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政府は、上場企業の会計監査を行う監査法人を登録制にするために、公認会計士法改正案を今国会に提出する方針のようです。
さて、その背景にあるものとは何でしょうか?
監査法人の登録制度は、日本公認会計士協会が平成19年に導入していますが、あくまで協会の自主的な制度です。つまり、法的拘束力が伴うものではないため、その実効性が課題でもありました。
しかし、企業の会計不正問題が相次いでいることから、海外でも監査のあり方を見直す動きが広まっています。企業活動のグローバル化が進む中、日本でも法的拘束力のある登録制によって、企業や市場の信頼を確保したいという狙いがあるようです。
また、現在は国内上場企業の会計監査の大半は、4大監査法人のトーマツ、あずさ、EY新日本、PwCあらたの4法人が占めています。しかし、監査報酬が高い4法人から、コストダウンのために準大手や中小の監査法人に切り替える動きも顕著になってきました。
4大監査法人から、中小監査法人へシフトする動きは、数字の上からも明らかです。平成30年度は4代監査法人による監査が72.6%だったのに対して、令和2年度には67.5%にまで低下しています。
日本の上場企業は約3,900社です、そのすべての会計監査を4大監査法人だけで担うことは、そもそも物理的に無理があるのです。
そのため、中小監査法人の果たす役割が、年々高まっていますが、一部にキャパ以上の監査を引き受ける法人も見受けられます。その結果、監査の質にばらつきがあることを指摘されるなど、あらたな課題も浮上しています。
つまり、公認会計士法改正で、上場企業の会計監査は、法的拘束力のある登録された監査法人が行うことで企業や市場の信頼を確保することと、会計監査全体の質の向上を図るという思惑があるようです。
会計監査をめぐる環境も、1990年代後半の金融危機以後、監査基準の改定や規制強化など、大きく変化し続けています。それに伴い、公認会計士や監査法人の業務範囲も広がり、監査の品質管理もいっそう強く求められるようになっています。
そのため、日本公認会計士協会は、資本市場における財務諸表監査の信頼性を確保するために導入したのが、上場会社監査事務所登録制度です。そこに法的拘束力を持たせようというのが、今回の政府の動きです。
ところで、上場会社監査事務所登録制度(日本公認会計士協会)に登録した監査法人でなければ、原則として上場会社の会計検査を行えません。しかし、法改正によって登録要件はさらに厳しく規定されることもわかりました。
登録監査法人であっても、監査体制の不備が判明した場合は取り消しとなることもあります。登録法人には所属する公認会計士数「5人以上」と明記、一定の事業規模を備えることなどが盛り込まれた、政府が策定した「監査法人のガバナンス・コード」の順守が、強く求められることになりそうです。
中小の監査法人にとって、この公認会計士法の改正は、経営に重大な影響を及ぼす可能性もあります。しかし、企業活動のグローバル化や業務の多様化がますます進んでいくことを考えれば、いち早く法改正に対応する体制を整えることが重要となりそうです。
これまで、上場企業の7割以上の会計検査を引き受けてきたのが4大監査法人です。しかし、その勢力図も時代とともに変化しつつあるようです。シェアを独占していた大手法人と、対等に競い合うことができる中小監査法人の躍進にも期待がかかります。
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