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民事裁判の全面IT化はどこまで進むのか?

公開日2022/02/13 更新日2022/02/14

海外では民事裁判のIT化が進んでいます。日本も民事裁判手続き書面のオンライン提出や、口頭弁論のウェブ参加ができるようにする民事訴訟法の改正要綱案を通常国会へ提出し、2025年度中の本格運用を目指す方針を示しました。さて、どうなるのでしょうか。

オンラインで提訴から判決までの手続きが可能

民事裁判手続きの訴状や準備書面、判決はすべて“紙”でのやりとり、つまり“対面”を原則としているのが、日本の民事裁判手続きの現状です。また、民事裁判の当事者がそれぞれの言い分を主張する口頭弁論も、当事者が法廷に出席して開かなければなりません。

この非効率的な民事裁判の提訴から判決までの一連の流れを、オンラインでできるようにすることが改正要綱案の柱です。これにより裁判の迅速化や利便性が向上すると期待されています。

しかし、民事裁判の訴訟記録には、多くの個人情報や企業機密が含まれています。それらが流出することのないように、万全な情報セキュリティー対策を構築する必要があります。また、民事裁判を全面IT化していくためには、クリアしなければならない多くの課題があります。

代理人の弁護士にネット提出を義務化

では、「民事訴訟法の改正要綱案」には、どのようなことが盛り込まれているのかを、具体的に見ていきましょう。

まず、訴えの提起、訴状の送達です。これまでの裁判所の窓口に持参するか郵送する方法しか認められていませんでした。しかし、改正案では代理人の弁護士にネット提出を義務付け、インターネットを通じて提起、提出できるように改正されます。

また、口頭弁論についても、原告側と被告側の双方が、弁護士事務所などからウェブ会議で参加することが認められます。さらに、判決についても裁判所のサーバーを通じて、ネットでの閲覧やダウンロードを可能にするなどの内容が盛り込まれることになりそうです。

裁判では、代理人となる弁護士をつけずに裁判に臨む、本人訴訟というケースもあります。訴状のネット提出が義務付けられる対象となるのは代理人となる弁護士で、本人訴訟では、これまで通り紙での提出も認める方針です。

運用が始まるウェブ会議等を活用した争点整理

さて、民事裁判のIT化を巡る議論は、1990年代に始まりました。しかし、1996年の民事訴訟法改正によって電話会議やテレビ会議の活用も認められることになったものの、民事裁判のIT化というにはほど遠い状況でした。

しかし、アメリカをはじめ韓国やシンガポールなどのアジア諸国でも、裁判手続きのIT化が急速に進むなど、海外に比べて日本のIT化の遅れが各方面からも指摘されるようになりました。

民事裁判手続きのIT化が加速するようになったのは、2017年に内閣官房の下「裁判手続等のIT化検討会」が設けられてからです。すでに全国50の地裁と知財高裁で、ウェブ会議での争点整理手続きが実施されています。

一番懸念されるのがセキュリティーの問題

この、争点整理にウェブ会議を導入したことで、裁判所へ出向く必要がなくなり、期日調整がしやすくなったという声が寄せられています。また、当事者同士の接触機会が減少することは、新型コロナウイルス感染予防対策という点からも有効なようです。

民事裁判手続きのIT化は、時間や労力を削減する点においては、大きなメリットが期待できます。しかし、一番懸念されるのが、やはりセキュリティーの問題です。

裁判記録は、原則として電子データで保管することになり、当事者や利害関係者が閲覧できるようになります。そのため、ハッキングやなりすましによる情報漏洩のリスクも拭いきれません。

その、万全なセキュリティー対策が講じられてこそ、民事裁判の全面IT化も、進むことになるのではないでしょうか。

まとめ

民事裁判に限らず、日本はあらゆる面でIT化の遅れが目立っています。民事裁判手続きの全面IT化実現には、裁判所のシステム整備も必要です。たとえ法案が成立しても、そこからさらに数年はかかるようです。

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