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電子契約とは?メリット・デメリットを詳しく解説

公開日2022/03/04 更新日2022/03/05

近年、紙を使わない電子契約を導入する企業が増えてきました。特に、2020年以降は新型コロナウイルスの影響によってテレワークを実施する企業が増加し、それに伴い、どこからでも各種契約を締結できる電子契約の利便性にあらためて注目が集まっています。

今回はそもそも電子契約とは何か、導入するメリット、デメリット、導入するまでの流れなどについて詳しく解説しましょう。

電子契約とは?その特徴と法的根拠

電子契約とは、それまで紙書類と印鑑の押印によって行われていた契約書の取り交わしを、電子書類・電子署名を通して行うことです。

電子署名には大きく分けて「電子署名タイプ」、「電子サインタイプ」の2種類があります。電子署名タイプは、電子認証局の審査を受けた上で発行される電子証明書を利用して本人性の担保を行う署名方法です。一方、電子サインタイプは、メール認証やシステムログなどにより本人の確認を行います。電子署名タイプの方が証拠力は高いですが、電子サインタイプは素早く契約を行えるのが特徴です。

・紙の契約書と電子契約の違い

紙の契約書に押印する際、本人性の担保のために印鑑証明書が必要ですが、電子書類では電子証明書がその役割を果たします。また、紙の契約書類ではいつ押印・署名されたのかを証明するために契印・割印を押しますが、電子契約ではいつ電子署名したのかがわかる「タイムスタンプ」を使用します。

さらに、紙の契約書では契約相手への送付方法は郵送もしくは持参が基本ですが、電子契約であればインターネットを利用したメールでの送付、もしくはクラウド上で相互に署名することが可能です。紙の契約書で必要となる印紙が必要ないことは、電子契約の大きな特徴といえます。

・電子契約の法的根拠

契約書類はすべて電子データ化されていますが、書面に基づく契約と同じ効力を持つことが法律によって認められています。その根拠法となっているのが、「電子署名法」の第3条です。同法は電子署名が紙の書類に署名したものと同じ法的効力を持つことを規定した法律ですが、第3条において、本人による電子署名が行われているときは、商取引が真正に成立する旨が定められています。

また、2005年に施行された「電子文書法」では、法律により保存が義務化されている契約書類や会計帳簿などについて、所定の条件を満たせば電子書類による保存が認められています。なお、電子契約のデータを保存する場合は、「電子帳簿保存法」に規定されている保存場所・保存期間などの条件をクリアすることが必要です。

さらに電子商取引を行う際、顧客の同意を得ている場合に限り電子書類に代えることを認める「IT書面一括法」も、電子契約を支える法律となっています。

電子契約のメリットとは?

紙書類から電子契約へと切り替えた場合、以下のようなメリットが生じると考えられます。

・契約業務を効率化

電子契約の導入による最も大きなメリットは、業務の効率化です。紙書類による契約の場合、書類を作成してから印刷し、製本した上で押印し、さらに持参・郵送が必要となります。しかし電子契約であれば、このようなプロセスを省くことが可能です。メールもしくはクラウドを通して契約を取り交わすことができるので、紙の場合よりもスピーディに契約締結を行えます。

・契約にかかるコストを削減

また、紙書類による契約には、印刷するための紙・インクの費用、封筒の費用、郵送費が発生するため、契約行為それ自体にもコストがかかるのが通例です。また、印刷、封筒入れ、郵送・届け出の作業など、一連のプロセスには時間も手間もかかるため、従業員に機会費用(その作業を行うことにより、別の作業を行う機会を失うこと)も発生させます。

一方、電子契約であればそのようなコストはすべてかかりません。すべての作業をPCなど各種端末上で行えるので、紙書類の場合よりも従業員がより有効に時間を使えます。

・契約書を保存するスペースが不要

さらに、紙書類には必要となる書類保存のための場所が、電子契約には必要ありません。契約書類は企業活動が続く限り増え続けていくため、時間が経過するほどに保存用のスペースは増えていきます。しかし電子契約であれば、契約書類はすべて電子データで保存されるので、物理的な場所を社内・職場内に確保しなくて済みます。

・内容の改ざんを防止しやすい

一見、パソコン上で簡単に文字や数字を変えられるので、電子契約の方が契約書類内のデータ改ざん・情報漏えいなどの不正行為が起きやすいようにも思われます。しかし、実は電子契約ではバックアップを取るなど不正対策がしやすく、問題が起きても復旧がしやすいです。また、電子データの閲覧権限を厳格に定めることで、社内外の人間に情報が漏えいするリスクを大きく減らすこともできます。

・リモートワークとの相性が良い

電子契約は契約相手と離れた場所にいても契約締結が行えます。そのため、従業員がリモートワークをしている場合でも、ネット環境さえあれば契約業務を行うことが可能です。紙による契約のように直接人がその場で押印・署名などを行う必要がありません。

・契約更新のチェックが容易

更新期限がある契約の場合、期限が来る前に更新に向けた対処をする必要がありますが、契約数が増えると更新作業を忘れてしまうこともあります。電子契約だと、専用のソフト・サービスを利用することで更新期限が近づくと自動でアラート通知をしてくれるので、更新作業がしやすいです。

電子契約の導入にはデメリットへの対応も必要

電子契約には以下のようなデメリットもあるので、導入の際は配慮する必要があります。

・電子契約が認められていない契約がある

電子契約ですべての契約を行えるわけではありません。企業の事業内容によっては、電子契約システムと並行して、紙の契約を行える体制も維持しておく必要があります。具体的には、「定期借地契約」「定期建物賃貸借契約」「マンション管理業務委託契約」「宅地建物売買等媒介契約」「訪問販売等特定商取引の交付書類」などです(今後法改正される場合もあります)。

・取引先にも対応を求める必要がある

契約は取引相手と行う行為なので、電子契約を行う場合は相手にも対応してもらうことが必要です。たとえば締結相手が高齢の方などの場合、PC・インターネットの操作に慣れていないケースも多く、その場合は電子契約を開始するまでに時間がかかることもあります。必要に応じて、取引相手が電子契約をスムーズに行えるように説明・サポートの時間を確保しなければなりません。

・サーバー攻撃のリスクがある

電子契約の場合、外部からハッキングなどの意図的なサイバー攻撃を受けるリスクがあります。ただ、現在の電子契約システムはどれもセキュリティのレベルが高いので、あくまで可能性のレベルと考えておいても良いでしょう。

・社内での調整が必要

電子契約を導入する場合、まずは社内の従業員に対応を求めることが必要です。しかし、紙の契約から電子契約に変更することは、社内業務のあり方を大きく改変することを意味します。導入に向けて社内の各部署の関係者が集まって、今後どのように体制を変えていくのかを時間をかけて議論する必要があります。

また、その体制の変化に各従業員がすぐに適応できないことも十分に考えられます。特に中高年世代の従業員は紙の契約に慣れていることも多く、電子契約の導入に対して心理的に拒否感があることも少なくありません。場合によっては研修や社内教育などを実施するなどして、電子契約の導入に向けて時間とコストをかけなければならないでしょう。

電子契約を導入する際のポイント

紙の契約から電子契約システムに変更する場合、社内で事前に対応・準備をしておく必要があります。

まずは契約書類内の文言の変更です。契約書の中には、紙での契約締結を前提とした文言がある場合、そちらを修正する必要があります。また、契約を行う場合の業務フローにおいて、紙での締結を前提としたマニュアルが作られていることも多いです。電子契約では契約書類の印刷や紙上での押印・署名、郵送などの業務は必要なくなるので、それに合わせた契約業務の流れを策定しておくことが求められます。

また、ある程度の規模のある企業で社内に法務部門がある場合、電子契約の導入にあたってはしっかりと説明・打ち合わせをしておくことが大切です。電子契約は紙書類の場合とは異なり、電子帳簿保存法に則ったデータ保存などが必要になってくるため、法務部門によるコンプライアンスのチェックが重要となります。そうした新たな業務に法務部門が対応できるように事前の準備が必要です。

さらに電子契約を導入する場合、すべての契約締結者にその旨を周知徹底することも重要なポイントです。周知が不十分になると、契約する段階になってから「電子契約になったとは聞いていない」と取引相手から指摘され、契約締結がスムーズにいかなくなる恐れがあります。

電子契約の導入が不要な場合もある

多くの企業で導入が進められている電子契約ですが、すべての企業においてそれが適切であるとは限りません。電子契約を導入するかどうかは、導入によるメリットが確実に見込まれる場合に限るのが合理的です。

たとえば、電子契約の導入メリットの1つにコスト削減があります。導入に伴って発生するコスト(システム利用料や社内での体制改変にかかる費用など)と、導入によって削減できるコストを比較して、もし前者の方が大きければ導入は控えるのが望ましいでしょう。

また、電子契約を導入したとしても、取引先の中から「これまでの紙での契約を続けて欲しい」という強い要望が出る場合もあり得ます。その場合、電子契約と紙による契約の両方を並行して行うことも必要になってくるでしょう。そうなると社内の調整がより難しくなってしまい、むしろ紙による契約だけで一本化した方がスムーズに契約業務を行えるかもしれません。

電子契約の導入は絶対的に正しいわけではなく、導入効果が実際にどのくらいになるのかを自社で算出した上で、導入するか否かを決めることが大切です。

まとめ

電子契約は電子データに電子署名することにより成立する契約のことで、電子署名法など関連法により法的効力が認められています。

電子契約のメリットは、業務効率化、コスト削減、書類保存用のスペースが不要、改ざんを防止しやすい、リモートワークに対応しやすい、更新業務が容易といった点です。一方、デメリットとしては、すべての契約を電子契約で行えるわけではないこと、取引先にも理解してもらう必要があること、サイバー攻撃のリスクがあること、社内調整に時間・費用がかかることなどがあります。

実際に電子契約を導入するかどうかを判断する際には、メリット・デメリットを踏まえた上で、自社にとってどちらが最善なのかを十分に検討することが大切です。

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