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テレワークの実施は、私たちの働き方やライフスタイルに影響を与えるのでしょうか。企業によっては一部ではなく、完全テレワークを導入するケースも見受けられます。
出社をする必要があれば、居住地は勤務地に通いやすい方が好都合です。しかし、在宅勤務のみの完全テレワークであれば、従業員はどこに住んでも構いません。地元に帰省したり、リゾート地に移住したり選択肢は広がります。
それでは完全テレワークが導入されると、実際に住まいに関する立地条件はどれほど変わるのでしょうか。ここでは、意識調査をもとに働く人たちの本音を読み解いていきます。
日本トレンドリサーチ(運営会社:株式会社NEXER)が、きらくハウスと共同で実施した「完全テレワークになった場合の住まい」に関するアンケートを手がかりに、テレワーク下における優先項目を見ていきます。
本調査は、会社勤めだがテレワークをしていない全国の男女(期間は2021年10月8~15日、有効回答数は744人)を対象にインターネットを通して実施されたものです。
主なアンケート内容は次の2つです。
① 現在の住まい
② もし完全テレワークで仕事ができるとしたらどのような場所に住みたいか
それぞれの項目で最も多かった順に結果を見てみましょう。
| ➀現在の住まい | |
|---|---|
| 1位 | 「買い物に不便しない」58.9% |
| 2位 | 「勤務地まで片道30分程度で行ける」46.2% |
| 3位 | 「最寄り駅まで徒歩15分以内」44.8% |
| 4位 | 「公園や緑が多い」42.1% |
| 5位 | 「医療機関が近い」41.0% |
| 6位 | 「交通の便が良い」37.9% |
| 7位 | 「学校が近い」34.8% |
| 8位 | 「繁華街まで30分以内」31.2% |
1位~3位の項目からわかるように、日常生活における利便性や通勤のしやすさが優先されています。
| ➁もし完全テレワークで仕事ができるとしたらどのような場所に住みたいか | |
|---|---|
| 1位 | 「買い物に不便しない」62.6% |
| 2位 | 「公園や緑が多い」43.8% |
| 3位 | 「医療機関が近い」38.2% |
| 4位 | 「交通の便が良い」36.3% |
| 5位 | 「最寄り駅まで徒歩15分以内」29.3% |
| 6位 | 「繁華街まで30分以内」22.8% |
| 7位 | 「勤務地まで片道30分程度で行ける」22.6% |
| 8位 | 「学校が近い」12.2% |
| 9位 | 「その他」5.2% |
1位に変化はありません。しかし、2位以降は大きく変化しています。会社への通いやすさにかわって、日々の暮らしを重視した項目が優先されています。
ここで興味深いのは、完全テレワークに移行しても22.6%の人が会社に行きやすい場所に住みたいと思っている点です。
通勤を重視している理由として、自由回答でこのような意見が見受けられます。
・「会社に急に出かけなければならなくなった時に、短時間で出社できるのは必須条件。」(60代・男性)
・「会社から緊急に呼び出されても対応できるから。」(50代・男性)
また、完全テレワークは居住場所にそれほど影響を与えないという意見もあります。
・「テレワークでもそうじゃなくても生活の利便性がよいほうが良い。」(40代・女性)
・「テレワークがあろうとなかろうと、生活するのに便利な地域に住みたいので。」(50代・男性)
「勤務地まで片道30分程度で行ける場所」を選ばなかった方の意見も確認しておきましょう。
・「せっかくテレワークだから都会から離れて自然に囲まれたい。リラックスできそう。」(30代・女性)
・「のんびりとした環境のなかで心を落ち着かせて自分のペースで働きたい。」(60代・男性)
・「テレワークだったら、利便性より静かな環境の方を重視したい。」(50代・男性)
(引用:「日本トレンドリサーチときらくハウスによる調査」 日本トレンドサーチ・きらくハウス)
「完全テレワークになった場合の住まい」は仕事を重視するか、個人のライフスタイルを重視するかで結果が左右するようです。どちらを優先できるかは業界や職種によって事情が大きく変わるのかもしれません。
社内での作業や対人コミュニケーションが不可欠な業界や職種であれば、出社を余儀なくされることもあります。そのような立場で仕事をする人が一定数いることは確かでしょう。
国土交通省による「テレワーク人口実態調査」(テレワーク関係府省と連携して、テレワークの普及促進に取り組み、今後の促進策に役立てることを目的とした調査)では、全就業者(雇用型、自営型)のテレワーカーの割合は22.5%と発表されています。
前年度から約7ポイントの増加です。これは過去5年間で最高値を記録しており、首都圏を中心にテレワークが浸透しつつあります。
また、テレワーカーに対する転居の意向についての質問では、転居を希望する理由として「よりゆっくりした、ストレスのない健康的な生活をするため」との回答(28.5%)がトップでした。
(参照:令和2年度テレワーク人口実態調査-調査結果-・国土交通省)
この回答は、テレワークをすることにより健康的な生活が可能になったということでしょう。言い換えれば、会社に通勤している限りは、ライフスタイルを優先させた住まい選びは難しいということでもあります。
テレワークが増えているからこそ、どこに住みたいかというフレキシブルな選択肢が出てきています。仕事だけでなく、人生の送り方にも影響を及ぼす働き方です。
今後、テレワークはより身近なものになっていくと考えられます。完全テレワーク下で、仕事とライフスタイルのどちらを優先すべきか、どんな判断基準で住まいを選ぶべきかという議論はより盛んになっていくでしょう。
今回の調査項目にはありませんでしたが、「密を避けることができる」場所に住まいを選ぶ人もいるでしょう。
いずれにしてもテレワークに関係なく生活の利便性を最優先にしている人が多いこと、さらに仕事が居住地に影響を及ぼすことがわかりました。
将来、完全テレワークで仕事する可能性のある方は、どこに住むのかを考える判断材料としてご活用ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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