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賃上げをめぐる労使交渉が大詰めを迎えた2月下旬、バンダイナムコエンターテインメントが、全社員の基本給を平均5万円引き上げる新報酬制度を4月から導入すると発表し、大きな話題となっています。
大幅な賃上げとなる新報酬制度導入の背景には何があるのでしょうか。
バンダイナムコエンターテインメントが示した新報酬制度は、年収における基本給の比率を高め、全社員の基本給を平均5万円引き上げるというものです。これにより、初任給もこれまでの23万2,000円から29万円にアップすることになります。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の平均賃金が月30.7万円です。バンダイナムコグループの新入社員は、入社早々、平均賃金とほぼ同じ額を手にすることになります。
また、同じく「賃金構造基本統計調査」から令和元年の平均初任給をみていくと、高卒16万7,000円、高専・短大卒18万3,000円、大学卒21万0,200円、大学院修士課程修了23万8,900円ですから、まさに破格の待遇といえるでしょう。
この大幅な給与水準引き上げとなる新報酬制度を導入した理由は、「社員のモチベーション向上を図るとともに、組織の活性化を目指す」ということです。
バンダイナムコグループは、「IP軸戦略」を核とするグループの新しい中期計画「Connect with Fans」の実現を目指し、IPメタバースの開発など、新しい仕組みの構築に着手していく計画です。そのためにも優秀な人材を確保する必要があります。
各種調査でも示されているように、もっとも多い転職理由が収入についての不満のため、思い切った給与水準引き上げとなる新報酬制度導入は、人材確保という点では有効な手段といえるでしょう。
ただし、バンダイナムコグループが目指す中期計画「Connect with Fans」を実現するためには、高待遇を提示して集めた人材が、期待通りの戦力として育っていくことが求められます。
つまり、社内の教育体制の重要性がますます高まることになり、多様な人材の活躍推進が必要不可欠となるわけです。
バンダイの採用ページによると、人材ポリシーは「同魂異才」です。多くの個性をもつ異なる才能が集まることで、世界中を”あっ”と言わせるような“夢・遊び・感動”を届けるために、共に成長・挑戦していこうと、応募者に呼びかけています。
社会人予備軍には、刺激的で魅力的な呼びかけです。さらに、社員が健康的に働けるように、年齢別のきめ細かい健康診断のほか、専門機関による電話相談や常勤産業医・保健師による健康に関する相談など、メンタルヘルスにも積極的に取り組んでいます。
また、階層別研修や選抜研修、自由選択型研修など、社員の職務・役割に応じたスキルの取得や事業を創造できる人材の育成など、幅広い研修も実施しています。
こうした恵まれた職場環境を提供するだけでなく、基本給を平均5万円引き上げる新報酬制度導入による成果がどういう形で表れるのか、多くの人が注目しています。
上場企業でさえ6,000円程度の賃上げに落ち着きそうな今年の賃上げ状況のなか、基本給平均5万円引き上げるという発表は、各界に大きなインパクトを与えることになったことは言うまでもありません。しかし、その背景には、多様な人材の活躍推進が必要不可欠な時代に突入したともいえそうです。
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