっていないケースも多く見られるのです。
特に、評価される側の社員にとって、人事評価の結果は重要な意味をもっています。結果が、給与や賞与の金額にも影響を与えるからです。
しかし「頑張りがきちんと評価されていない」と感じている社員も少なくありません。企業は人事評価をされる側の不安・不満をふまえ、自社の人事評価制度の見直しが必要になっているのです。
それでは、実際に社員が不安・不満に思っているポイントはどのような点なのでしょうか。
株式会社識学の調査によると、自社の評価制度に不満があると答えたビジネスパーソンは以下の項目に不満を感じているようです。
・評価の基準が不明確:48.3%
・評価結果が報酬に反映されない:30.9%
・評価する人によって厳しさに差がある:28.1%
これらは社員が人事評価に対して不満に感じている点ですが、この結果から人事評価制度自体の問題点を紐解くことができます。
人事評価は、いつ・誰が実施しても同等の評価でなければいけません。そのためには一定の評価基準が必要です。
しかし明確な評価基準の設定を怠っている企業では、評価者によって評価内容にバラつきが生じてしまいます。また評価される側の社員にとっても、自分の評価基準がわからないために何を目標に頑張ったらいいのか混乱してしまい、モチベーション低下を招きかねません。
人事評価の結果が、給与や待遇に反映されていない点も大きな問題です。「どのくらい貢献したら、どのくらい給与が上がるのか」という点が社員に共有されていないために、せっかく頑張っても評価してもらえないと感じる社員が増えてしまいます。
これも、人事評価の仕組みを具体的に構築するのを怠った企業に原因があると言えるでしょう。
感染症対策の観点からテレワークが推奨され、さまざまな企業がテレワークを導入しています。テレワークは働き方改革の一環としても高い効果を発揮し、社員のワークライフバランスを向上させるためには必要です。
しかしテレワークをしているビジネスパーソンからは、人事評価に対して不満だけでなく不安の声も聴かれます。
出社して上司と部下が同じオフィスで仕事をしていれば、上司は部下の勤務態度や頑張りが見えやすい環境です。またコミュニケーションも取りやすく、業務の進捗状況や成果を細かく報告できます。
しかしテレワーク下だと、上司は部下が働いている姿を直接見ることはできません。またメールやチャットでのコミュニケーションになり、頻繁に報告や相談ができなくなります。
このような背景から、テレワークをしている社員は「正当に評価してもらえないかも」「どう評価されるか心配」といった不安の声が聴かれます。
人事評価制度はうまく活用すれば、社員のパフォーマンスを向上させて会社の事業拡大にもつながります。しかし適切に運用できていない企業も少なくないのが実情です。
また、テレワークという新しい働き方を導入したものの、それに対応する評価基準を設定せずに進めてしまっている企業も多く見られます。
そのため、今こそ人事評価制度を見直して仕組みを整えるべきタイミングと言えます。人事評価の基準となる指標を明確にしましょう。
評価基準としては、業務上求められるスキルを評価する「能力評価」、一定期間のパフォーマンスを評価する「業績評価(成果評価)」、社員の意欲や協力意識などを評価する「情意評価」などがあります。不公平感をなくすためになるべく数値化して定量的に評価したほうが良いですが、数字化できない部分をどう評価するかが課題になります。各企業で評価基準を定め、ブレないように設定しましょう。
評価基準の設定には、厚生労働省が公開している「職業能力評価基準」が参考になります。なかなか評価基準が定まらない場合は、このようなツールを活用しながら進めてください。
企業は、社員が人事評価制度に対して不安や不満を感じていることを理解しなければいけません。そして不安・不満の原因を紐解き、適切に対処する必要があります。
人事評価制度の見直しは社員のモチベーションを高め、ひいては最大限のパフォーマンスにもつながります。
企業は人材あってこそ成長していくものなので、人事評価制度の見直しと共有を図りましょう。
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