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転職が一般的になってきた現在でも、いざ本気で転職を前にすると悩む皆さんが多いかもしれません。そもそも転職を考えるということは、今の職場を離れたいという理由があるはずです。その一方、転職するにはふさわしくない理由もあるでしょう。
今回の記事では転職に関する意識調査を参考に、現代のビジネスパーソンにとって、転職しないほうがいいと思うケースについて考察します。転職を検討中の人も、一度目を通してみることをおすすめします。
今回の調査資料は、株式会社ビズヒッツ(Biz Hits)が、2021年8月10日~25日に実施した「転職しないほうがいいと思うケースランキング」というアンケートに基づいています。
出典:「転職しないほうがいいと思うケースランキング」Biz Hits
アンケートの対象は転職経験がある男女計500人で、インターネットを介して調査が行われました。その上位5位までをここで紹介しておきます。
転職しないほうがいいと思うケースランキング | |
---|---|
1位 | 人間関係に不満 |
2位 | 仕事内容に不満 |
3位 | 収入に不満 |
4位 | 転職理由があいまい |
5位 | 現職の給与・福利厚生が充実 |
1~4位までに関しては、回答者はこのような理由での転職に注意を促しているようであり、5位の理由については、現状に満足すべきことをアドバイスしているように感じられます。では次に、それぞれの理由についての分析結果も紹介しましょう。
ここからはアンケートに添えられた意見をもとに、現代ビジネスパーソンの転職に対する意識を分析してみます。まず1位と2位の理由に回答した人の数は、3位以下を圧倒していました。また、それぞれを代表する意見もよく似ています。
1位の理由については、今の職場で人間関係に悩んでいるなら、たとえ転職したとしても同じ状況に陥る可能性があることと、人間関係の問題はいずれ解消される可能性もあることから、我慢して今の仕事を続けるべきだという意見が多かったようです。
2位の理由に関しても、仕事に対する不満は意識次第で改善できる可能性があるという声が多かったようです。しかも1位と同様に、転職した先でも不満がつのるという、連鎖的な負のサイクルを心配する意見も見られました。
3位以下を見てみても、やはり同じような意見になる傾向がありました。これらを総合的に分析すると、現状を受け入れて仕事を続けていれば、状況が好転するチャンスが訪れるかもしれない、と考える人が多いことが分かります。転職を思いとどまらせようとする意見が目立つのは、実際に転職を後悔している人が多いことの表れなのかもしれません。
では、実際に転職した理由は何なのか、やはり民間で行われた意識調査の結果からその傾向を紹介しましょう。
転職理由ランキング | |
---|---|
1位 | ほかにやりたい仕事がある |
2位 | 会社の将来性が不安 |
3位 | 業界の先行きが不安 |
4位 | 給与に不満がある |
5位 | 残業が多い/休日が少ない |
13位 | 人間関係がうまくいかない |
これは2020年4月~2021年3月の間に、実際に転職活動を行った約10万人を対象に、パーソルキャリア(doda)が実施したアンケート結果です。転職理由のトップ3は、現状に対する不安や不満を抱えながら、よりよい環境を外部に求める意識の表れのように感じられます。
しかし「転職しないほうがいいと思うケースランキング」と比べてみると、人間関係への不満は13位にとどまり、仕事内容への不満という直接的な理由は、ランキング内には見つかりません。
明らかに両方で一致しているのは、収入に対する不満という理由だけです。2つのアンケートを直接結びつけることはできませんが、転職しないほうがいいと考えられるようなケースでは、実際に皆さんは転職を思いとどまっているのではないでしょうか。
ある製薬会社による調査では、日本人のおよそ7割以上が、日常的な痛みを我慢しているという結果が出たそうです。具体的には、腰痛や肩こりなどの慢性的な痛みです。これだけで日本人は我慢強い、という理由にはならないかもしれませんが、昔から我慢を美徳とする考え方は、日本人の特質としても指摘されています。
今回分析した調査を見ると、転職しないほうがいいと思う理由では、実際に転職する人が多くはないという傾向が見られました。やはり多くの日本人は、現状への不満は我慢して、それが好転する機会を辛抱強く待つことを選ぶのかもしれません。
日本国内でも、以前に比べて転職に対するマイナスイメージは少なくなりました。それでも、仕事や人間関係への不満だけで転職を決めることは、日本人にとってかなりの抵抗感を伴うようです。
このような場合、海外では積極的に周囲に働きかけて現状を改善するかもしれません。しかし日本人の根底には「和」の民族として、我慢や辛抱を受け入れるという精神が、脈々と受け継がれているのではないでしょうか。
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